厚労相、裁量労働の再調査に含み 法案提出ずれ込みも
安倍晋三首相は28日午前の衆院予算委員会で、厚生労働省の裁量労働制調査に不適切なデータが見つかった問題に関し「きっちり実態把握をしない限り政府全体として前に進めない」と述べた。具体的な方法は今後検討する意向で「相応の時間を要すると考えている」と強調。加藤勝信厚労相は「今あるデータで何か使えるかということにはなり得ない」として再調査の実施に含みを持たせた。
立憲民主党の逢坂誠二氏への答弁。菅義偉官房長官は同日の記者会見で、3月半ばに予定する働き方改革関連法案の提出に関し「実態把握した上でという形になっていく」と述べ、ずれ込む可能性を示唆した。
厚労省の調査では裁量労働制で働く人の方が一般労働者より労働時間が短いこともあるとの結果が出た。しかし調査データに相次ぎ不備が見つかり、厚労省が精査を進めている。首相は予算委で「裁量労働制の改正について国民に疑念を抱かせることになったことは誠に遺憾だ」と強調した。
立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は首相の答弁に関し「再調査のことだと受け取った。裁量労働制は(法案から)切り離すと今日、明日にも表明すべきだ」と記者団に述べた。
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