米、緩和継続を「再確認」 FOMC、景気「緩やかに拡大」
【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)は7月30、31日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、月850億ドル(約8兆5千億円)規模の量的緩和と事実上のゼロ金利政策を維持する方針を決めた。終了後に発表した声明では量的緩和の規模縮小に関し、向こう数カ月の景気や雇用の動向を見極めて最終的に決める姿勢を示した。量的緩和を終えた後も、極めて緩和的な金融政策を継続する考えを「再確認」するとも明記。市場の早期引き締め観測をけん制した。
量的緩和を巡っては、5月にバーナンキFRB議長が初めて出口政策に言及した後に米長期金利が上昇した。新興国に流れていた緩和マネーが米の株式や債券に逆流するなど市場が混乱。内外の経済動向にも大きな影響を及ぼしている。米国では31日の4~6月国内総生産(GDP)に続き、8月2日には7月の雇用統計が発表される。市場ではこれらの景気指標が金融政策に与える影響について様々な観測が交錯しそうだ。
米景気について声明は、今年前半を通じた経済活動が「緩やか(modest)なペースで拡大した」と表現した。「穏やか(moderate)」なペースとした6月会合の前回声明に比べ若干弱めの見方とされる。市場では景気認識を引き下げたとの受け止めが広がっている。
量的緩和縮小の判断でカギを握る雇用、景気の先行きについては、下方修正リスクが「昨秋以降、減退した」との前回の声明を踏襲した。住宅や個人消費、民間設備投資が改善する傾向が「強まった」と評価する一方で、物価上昇率の低下など米経済にマイナスの要素も併記。全体として、今後の経済状況を慎重に判断する考えをにじませた。
1カ月で850億ドルに上る証券購入についても、景気状況で「増額と減額のどちらも準備している」と従来通り、中立の姿勢を保った。
量的緩和とともにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の幅を現行の0%から0.25%に据え置く事実上のゼロ金利政策も維持。FOMCは米失業率が6.5%を上回り、1、2年先のインフレ率が長期的な目標である2%から0.5ポイントを超えて上回らない範囲でゼロ金利を継続する方針を決めている。
市場では今回のFOMCでこうした数値目標を一部手直しするとの観測もあったが、声明では特に修正を加えず現状を維持した。バーナンキFRB議長は6月前回会合の記者会見で、QE3について「現時点で年内に証券購入ペースを減らし、来年半ばまでに(新規購入を)停止するのが適切」と発言。今後数カ月程度の雇用、景気情勢が大きな焦点となる。