rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

2023年とそれ以降の超過死亡推移

2024-12-14 09:36:50 | 医療

日本の死亡者数が2021年以降増加し、それまでと比較した超過死亡が増大していたことは国会でも議論され話題になりました。世界でも同じ傾向が見られ、その原因は「新型コロナ感染症」と「コロナワクチン」で100%間違いないのですが、多くの人はそれが科学的真実であっても認めたがりません。ワクチンについての批判的論説が未だにSNS上で「禁忌」とされている事自体が「ワクチン犯人説」を自ら証明していることになります(全く根拠がないなら禁止する必要もない)。

 

I.  ワクチン投与が2022年に終了した国々では超過死亡は減少しつつある

名古屋大学名誉教授の小島勢二氏が引用したOECDの各国の超過死亡のまとめではワクチン投与を続ける日本だけが超過死亡が増加したままであることが解ります。一時非常に増加していた米国の超過死亡も図の様に収束しつつあるように見えます。このようにワクチン投与が終了した多くの国では超過死亡が収まりつつある所もあるようですが、遺伝子ワクチン接種や変異種による新型コロナ感染症には、免疫機能を弱める作用があると考えられ、「がんの罹患数」は増加しているデータが出ています。

米国のがんによる死亡者数が2021年以降想定よりも増加し続けているというCDCの集計

ワクチン推進派の人達には都合が悪いデータですが、英国の保健省が集計した2021年7-9月期の死亡者数でワクチン非接種者と接種者(一度以上)を比較した図は、母集団で80%の国民が接種者であるという背景を含めても右側カラムの接種者の比率が異常に多い事が明白です。これは前後の月の統計も同じです。

 

II.  死亡者数は2024年現在も増加したままである。

2018年から2024年7月までの死亡者数月別推移を示します。この図で明らかな様に、2016年から新型コロナ感染症が流行し始めた2020年までは日本の死亡者数は、微増傾向はあったもののほぼ一定であったと言えます。しかしコロナに多くの国民が罹患し、しかもワクチン接種が本格的に始まった2021年4月以降日本の死亡者数が増加を始め、毎月1万人単位で増加したままであることが図から明らかです。22年23年は8月にも死亡者数が跳ね上がっており、「熱中症で」という言い訳がなされましたが、私は病院で救急外来を含む死亡診断書を全例確認してきた経験からそれだけで説明はできないと考えます。ワクチン接種をやめた他の国々で超過死亡が減少しつつある現実をどう説明するのでしょう。

 

III.  ワクチン接種回数と超過死亡が相関している証明

ワクチン接種率と超過死亡の多さの相関についてweb論壇のUnz reviewにおいて、ユージン・クスミアク氏がOur world in dataで利用可能であった57か国の一人あたりのワクチン接種回数と翌年の超過死亡率に相関があるかを計算して報告したものを示します。2021年に国民一人が接種した回数に対する2022年のその国の超過死亡率(赤プロット)と、2022年に国民一人が接種した回数に対する2023年のその国の超過死亡率(緑プロット)(計114プロット)を合わせて示したものです。日本を除く多くの国は既に2022年にワクチン接種は行われておらず、超過死亡が2021年の各国のプロット(赤)より減少していることが解ります。この図から国民一人1回のワクチン接種で翌年の超過死亡率が6.2%増加するという結果であり、この結果がランダムに発生する可能性は0.0%(P値)で明らかにワクチン接種と超過死亡の増加は統計的に有意性があります。

以下厚労省の人口動態統計のまとめから日本の死亡者数とその内訳についての推移を記します。

 

IV.  2023年死亡の内訳は悪性腫瘍、心疾患、老衰が増加

厚労省の死亡統計から1947年から2023年までの人口10万人あたりの各疾患の死亡者数を示します。超過死亡が増加した直近の2-3年においては、悪性腫瘍は緩やかな伸び、心疾患と老衰が著明に増加していることが解ります。多忙な救急外来の現場において、心肺停止で搬送されてきた患者の死体検案書用の死因判定にかける時間は5分がせいぜいです。明らかな基礎疾患が悪化して死亡したことが明らかでなければ、事件性がないと判断されたお年寄りは「老衰」、中年以下の人は「急性心不全」と死体検案書に記入します。それが救急現場の現実です。良く分からない状態で亡くなっても全員CT検査や病理解剖を行うわけではありません。ワクチン接種後の体力低下、易感染性、無症候性の心筋炎による心不全の増加など因果関係を特定しにくい中長期の合併症がこれらに関係している可能性は否定できないと考えます。勿論公に認めることはしないでしょうが。

