電力、最終赤字1兆円超 東電除く9社、今期見通し
料金、5社が上げへ 関電、4~12月赤字1519億円
東京電力を除く電力9社の2012年4~12月期連結決算が31日出そろい、7社の最終損益が赤字となった。原子力発電所の稼働停止が長期化し、代替する火力発電の燃料費が利益を圧迫した。13年3月期通期の最終赤字額は9社合計で1兆円を超える見通し。
関西電力、中国電力、中部電力が31日発表した12年4~12月期連結決算は、最終損益がそれぞれ1519億円、136億円、22億円の赤字となった。原発を保有する8社で現在稼働しているのは全34基中、関西電の大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の2基のみ。代替の火力発電で9社の4~12月期の燃料費は3兆1千億円超と、前年同期から7千億円近く増えた。
9社合計の4~12月期の赤字額は5628億円と前年同期から1200億円弱悪化。通期の赤字額は約1兆100億円と大台を超える見通しだ。九州電力、関西電、北海道電、四国電、中国電は過去最大の赤字となる。
輸入に頼る燃料は為替の円安も影を落とす。中部電は1~3月の想定レートを1ドル=80円から90円に見直した結果、370億円の収益悪化要因となる。
北陸電も年間で30億円程度の減益要因だ。12月末時点の関西電の自己資本比率は17.7%と12年3月末から2.4ポイント低下。北海道電は通期の自己資本比率が10%を割り込む可能性もある。
各電力会社は火力発電の補修の繰り延べなどで修繕費を切り詰め、人件費も削減しているが、燃料費の増大を補うには至っていない。関西電と九州電は値上げを申請済み。関西電の八木誠社長は31日の会見で、「高浜原発3、4号機の再稼働や、大飯原発3、4号機の運転継続に全力を尽くす」と強調した。
東北電の海輪誠社長は「近いうちに(値上げを)最終判断したい」と語り、2月にも申請する考えを示した。北海道電の川合克彦社長は「遅くとも3月末までに判断したい」と述べた。四国電は早ければ2月中旬にも申請するとみられる。
中部電、北陸電力の12年4~12月期連結決算は、原発依存度が小さいこともあり最終損益が改善した。中部電の水野明久社長は値上げについて「経営効率化に努め、1日でも長く現行の料金水準の維持に努める」と慎重姿勢を示した。
原発の新安全基準に対応するには電力会社全体で1兆円規模の負担が必要になる見通しで、電気料金を押し上げる要因になる可能性がある。