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欧州中銀、量的緩和政策を年内終了

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【リガ=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は14日、ラトビアの首都、リガで理事会を開き、量的緩和政策を年内に終了することを決めた。ユーロ圏では景気拡大が物価を押し上げつつあり、物価目標(2%近く)の実現に手応えを感じ始めたためだ。利上げを加速する米国に続いて欧州が量的緩和政策を打ち切ることで、世界の金融政策は危機対応の局面から平時へと大きく転換する。

ただ欧州では足元で景気拡大のペースが鈍り、イタリアの政情も市場を不安定にしている。ECBは現在の超低金利が「少なくとも2019年夏までは現在の水準にとどまる」とし、利上げ開始に慎重な姿勢を示した。

量的緩和は国債などの資産を大量に買い入れることで、市場に出回るお金を増やし、金利を引き下げて景気を刺激する政策だ。日米に続いてECBもデフレに陥るリスクが高まった15年に導入した。現在も月300億ユーロ(約4兆円)のペースで資産を買い入れている。

量的緩和政策は国債を大量に買い入れるため、国の財政規律を緩めてしまうリスクがある。このため、中央銀行は量的緩和を危機対応の異例の政策と位置づけてきた。米国ではすでに14年に終了。ECBもデフレのリスクは消えたと判断し、打ち切りを決めた。

ECBの量的緩和政策は今年9月末が期限だった。ECBは新規購入額を10月以降は150億ユーロに減らし、年末で打ち切る。すでに保有している国債については満期を迎えた分を再投資に回して当面は残高を維持する。

米連邦準備理事会(FRB)は13日、政策金利を1.75~2.00%に引き上げた。15年に利上げを始めたFRBが大きく先行するが、ECBもようやく米国の背中を追い始めた。新興国に流入していたマネーの先進国回帰につながる可能性がある。

ECBが量的緩和政策を終了するのは、景気拡大で失業率が下がり、物価への影響が大きい賃金がドイツなどで上がり始めているためだ。足元では昨年末までの急成長の反動もあって成長ペースが鈍っているが、ECBは今のところ、減速は一時的で基調はしっかりしているとみている。

エネルギーなどの影響を除いた物価上昇率は1%程度で目標からはほど遠い。それでも賃金上昇などが広がるにつれ、2%近くという物価目標は達成できるとみている。

08年のリーマン・ショックや10年以降の欧州債務危機を受け、主要国の中央銀行は異例の政策を次々に繰り出してきた。超低金利の時代が終われば、ぬるま湯につかっていた一部の政府や企業は構造改革への取り組みをいや応なく迫られる。

ポピュリズム(大衆迎合主義)政権の誕生で揺れるイタリアでは、量的緩和の打ち切りで金融市場がより不安定になる可能性もある。米国の利上げ加速で、アルゼンチンやトルコといった新興市場でも資金流出への懸念が高まりつつある。

ECBは市場の動揺が金融システムや企業心理などを通じて景気・物価に悪影響を与えないか、注視していく。ただ、市場に配慮して必要な政策対応を先延ばしすれば、各国の財政規律が緩んだり、構造改革への意欲がそがれたりするリスクもあるとみている。

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