仮想通貨7社を行政処分、うち2社は業務停止 金融庁
コインチェックは2度目の改善命令
金融庁は8日午前、仮想通貨交換業者7社を一斉に行政処分すると発表した。このうち、登録申請中の「みなし業者」の2社には業務停止命令を出した。巨額の仮想通貨が流出したコインチェック(東京・渋谷)には1月末に続き、2度目の処分を下す。内部管理やセキュリティー対策が不十分な業者を厳しく監督し、利用者保護を優先して健全な取引環境を整える。
行政処分のうち、業務停止命令を受けたのはFSHO(横浜市)、ビットステーション(名古屋市)。業務改善命令の対象はテックビューロ(大阪市)、GMOコイン(東京・渋谷)、バイクリメンツ(東京・港)、ミスターエクスチェンジ(福岡市)、コインチェック。テックビューロとGMOコインは登録業者で、残りの5社はみなし業者だ。
コインチェックは1月26日に外部からの不正アクセスを受け、約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」を外部に流出させた。金融庁は他の交換業者も同じようなリスクを抱えている可能性があるとして、登録済みの業者16社のうち数社と、みなし業者全16社に立ち入り検査することにした。
全ての検査を終えていないが、一部の業者で資金洗浄(マネーロンダリング)対策や資産管理などがずさんな例が見つかったようだ。金融庁は問題を放置すれば、コインチェックと同様の事件が起きかねないと判断。業務停止命令や業務改善命令を通じ、抜本的な経営の見直しや業務継続の可否を業者自身に迫る。
金融庁はコインチェックに1月末、システムの管理体制の強化を求めて改善命令を出した。今回は資金洗浄対策や企業統治(ガバナンス)など残る課題への対応を急がせる。利用者保護を優先し、NEMを奪われた顧客への補償や停止中の仮想通貨の返還なども促す。同社は近く、補償の具体的な手順などを公表する方向で調整している。