なにわ筋線経費、初めて計上 大阪府の18年度予算案
大阪府は16日、一般会計を2兆5543億円とする2018年度当初予算案を発表した。緩やかな景気回復を背景に実質税収は増えるものの、社会保障関係費の将来の負担増に備えて3年連続で減額した。なにわ筋線の関連経費を初めて盛り込むとともに、国際博覧会(万博)や統合型リゾート(IR)の誘致、事業承継支援なども重点事業に位置づけた。
4月に予定される地方消費税清算特別会計の設置に伴い、関連予算を調整した一般会計の実質的な減少幅は17年度当初比3%となる。
松井一郎知事は同日、「大阪経済は緩やかな回復傾向を示している。こうした成長の芽を大きく育てていく」と狙いを説明した。予算編成ではイノベーションの創出、都市魅力の創出・発信、多様な人材の育成・活躍、安全とセーフティーネットの4点を柱とし、知事重点事業として85事業448億円を決めた。
イノベーションでは、大阪の強みであるライフサイエンスを核に、ものづくりの集積を生かしながら健康医療関連の新ビジネスを生み出す。中之島の未来医療国際拠点や北大阪健康医療都市(健都)の形成を進める。企業の事業承継を支援するために、専門的な相談窓口をつくる。
都市魅力では大阪都心部と関西国際空港のアクセスを強化する鉄道路線「なにわ筋線」の30年度の開業を目標に、調査や概略設計に着手する。25年開催の万博誘致では11月の決定を踏まえた取り組みとして、実施主体となる法人設立の準備費用を計上した。IRはギャンブル依存症対策で全国に先駆けて研究会を設置する。
歳出は人件費、社会保障関係費、公債費など義務的経費と税関連が7割近くを占め、硬直化が進んでいる。特に医療や介護などの社会保障関係費は一般財源ベースで17年度当初比3%増の4511億円となる。
一方、歳入では府税収入を1兆2534億円と見込む。教職員制度の見直しに伴う税源移譲の影響などで名目上は減少するが、実質税収は17年度当初比3%増える。府債は減収補てん債や臨時財政対策債の増加により4%増の2987億円。財源の不足を補うために財政調整基金を312億円取り崩す。