X線天文衛星「ひとみ」通信途絶える 対策本部を設置
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、2月に打ち上げたX線天文衛星「ひとみ」との通信が断続的に途絶え、衛星の状態が確認できなくなったと発表した。何らかの原因で衛星の飛行姿勢に異常が起き、太陽電池パネルで発電できなくなった可能性がある。今後、通信の復旧を目指した作業を進める。
JAXAは奥村直樹理事長を本部長とする対策本部を設置し、原因究明と対策を検討する。記者会見した宇宙科学研究所の常田佐久所長は「全力で原因究明と復旧を進めるが、長い時間がかかる」との見通しを示した。
26日午後4時40分ごろに通信を試みたが、ひとみからの電波を受信できなくなった。最後に交信できた同日午前9時52分のデータを調べたところ、太陽電池パネルの電力が低くなっており、衛星の向きに異常が見つかった。
搭載した蓄電池が空になっても、衛星の向きが変わった太陽電池パネルに光が当たるようになれば電力は復旧する可能性があるという。
ひとみはJAXAと米航空宇宙局(NASA)などが共同開発した。エネルギーの高い天体が出すX線を捉え、ブラックホール観測などが期待されている。