求人倍率1.07倍に上昇 3月、企業が積極採用
07年来の高水準
雇用の改善が続いている。厚生労働省が2日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍と前月から0.02ポイント上がった。改善は16カ月連続で2007年6月以来の高い水準。失業率も2月と同じ3.6%だった。増税に伴う駆け込み需要の反動で一時的に景気は減速する見通しだが、早期に回復軌道に戻るとみて企業が積極的に人を採用している。
有効求人倍率はハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示し、高いほど仕事を見つけやすい。厚生労働省は4月前半の状況を見ても、求人や求職にはそれほど変化はなく、「雇用の面では消費増税は大きな影響がなかった。人手不足感が強まっているので、今後も雇用は堅調に推移する可能性が高い」(職業安定局)とみている。
3月の新規求人数(原数値)は前年同月と比べて5.4%増えた。業種別に見ると、製造業が自動車や電気機械を中心に18.4%増えた。人材派遣などサービス業(13.7%増)、運輸・郵便業(7.7%増)も好調だった。高齢化に伴って医療福祉も6.4%伸びた。一方、卸売・小売業は1.8%減と3年11カ月ぶりに減った。新規求人倍率(季節調整値)は1.66倍と前月より0.01ポイント下がった。
企業の有効求人数が前年同月より10.0%増えた一方、有効求職者数は10.5%減った。生産年齢人口が減るなかで失業者の再就職が進んだ結果、職を探す人が減っている。
13年度の職業別の有効求人倍率を見ると、建設や警備、医療介護といった職業で企業の求人が求職を上回り、人手不足が深刻だ。一方、一般事務や機械組み立てなどの仕事は、求人数が少なく人手が余っている。
正社員になるためのハードルは依然として高い。3月の正社員有効求人倍率(原数値)は0.65倍だった。前年同月より0.13ポイント高く、比較できる04年以降では3月としては最高だが、正社員の仕事を探す人の数がなお仕事の数を大きく上回っている。
総務省が2日まとめた3月の完全失業率(季節調整値)は3.6%と前月と同じだった。水準としては07年7月以来の低さ。仕事についている就業者数(季節調整値)は6346万人と男性を中心に前月より0.2%増えた。働いておらず、職探しもしていない非労働力人口は減少が続いている。