世界の富裕層上位8人の資産、下位50%と同額
NGO報告書
【ダボス=共同】国際非政府組織(NGO)オックスファムは16日、世界で最も裕福な8人と、世界人口のうち経済的に恵まれていない半分に当たる36億7500万人の資産額がほぼ同じだとする報告書を発表した。貧富の格差拡大は社会の分断を招き、貧困撲滅の取り組みを後退させると警告。各国政府や大企業に「人道的な経済」の確立を求めた。
報告書は、8人の資産が計4260億ドル(約48兆7千億円)に上り、世界人口73億5千万人の半分の合計額に相当すると指摘。1988年から2011年にかけ、下位10%の収入は年平均3ドルも増えていないのに対し、上位1%は182倍になったとしている。
オックスファムは貧富拡大の一因として、大企業などが政府の規制や国際政策に影響力を及ぼす「縁故資本主義」を挙げた。富める者の資産の3分の1は相続によるもので、43%は縁故主義に関係していると分析した。
発展途上国は脱税で年1千億ドルを失っているとも指摘。課税制度の是正が不可欠だと訴えた。
オックスファムは、税収拡大や軍事費削減などに取り組めば最貧困層の4分の3を救うことができると主張。「大企業や超富裕層がいかに格差の危機をもたらしているかや、現状を変えるために何ができるかを考えるべきだ」と強調した。
スイス東部ダボスで17日に開幕する世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)ではこの報告書を基に議論が行われる。