「ハル・ノート」は、アメリカが日米開戦に持ち込むための挑発だったのか
前回の記事で、わが国に日米開戦を決断させたとされる「ハル・ノート」を書いたのは、後にソ連のスパイであったことが判明した米国財務省次官のハリー・ホワイトであったことを書いた。また当時のルーズベルト政権の内部や周りには、ハリー・ホワイトだけでなく数多くのソ連スパイや工作人、協力者が存在したことが、戦後アメリカが解読に成功したソ連の情報文書(『ヴェノナ文書』)で判明しているのだ。この『ヴェノナ文書』だけで...
日本軍が真珠湾に向かっていることを知りながら手を出させなかったアメリカ側の事情
このブログで日中戦争からハル・ノートまでの流れをいろいろ書いてきたが、アメリカが絡む問題で、一つ書いておきたいことがある。アメリカで1935年に成立した「中立法」という法律があるのだが、この時代を読み解くにあたっては、この法律を理解しておくべきであることを最近になってようやく分かってきた。この法律を調べると、米大統領が、戦争状態にある国が存在していることまたは内乱状態にある国が存在していることを宣言し...
真珠湾攻撃のあとでわが国が対米宣戦布告をしたのは故意か過失か
前回は、ルーズベルトが真珠湾に向かっていることをわかっていながら、なぜハワイにいたキンメル太平洋艦隊司令長官にその情報を知らせなかったかという問題について、ルーズベルトは、中立法の束縛を解いて第二次世界大戦に参戦するために、日本軍に最初の一発を撃たせようと考えていたのではないかということを書いた。この説は、日本軍による真珠湾攻撃が「騙し討ちだ」とする「通説」の内容とは全く異なるのだが、ルーズベルト...
太平洋戦争緒戦の日本軍の強さは米英軍の予想をはるかに超えていた
前回まで2回に分けて日米開戦の経緯について書いた。 真珠湾攻撃のことはあまり書かなかったが、アメリカ側は、戦艦8隻の内5隻が沈没され3隻が損傷により航行不能となったほか、航空機188機が破壊されて、戦死者が2345名など米軍の被害はかなり大きかった。一方日本軍の損害は、航空機29機、戦死者55名と少なく、日本軍の奇襲は大成功に終わっている。アメリカは目論見通りに挑発によって日本軍に真珠湾を奇襲させたのだが、ここま...
「大東亜共栄圏」の思想が広められた背景を考える
昭和前期の「日本史」を学んだ際に、資源の乏しいわが国がアメリカにより経済封鎖されながら、「大東亜共栄圏」とか「東亜諸民族の解放」というスローガンを掲げて、植民地となっていたアジア諸国を解放するために戦おうとしたことにずっと違和感を覚えていた。資源のないわが国には、他国の為に貴重な資源と富を費やして戦うほどの余裕があるはずがないと考えていたからだ。いつの時代でもどこの国でも、戦争を始めるには国民を納...