世界はますます断片化し、複雑な状況となっているが、私が会う人たちは一様にただ1人の人物から目を離せなくなっているようだ。ドナルド・トランプ氏である。来たる1年に関する予測は全て、トランプ次期米大統領が世界の経済と市場のトレンドを決することを前提としている。
単一の要因は決して予測の確たる基礎にはならない。世界は一極ではなく、1人の人物を中心に回りもしない。トランプ氏のような大きな存在であってもだ...
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堅調米国経済を支える過剰な財政刺激策
「ソフトランディング」から「ノーランディング」へ 2024年第1四半期(1〜3月)の米国内総生産(GDP)は、7四半期連続で2%以上の堅調な伸びを示すとみられている(編集注、本記事は米GDP速報値の発表前に掲載された。現地時間25日に発表された速報値は1.6%だった)。一時は米連邦準備理事会(FRB)が利上げを実施すればリセッション(景気後退)に陥るとの見方が広がったが、予想に反し、景気は底堅さ
24年10大トレンド 「選挙の年」に移民への反発
新型コロナウイルス禍などありはしなかったかのように物事が進む中で、1年が過ぎ去った。広く予想されていた世界的な景気後退は到来しなかった。相場は急上昇した。ディスインフレ(インフレ沈静化)がバズワードになった。コロナ後の世界は意外にも、新型コロナが私たちの生活を永久に変えたとされるようになる前の2019年に似ていた。 それでも2023年は結局のところ、大概は予想外の事態と予期されたことが入り交じる
政府債務の拡大には限度がある マーティン・ウルフ
「永遠に続かないことは、いずれ止まる」――。米ニクソン政権で大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長を務めた故ハーバート・スタイン氏のこの言葉は「スタインの法則」と呼ばれる。スタイン氏は1989年6月、米国の貿易・財政の双子の赤字について述べたものだ。だがこれは、今も止まっていないのだ。「木は天まで伸びない」というドイツのことわざもあり、どこかで支えきれないほどの重さになる。政府債務もしかりだ。ど