悪質なタックスヘイブンに包囲網 OECD租税委が開幕
国際的な課税逃れを議論する経済協力開発機構(OECD)の租税委員会が30日、京都市で開幕し、悪質なタックスヘイブン(租税回避地)を国際社会が封じ込める策を決めた。海外の富裕層らの口座情報の開示に非協力的な国・地域を悪質と判断し、制裁を検討する。国境をまたぐ節税実態を明らかにした「パナマ文書」を受けて、国際社会の協調が一段と進む。
OECDは国際組織の評価など3つの基準をもとに悪質かを判断することにした。税の制度が確立しておらず、金融取引が活発でない途上国は対象から外すが、現時点でもパナマなど20カ国程度が該当する可能性がある。来年にも「ブラックリスト」を作り、各国で制裁を検討する。
グローバル企業を対象にした節税防止策には新たにモナコやマルタ、パラグアイなど36カ国・地域が加わることが決まった。さらにマレーシアなど「21カ国・地域が数カ月以内に参加する可能性が高い」(OECD)。すでに参加が決まっている日米欧など46カ国・地域をあわせ100カ国を超す枠組みになる見通しだ。
麻生太郎財務相は記者会見で「成果をグローバルに広げようとする歴史的な意義をもつ会合だ。」と強調した。ただ、現在の国際ルールには課題もある。タックスヘイブンにある節税を目的にしたペーパーカンパニーは名義と実際の所有者が異なり、実態を把握できないケースが多い。脱税やテロ資金の温床になっている。










