東電元会長ら3人強制起訴へ 検察審が起訴議決公表
東京電力福島第1原子力発電所事故をめぐり、東京第5検察審査会は31日、業務上過失致死傷などの容疑で告訴され、東京地検が不起訴とした東電の勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人について起訴議決を公表した。検察審が3人を起訴すべきだと議決したのは昨年7月に続き2度目。今後、東京地裁が指定する検察官役の弁護士が3人を起訴し、刑事裁判が始まる。
議決は17日付。東日本大震災後の津波で発生した未曽有の原発事故について、東電旧経営陣の刑事責任が法廷で争われることになる。
業務上過失致死傷罪で起訴されるのは、勝俣元会長のほか、武藤栄元副社長(65)と武黒一郎元フェロー(69)。
検察審の議決は、東電が震災前の2008年、福島第1原発に最大15.7メートルの津波の可能性があると試算していたことを重視し、勝俣元会長らは電源喪失などの重大事故が発生することを予測できたと判断した。
そのうえで、小型発電機を高台に置くなど電源喪失を防ぐ対策を事前に取っていれば、原発事故は回避できたと結論付けた。
告訴団の武藤類子団長(61)は「被害者は『ようやくここまで来た』という思いの中にいる。今後、刑事裁判で事故の真実が明らかにされ、正当な裁きが下されることと信じている」などとするコメントを発表。
東電広報部は「コメントは差し控える。原子力発電所の安全性強化対策に不退転の決意で取り組んでいく」などとしている。
検察審は有権者から選ばれた11人が検察の不起訴処分が妥当かどうか審査する。8人以上が起訴すべきだと判断すると起訴相当議決となり、2度目の起訴議決が出ると強制起訴される。