同じく死亡統計の中のがん死の内訳を示します。がん全体では緩やかな増加でしたが、図の様に胃がん、肝臓がんなどは男女共に減少傾向にあります。一方で肺がん大腸がんすい臓がんなどは明らかに増加しています。非常に進行が速い悪性度の高い癌がワクチン接種とともに増加した傾向はありましたが、全ての癌が罹患してその年に亡くなる訳ではありません。ワクチン接種が終了してもがんによる死亡が増加しつづける理由がそこにあります。

 

V.  遺伝子ワクチンの問題点を記事にしています

Noteなどの現在発売中の雑誌記事の内容の一部を閲覧できるwebがありますので、公開されていた「紙の爆弾2025年1月号」に掲載されたrakitarouの記事の一部を載せますので続きを読みたい方は是非ご購入の上お読みください。

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シリア情勢を決めたプレーヤーたち

2024-12-10 10:09:41 | 政治

2024年12月9日、ロシアはシリア大統領のバッシャール・アサド氏の亡命を受け入れたことを認め、実質的にアサド政権は崩壊し、シリアの実権は反政府勢力のシリア解放機構ジャウラニ指導者の指揮下に入った様です。予想外の速い展開に専門家と称する人達含めて世界中の誰もついてゆけない状況だったのではないかと思います。

米国が懸賞金付きテロリストと指定した男が新国家代表になってしまった。

今までの経過や今後の展開について、種々の考察がなされていますが、余りに多くの勢力とそれぞれの利害が絡み合っているので予測不可能にも思います。そこでわかる範囲でこれらのプレーヤーについてまとめてみます。

関与したプレーヤーと内容・利害

アサド政権側

反政府勢力側

〇アサド大統領

2024年11月頃から政権基盤が揺らいでいた事を認識、家族にロシアへの亡命を進めていた。

政府軍を率いる弟のマーヒル・アサド少将は、第4機甲師団などを支配地域から抵抗させることなく撤収。大統領と共に亡命。

 

〇ロシア

地中海への拠点となるヘメイミム空軍基地、ラタキア海軍基地を保有。アサド政権を支援してきたが、今後はその存続をめぐって新政権と交渉する予定。

敢えて強力な攻撃を今回行わなかった背景には米国などとの協定があった可能性も。

 

〇イラン

イスラエル、米国と本格的戦争に入りたくない状況があり、シリア国内の革命防衛隊は既に撤収したと見られる。

 

〇シリア解放機構

アル・カイダ、アル・ヌスラ戦線が前身。3万人の兵を有する今回の政変の主役。イスラム原理主義のスンニ派。

 

〇シリア国民軍(トルコが支援、スンニ派)

 

〇クルド人勢力である(SDF)もシリア北東部を支配しており、5-6万人の戦闘員がいる。

 

〇イスラエル

今回の政変で最も得をしたと言われる。イランからヒズボラへの支援を切り、シリア国内のヒズボラの存在をなくすことに成功。ゴラン高原の安全確保、勢力拡大?

 

〇トルコ

イスラエルとガザ情勢では対峙していた様で、石油輸出などでは連携していた。今回の政変で大量のシリア難民とクルド人勢力との対立を何とかしたい。

 

〇米国

イスラエルと何等かの連携があった。イラン封じ込めを含めてイスラエル支持の次期トランプ政権も何等かのディールで関与か。おそらくロシアともウクライナ情勢の決着を含めてディールがあったと思われる。

 

背景

そもそもの背景は、2011年のアラブの春の際のシリア内戦ぼっ発で、2009年アサド政権がカタールからトルコへ抜けるパイプライン設置を拒否し、イランからレバノンへのイスラムパイプラインを認めたことからCIAは反政府勢力(アルカイダとかISなど)を支援してアサド政権転覆を画策したことに始まります。表面的にテロ組織ISなどを掃討するふりをしていた米国は、2015年ロシアがアサド政権支援に本格介入して空軍基地をアサド国際空港に隣接して建設するなどし、ISは一掃されてしまっていた。

