生活習慣病の研究中止に 厚労省、データ集まらず
厚生労働省は1日までに、生活習慣病のリスクが高いとされた人に積極的な保健指導をすることで重症化を防げるかを調べる大規模研究「J-HARP」について、2015年度で中止することを明らかにした。
計画通りに対象者を追跡できていないケースが相次ぎ、「信頼性あるデータが集まっていない」のが理由という。13年度から5年間の計画で始まり、これまでに計約3億円が投じられたが、成果を出せないまま研究を終える見通しになった。
研究は大阪大の研究者が中心となり、全国43の自治体が参加した。特定健診で生活習慣病を発症する恐れが高いと判定された人に、積極的に家庭訪問をするなどして医療機関への受診を促し、脳卒中や心不全、糖尿病などによる死亡や入院を予防できるかを調べる予定だった。
生活習慣病を減らして医療費抑制につなげることができるかを調べる狙いもあったという。だが、健診後3カ月以内とされた家庭訪問の実施率が20%にも満たない自治体が出るなどデータの質に問題が発生。厚労省は「改善できる可能性は低い」と判断した。
厚労省の担当者は「来年度はなぜうまくいかなかったかを検証する研究を進め、今後に生かしたい」と話している。〔共同〕