埼玉野菜の寿司いかが? 女性や外国人に好評
「海なし県」埼玉のすし組合が、県産野菜を使ったすしの普及に力を入れている。健康志向の女性や外国人に好評で、製作したレシピ本は他県のすし組合からも問い合わせが。担当者は「魚が取れなくても熱意と工夫で勝負する。埼玉発のすしを盛り上げたい」と意気込んでいる。
甘しょうゆで煮たパプリカのにぎり、のり代わりにズッキーニで巻いた刻みトマトの軍艦巻き……。レシピ本は、旬ごとに分類された、見た目も色鮮やかな野菜すし約40種類を掲載している。
レシピ作りの中心になったのは、組合理事長の関根利明さん(60)。県内のすし店減少に危機感を募らせ、埼玉のすしPRに腐心してきた。2012年には県特産のナマズを使った押しずしを開発。味は受けたが、食材確保や、さばき方などの技術継承が難しく、広がらなかった。
そこで関根さんが着目したのが野菜。近郊農業が盛んな埼玉は産出額が全国7位で「県内どこでも採れ、調理も簡単で普及できる」と考えた。13年、食イベントでブロッコリーなどを使った試作品を出品すると評判が良かった。味付けなどの研究を続け、昨年末にレシピ本が完成した。
現在、県内の約40店が野菜すしをメニューに取り入れており、女性や菜食主義の外国人に人気が高いという。レシピ本を全国すし商生活衛生同業組合連合会の会合で紹介すると、他県の組合やレストランなどから問い合わせが相次いだ。長崎の組合の木本太市理事長は「生魚が苦手な人も楽しめる。すぐにでも取り入れたい」。新潟の組合は、レシピを参考に県産野菜への応用を研究するという。
同連合会の若竹敦史事務局長は「野菜をここまで突き詰めるのは珍しい。地域の特産品で活性化を図る好例」と評価。関根さんは「海なし県の意地が詰まっている。多くの店で活用してほしい」としている。〔共同〕