トランプ次期政権を含めて各国の様々な思惑が入り乱れる。

多くの予想では、今後10年シリアは各勢力が入り乱れて荒れ続けると言われています。

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紛争拡大を狙う勢力

2024-12-05 14:20:09 | 社会

I.  指揮官のいない米国

 ずっと拒否していたロシア国内への長距離ミサイル使用許可を2024年11月19日バイデン不在中に米国は決定、同21日には英国のストームシャドウを、23日にはフランスがスカルプ(フランス版ストームシャドウ)の使用を容認する決定を行いました。もっともATACMSは60基(既に10基使用)、ストームシャドウは各10基ほどしかウクライナにはなく、戦局を変える力はありません。ゼレンスキーはドイツの長距離ミサイル(射程500km)タウルスの供与を希望し、米国製の陸上発射トマホーク(射程3000km)の供与を切望しています。これらが使用されれば間違いなくロシアはNATOに対して核の使用も辞さない戦争拡大を進めてくるでしょう。これは紛争終結を狙うトランプ就任の2025年1月20日までに紛争拡大を狙う米国ネオコン勢力が画策した結果生じている動きと思われます。

 来年1月までの米国政治は誰が責任を持って取り仕切っているのか、誰も答えられません。イエレン財務長官は10月23日に200億ドル(3兆円)の追加支援をロシアの凍結資産を活用して行うと表明していますが、凍結資産の現金化など誰が具体的に行えるのか不明です(米国が買い上げて現金化するとなると結局税金)。現在大統領失格と民主党から烙印を押されたバイデン大統領がアフリカを訪問して6億ドルの支援を表明(ウクライナに比べてちゃちい)していますが、CNNではその内容説明をCSIS(戦略国際問題研究所)の解説員がしていた所からも、政権に通じたネオコンシンクタンクの一部が政策を決めている様です。当然終わりを迎える政権が行ったことなど誰も責任を取らないでしょう。

 

II.  ウクライナの行方

領土割譲に言及しはじめたゼレンスキー  ロシアが検討しているとされるウクライナ分割案

 ゼレンスキーは最近やっと領土割譲の上での和平交渉の可能性に言及し始めましたが、戦争に負けている側が口にする内容ではありません。プーチンが提案するウクライナの未来図は図の様な3分割で、西から「紛争地域」「親ロシア国」「ロシア領」の3つに分かれます。戦勝国のウクライナ統治の出発点はこれであり、ここからどこまでロシア側から譲歩を引き出せるかです。西の紛争地域はポーランドやルーマニアなどが分割統治する決着になる可能性もあります。ウクライナ国民が平和に暮らすには、親ロシア国で欧米の資本を排除した上で自分達が統治できる態勢を作ることが大事でしょう。

 一時北朝鮮の兵がクルスク戦線に一万人投入などというヨタ記事が西側諜報部経由で盛んに流されましたが、前線のウクライナ兵で朝鮮軍を見た兵士は一人もいないそうです。この北朝鮮フェイクニュースが今回の韓国戒厳令騒ぎにも一枚かんでいることが解ってきました。

 エコノミスト誌などによると、ウクライナは毎月約19,000人の「兵士」を募集していると述べているため、1か月あたり23,000人の死傷者と推定できるが、これには脱走兵も含まれるようです。ウクライナの脱走兵の多さは救いようがないほどですが、今年の脱走兵が10万人(一説には20万人)だとすると、1日あたり274人、つまり1か月あたり約8,300人となる。これを23,000人から引くと14,700人になる。これを30で割ると、1日あたり約500人の死傷者となる。言い換えれば、ウクライナ兵の1日の損失は、死者250人、重傷者250人、脱走兵274人で、1日あたり約770人の「死傷者」、つまり1か月あたり23,000人の損失となる。この中には軽傷の死傷者は含まれていません。一日も早く戦争を終わらせる(無条件降伏でも)事がウクライナの国民を守る唯一の方策であることが解ると思います。

 

