戦前のニュース伝える写真発見 喜劇王、伝説の選手…
戦前のニュース通信社、日本電報通信が国内紙などに配信したとみられる写真のオリジナルプリント約200枚が14日までに見つかった。伝説的なテニス選手、佐藤次郎(1908~34年)がウィンブルドン選手権でベスト4に入った準々決勝戦、東京・築地の中央卸売市場や神宮外苑の空撮など1930年代前半の写真などが含まれている。
喜劇王のチャプリンやナチスのヒトラーのスナップなど外国通信社提供とみられる写真もあり、ナチスに共感していたとされる英劇作家、バーナード・ショーの背後でチャプリンが冷ややかな笑みを浮かべている写真には「皮肉王と喜劇王」との日本語の説明がある。
公益財団法人新聞通信調査会の鈴木元・事務局長は「戦前・戦中に通信社が配信したニュース写真の実物はほとんど失われており、資料価値が高い」と話している。
見つけたのは東京都杉並区の古写真収集家、石黒敬章氏(73)で、昨年古書店から入手した。
写真はA3サイズのアルバム2冊に貼られており、布張り表紙にはそれぞれ「外国時事写真通信No.11」「航空No.5」と書かれている。
No.11の表紙には「自 昭和八年三月二日」「至 昭和八年七月十日」とある。No.5の表紙の右隅には同盟通信のシールが貼られており、同盟が所蔵していたとみられる。
同盟は戦争協力をめぐる占領軍の追及を恐れ、終戦直後に写真や記事のほとんどを焼き払っており、所蔵写真が見つかるのは珍しい。〔共同〕