老後「移住したい」、19%にとどまる 内閣府調査
内閣府が17日まとめた「国土形成計画の推進に関する世論調査」で、老後に備えて移住の意向があるか聞いたところ「別の地域へ移住したい」が6.8%、「どちらかといえば別の地域に移住したい」は12.3%で、合わせても19.1%にとどまった。政府は地方創生の一環で都市部の高齢者の地方への移住を促しているが、移住希望者はそう多くないのが実情だ。
「現在の地域に住み続けたい」は57.0%、「どちらかといえば現在の地域に住み続けたい」が22.2%で、8割近くが今の居住地に住み続ける意向を示した。大都市部に限ると「移住したい」が9.7%、「どちらかといえば移住したい」は15.2%と、移住希望者の割合はやや多くなっている。
移住の意向がある人に希望する移住先を聞くと「地方都市部」が55.2%、「農山漁村地域」20.3%、「大都市部」14.0%、「海外」9.6%。年代別では移住希望者は20代が最も多く、移住先も20代は「地方都市部」が47.9%で、次いで「海外」と「農山漁村地域」がともに18.8%で並んでいる。
現在住む地域の将来について「不安を感じている」が49.1%、「不安を感じていない」が50.2%と拮抗。1年前の前回調査では「不安を感じていない」が「不安を感じている」より5ポイントほど多く、地域の将来への懸念が高まりつつある。
不安の理由を複数回答で尋ねると「働く場所や機会が減って収入がなくなること」が大都市で24.7%、町村部が33.3%。「バスや鉄道の運行本数が減って移動が困難になること」が大都市が15.1%、町村部が29.7%。雇用や生活の利便性への不安を地方が強く実感している。
居住地を選ぶ上で重視する条件は「医療・介護の環境が整っている」が65.1%、「商業施設があり買い物が便利」が61.8%だった。国土交通省の担当者は「居住地を選ぶ際には生活に身近な施設が重視されており、医療や福祉、商業等の機能をどう集約するかが問題だ」としている。
調査は8月20~30日に全国の成人男女3000人を対象に実施し回収率は58.6%だった。