III.  突然のシリア内戦の再燃

シリア情勢を解説したmiddle east eyeの記事   レバノンからアレッポへの反政府軍の動きヒズボラも関与か

 2024年11月、ハヤト・タリハール・アル・シャム(HTS)などの反政府勢力がシリア第二の都市アレッポとその空港、軍事基地などを突然占領したというニュースは世界を驚かせました。シリア内戦はロシアがISなどを掃討した結果ある程度沈静化していたと思われたからです。米国が間接的にIS他の反政府勢力を支援していた事は明らかでしたが、ウクライナ戦争やイスラエルへの支援でそれどころではない状況でした。今回イスラエルがヒズボラと停戦に至ったタイミングでシリア内戦の激化に至ったのは偶然ではない様です。この4年間500万人のシリア難民がシリア北部の反政府勢力の支配地域で過ごしていましたが、極度の貧困と生活苦で困窮していたことは知られていません。またトルコにも300万人のシリア難民がいて、シリア北部のクルド人支配地域がトルコと対立しているため、今回の攻撃にはトルコの後押しもあるとされます。イラン、ロシア、シリア政府(アサド政権)は、反政府勢力と対峙していますが、今回の内戦再燃が組織立って行われていない、資金の出所と流れが明確でない事などからアサド政権を倒すほどの広がりは見せないと思われます。

 数週間前、イスラエルのギデオン・サール外相は、トルコとイランを弱体化させるために、クルド人やドゥルーズ派など、この地域の無国籍少数派との正式な同盟 構想してい た、と言われます。この試みはうまく行かないと思います。

 

IV.  グルジア(ジョージア)内紛

 ジョージアのコバヒゼ首相は政府がEUへの加盟交渉を中断(延期)すると表明し、首都トビリシほか複数の都市で親欧米派の市民が抗議行動を起こす事態になっています。米国は12月1日に独裁的傾向(親ロシア傾向の言い換え)が強まるジョージアとの戦略的パートナーシップを停止すると通告したとされ、3000人以上の公務員らがEU加盟手続きの延期に抗議する署名が出ています。親欧米派のサロメ・ズラビシヴィリ大統領は、あと数週間で任期満了により辞任するため、その後継の如何でジョージアの親欧米か親ロシアかの行方が変わります。つまり2014年のウクライナマイダン革命の再現が行われていると考えると分りやすいです。CIAやソロス財団は親欧米グループに反体制騒乱を仕掛ける試みを、金をかけて行っている最中でしょう。今後の展開が注目されます。政府側が民主化勢力(親欧米)のデモに発砲(CIAが金を出して政府側を装った民間軍事会社などにやらせるのがウクライナ方式)などするとCIAネオコン好みの展開になること必至です。

 

V.  韓国のクーデター失敗

 2024年12月3日午後10時に韓国尹大統領は緊急談話で45年ぶりとなる戒厳令を宣布し、突然の発表に世界が騒然となりました。午後11時には韓国軍が国会に突入し、議事堂周辺には軍が出動し、市民と対峙する状況になりました。これは1978年の朴政権が民主化運動に対して発した戒厳令以来でしたが、何故今戒厳令かが疑問とされました。

 まだ推測の域を出ませんが、少数与党の尹政権は、予算や種々の法案が通らず、次の選挙でも勝つ見込みがない状況から切羽詰まった状態であったという背景はありそうです。北朝鮮ウクライナ参戦デマを韓国軍諜報経由で盛んに出して危機感を煽りましたが、韓国民衆は乗ってきませんでした。米ネオコン、CIAとしては、韓国軍もウクライナに派兵させることを念頭に尹政権に揺さぶりをかけていましたが、米国覇権からの独立を主張する「共に民主党」多数派は反対していました。今回の戒厳令は、米国黙認(推奨)の軍主導(国防相は大統領の高校の同窓、金龍顕)クーデターであった公算が強いです。消息筋は「今回の戒厳令は『清岩派』が画策したものとみられ、金国防長官が尹大統領と直接調整している」と言われます。(「清岩派」とは、ソウルの清岩高校の卒業生)これらの情報は前から流出していたらしく、国会民主党側の反応は異常に早く、韓国国民の抗議のための集合も非常に速やかであり、6時間で戒厳令無効決議が議決されて解除される結果になりました。大統領の発表からわずか150分後、国会議員300人のうち191人が戒厳令の即時解除に投票した。軍隊と警察が議会に突入したが、戒厳令反対の投票はすでに行われていました。労働組合はストライキを行うと発表し、人々は大統領の行動に抗議するために街頭に繰り出していました。尹氏の側近たちは総辞職を申し出、譲歩する以外に賢明な道は残されていなかったと言えます。

 バイデン政権のアジア担当副国務長官カート・キャンベル氏は次のように述べました。

「したがって、我々は韓国の最近の動向を深刻な懸念をもって注視しています。我々はこことソウルの両方で、あらゆるレベルで韓国のカウンターパートと連携を図っています。大統領、国家安全保障担当大統領補佐官、国務長官はいずれも状況の進展について報告を受けており、状況の進展について随時報告を受けています。韓国との同盟関係は堅固であり、不安定な時期に韓国の側に立つことを強調したい。また、いかなる政治的紛争も平和的に、法の支配に従って解決されることを強く望み、期待していることも強調したい。」

ほぼ同じ内容を石破首相も国会で答弁していたようです。

クーデターが続く中、韓国の米国大使館は法の支配や民主主義については何も語りませんでした。注目すべきは、駐韓国米国大使フィリップ・ゴールドバーグ氏が、ボリビアとフィリピンの現政権転覆を企てたとして、以前に両国から追放されていたことです。同氏は1月に韓国を離れる予定です。ゴールドバーグとワシントンDCはユン氏の戒厳令計画についてCIAと下部組織のKCIA経由で知らされていたと思われます。

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祝バッタチャリア氏NIH長官指名

2024-11-28 08:37:47 | 医療


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20241127061

トランプ次期大統領は「都市閉鎖やワクチン義務化などの誤ったコロナ政策」を早くから批判していたスタンフォード大学の医療経済学者ジェイ・バッタチャリア教授を次期NIH長官に指名しました。保健長官に指名されたRFKジュニア氏と同様誤った医療・公衆衛生政策を科学に基づく正しい方向に軌道修正する上で強力な人選が行われたと言えるでしょう。

rakitarouが2020年10月13日のブログでロックダウンやPCRによる感染診断は誤り(FDAもこの時点で明確に表明していた)であるという欧米5,000名以上のまっとうな医師・科学者が署名したGreat Ballington宣言について紹介しましたが、狂った日本のメディアは完全にスルーでした。バッタチャリア医師はこのバリントン宣言の提唱者の一人です。

AP通信の記事引用

トランプ大統領、COVID集団免疫を支持したジェイ・バッタチャリア氏を国立衛生研究所の所長に指名

ドナルド・トランプ次期大統領は、パンデミック対策のロックダウンやワクチン接種義務化に批判的な医療経済学者ジェイ・バッタチャリア博士を、米国を代表する医療研究機関である国立衛生研究所の所長に選んだ。

トランプ大統領は火曜日夜の声明で、スタンフォード大学医学部の56歳の医師で教授のバッタチャリヤ氏が、保健福祉省長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏と協力し、「国の医学研究を指揮し、健康を改善し、人命を救う重要な発見をする」と述べた。「ジェイとRFKジュニアは協力して、慢性疾患や疾病の危機を含むアメリカ最大の健康問題の根本的な原因と解決策を調査し、NIHを医学研究のゴールドスタンダードに回復させるだろう」と彼は書いた。

バッタチャリア氏をこのポストに選ぶという決定は、COVIDパンデミックが政治と公衆衛生に及ぼす継続的な影響を改めて思い起こさせるものだ。バッタチャリヤ氏は、ロックダウンが取り返しのつかない損害を引き起こしていると主張する2020年10月の公開書簡「グレート・バリントン宣言」の3人の執筆者のうちの1人だった。

この文書は、新型コロナウイルスワクチンが利用可能になる前、トランプ政権時代に作成されたもので、感染リスクの低い人々は感染を通じて新型コロナウイルスに対する免疫を構築しながら通常通りの生活を送るべきであるという考えである「集団免疫」を推進している。文書では、保護はむしろリスクの高い人々に重点を置くべきだとしている

「ロックダウンは公衆衛生上の最大の過ちだったと思う」とバッタチャリヤ氏は2021年3月、フロリダ州のロン・デサンティス知事が主催したパネルディスカッションで語った。

(引用終了)

医学や自然科学の正しい答えは一つしかない

文系の社会科学における倫理や政治においては、正しい答えは複数存在しえるのですが、理系の医学・自然科学は正しい答えは一つしかありません。毒性が低く、感染力が強い新型コロナ感染症への対応は「集団免疫の獲得」の一択であることは発生後半年から1年で末端の医師である私を含め、世界中の多くのまっとうな医師、科学者は見抜いていました。専門家ほど早く気付くものであって、今では世界中の一般市民の人々も納得している科学的真実です。

「底に穴の開いた船は沈むという科学的真実」を「真実を告げられては都合が悪い権力者」は認めようとしないでしょう。科学者でも自分の地位保全のために忖度で科学的真実を曲げる曲学阿世の輩は「穴は小さいから大丈夫」の様な見解を出します。権力者は「科学者の先生が言っているから科学的に認められた」と言い、「穴が開いているのは危険だ」と真実を伝える者を「フェイクニュース」「陰謀論者」として葬ろうとするでしょう。しかし科学的真実は変える事はできません。いよいよ浸水して船が沈みそうになって「誤魔化しきれない」状況になると真実を認める他ないのです。

新型コロナに対する異常な対応、リスクのみで利益のない遺伝子ワクチンの推奨、誤魔化しきれない真実を突きつけられて「曲学阿世の輩と権力者」が右往左往し始めているのが現在の状況です。

世界で未だにワクチンを勧める日本の異常さについて、2025年1月号の「紙の爆弾」12月初旬発売にrakitarouが記事を載せましたので是非お読みください。

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ロシアによる新型中距離ミサイル発射の意味

2024-11-24 22:02:56 | 社会

2024年11月21日、米英がロシア領内への長距離兵器使用を許可し、実際にウクライナがATACMSをブリャンスク地域のロシア67GRU補給処に、ストームシャドウをロシア領内に侵攻しているクルスクのロシア軍指令所に打ち込んだ報復として、新型の中距離弾道ミサイルIRBM「オレシュニク」(ヘーゼル)をドニプロにあるユジマシュ・ミサイル工場に打ち込みました。ミサイル攻撃に対して、新型ミサイルを敵のミサイル工場に打ち込む事は種々のメッセージが込められていると思いますが、これについて2024年11月22日のMoon of Alabamaサイトが最もよくまとめられていたので参考までに転載します。

(引用開始)

これまで、ロシアの新しいミサイルの詳細は知られていませんでした。今回のロシアによる新型ミサイルによる攻撃は、ヨーロッパでロシアに対する覇権を獲得しようとするアメリカの十年にわたる努力に対する明らかな反撃です。

ミサイルは、達成できる射程によって分類できます。

  1. 短距離弾道ミサイル(SRBM)は、約1,000キロメートルの射程内の標的に使用します。通常、戦術的なシナリオで使われ、地域的脅威に迅速に対応できます。
  2. 中距離弾道ミサイル(MRBM)は、運用範囲を約3,500キロメートルに拡張します。これらのシステムは、大陸間システムに頼ることなく、より遠くの目標への攻撃を可能にし、国家の抑止能力を強化します。
  3. 大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、5,500キロメートルを超える能力を持つ最長射程のカテゴリーで戦略的な抑止力として機能し、大陸を越えて核を含む弾頭を運び、拡大抑止を含む世界の安全保障力学に影響を与えます。

米国、ロシア、中国は、3種類の兵器をすべて開発している。1980年代後半、ソビエトの指導者ミハイル・ゴルバシェフの主導で、アメリカとソビエト連邦は中距離核戦力全廃条約(INF条約)に署名した。

INF条約は、両国の核弾道ミサイル、通常地上発射弾道ミサイル、巡航ミサイル、ミサイル発射装置の射程が500-1,000 km (短距離中距離)および1,000-5,500 km(中距離)のすべてを禁止した。この条約は、空中発射または海上発射ミサイルには適用されなかった。1991年5月までに、両国は2,692発のミサイルを廃棄し、その後10年間にわたる現地検証検査を行った。

一定射程のミサイルの配備が禁止されている一方で、ミサイルの開発は続けられました。2008年頃、ロシア連邦はRS-24(ヤーズ)大陸間ミサイルの基本設計を使用して、より柔軟で軽いシステムを開発した。その結果、RS-26ミサイルの取り扱いが容易になりました。これは大陸間ミサイルとして分類されるのに必要な射程を達成することができたし、実際に達成したが、その輸送能力は実際には効果を発揮するには小さすぎた。

2018年初頭、ロシア連邦はRS-26のさらなる開発をすべて停止することを決定し、より有望な極超音速滑空機アヴァンガードに資金を投資した。

しかしロシアがRS-24の開発を延期する決定をした数ヶ月後、米国はINF条約から離脱した。アメリカは、ロシアにおける特定の巡航ミサイル開発が条約に違反していると主張したが、撤退の本当の理由は別のところにあった。それは南シナ海を含む太平洋における中国の軍備増強に対抗する必要性であり、中国が条約に署名していなかったため、米国は離脱したのだ。バラク・オバマ大統領の任期にまでさかのぼるアメリカ当局者は、このことを指摘している。

米国のINFからの離脱は、ミサイル防衛が限定的であった弾道弾迎撃ミサイル条約からの米国の2002年の離脱と一致していた。その後まもなく、アメリカは東ヨーロッパに「対ミサイル施設」を建設すると発表した。これらの施設は、ロシアに向けて攻撃的な巡航ミサイルを発射するために転用できるものだった。

2024年7月、NATOは、米国が2026年からドイツに核搭載可能な中距離ミサイルを配備すると発表した。これは、INF条約が発効する前にヨーロッパが経験していた危険な状況を再現することになる。アメリカ本土の関与なしに、ヨーロッパ内での核戦争が再び可能になるだろう。ロシアはついに脅威に対応する必要に迫られた。NATOの発表から数週間後、ウラジーミル・プーチンは、これらの計画に対して反応した。そしてロシアは独自に対抗処置を講ずると発表した。

昨日のドネプロペトロフスクのユジマシュミサイル工場への攻撃(ビデオ)は、ロシアの新たな能力の最初のデモンストレーションだった。オレシュニク(ヘーゼル)と名付けられた新しいミサイルは、RS-26の派生型で、射程が短く、弾頭は6個(以前の4個ではなく)の複数独立標的再突入体(MIRV)です。各再突入体は6つの子弾を搭載できる。弾頭は極超音速で目標に突入し、その運動エネルギー、高爆発性または核のせん断力によって目標を破壊します。ミサイルは固体燃料を使用し、道路移動が可能です。カモフラージュされた位置から緊急に発射できます。

ロシアから発射されたミサイルは、20分以内にヨーロッパのどの目標にも到達でき、大気圏に再突入すると、ミサイルの弾頭は毎秒3〜4キロメートルの極超音速に達し、それらを止められる防空システムは世界にありません。

このような巨大な能力の驚くべき成功裏の実証は、ヨーロッパの戦略家にとって大きな警鐘です。欧米至上主義のネオコンの話に騙され、ロシアの能力を過小評価して、ヨーロッパ人は、ウクライナにおけるロシアへの代理戦争で勝利でき、利益誘導できると見込んでいた。しかし結果はヨーロッパは、壊滅的な力で、わずか数分の通知で、あらゆる政治・産業中枢に到達できるロシアの新兵器に対して無防備となった。

幸いなことに、まだ進路を変える時間があります。

ロシア大統領は、新機能を発表する一方で、その配備を制限する提案(ビデオ)も行った。

つまり米国が誤りを認めて世界の米軍基地に中距離ミサイルを配備しないと決定するならロシアは考えを改めるだろう。もしアメリカとヨーロッパの追従者たちが、ロシアに対して更なる攻撃を犯せば、ウクライナ以外の標的を狙う可能性のある、より厳しいオレシュニクの「テスト」が追求されるだろう。ロシアは独自の安全保障に対する脅威に基づいて、ロシアの軍事施設に対して、自国の兵器の使用を許可している国の軍事施設を攻撃する権利があると考えており、攻撃的な行動がエスカレートした場合には、断固として、鏡のような態度で対応する、と宣言している。

 

(以上)

元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏によると米軍はロシアとの核戦争に備えていると軍人が勝手に発表した。

ロシアの新型ヘーゼル(オレシュニク)ミサイルは、ロンドンに16-17分、ベルリンに11-12分、パリに15-16分で到着可能になった。

駐英ロシア大使は、テレビのインタビューで、記者団に語った:この[ロシアに対するストームシャドーミサイルの]発射は、NATOとイギリスのスタッフなしでは起こり得ないから、イギリスは今、ウクライナ紛争に直接関与している、と述べた。

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの大使館の職員がウクライナを去った。ほとんどがポーランドにいますが、一部は既に帰国しているという。中国の外交官やベルギー、オランダ、スカンジナビア諸国の代表もウクライナを離れた。

世界は核戦争に一層近づいている、と警告しています。

日本のメディアで具体的に核戦争の危機について伝えているものが皆無なので緊急で記してみました。

 

追記 2024年11月27日

新型ミサイル「オレシュニク」は従来型と比較できない破壊力かもしれない

ロシアが自国領土への攻撃への報復として新型ミサイルを使用した状況は徐々に詳細が明らかになってきています。初めに上図の様に6発のミサイルが別々に各6発の小弾に分かれて着弾する様子がビデオに流れたのを見た方が多いと思いますが、ウクライナがロシアの弾薬庫などを破壊した時の画像と比べて着弾後の爆発が見られない事が異様に感じました。着弾後の建物が次の図ですが、地上の建物の破壊は余り派手ではない事が解ります。

このヘーゼルと言う名の新型ミサイルは極超音速で着弾し、地下深くまで達してそこにある物を焼き尽くすという西側のバンカーバスターの強力版の様な作用を持っている事が次第に明らかになってきました。つまり核爆弾や燃料気化爆弾の様な派手なキノコ雲を着弾とともに出すことはないのですが、その破壊力は非常に大きい可能性があるという事です。一部の軍事専門家からは東西の軍事力バランスを変えるゲームチェンジャーになるかも知れないと言う推測も出ています。まだ詳細は不明ですが、スターマー英首相やマクロン仏大統領は自国の軍人をウクライナに派遣する相談を始めたという報道もあり、国民が望まない世界大戦をグローバリストの手先として勝手に始める算段をトランプが実権を握る前にしてしまう「正に狂気の沙汰」と言えます。メディアは世界戦争を始めようとする阿呆たちを厳しく批判する良識を持ってほしいものです。

 

追記 2:2024年11月29日

ドニプロに着弾したオレシュニク新型ミサイルは、プーチンが「実験は成功した。」というコメントを発表したことからも弾頭に本格的な装薬がなかった可能性が示唆されています。しかしサルマトやイスカンデルといった極超音速多弾頭ミサイルは分離後に推進装置を持たない事に対して、今回のヘーゼルはそれぞれが推進と位置調整機能を持ち、極めて正確かつ極超音速の度合いを速めながら着弾したことが確認されています。つまりこれに「戦術核や燃料気化爆弾の弾頭がついていたらどうなるかわかるな!」という脅威を西側に与えるには十分であったと。勿論西側にはそのようなミサイルはありません。

またNHKがオウム返しに報じたルモンドの記事は「ガセ」と判明!

ある記者が軍の高官に兵の派兵について尋ねた際に、「可能性は否定しない」と言っただけで、しかも戦後平和維持軍的な意味合いだったというオチらしい。さすがに英仏首脳が国内の調整もせずそんな相談など軽々にするはずがない。トランプ着任前に戦争拡大を煽る勢力(メディア)がいるのは解るが、いい加減にしてほしい。しかも戦争拡大反対の声があがらない日本の世論も情けない!

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「歴史の終わり」はトランプ現象を受け入れない

2024-11-21 16:12:38 | 社会

前回のブログでは、サミュエル・ハンチントン教授の著作、「文明の衝突」以降を考察し、2000年に刊行された「文明の衝突と21世紀の日本」からの論説を記しました。ハンチントン教授は2008年に81歳で亡くなっていますが、一方の「歴史の終わり」を著したフランシス・フクヤマ氏は1952年生まれで現在でも国際政治学者として著作や活動を続けています。共産主義思想は、「世界は最終的に共産主義社会に行き着く」と説いたが、結果的に自由で民主主義的な世界が「歴史の最終形」であるとしたフクヤマの「歴史の終わり」は、ハンチントン氏の「その後も文明圏の衝突による歴史の変革が続く」とした「文明の衝突」とは対立する学説として紹介されます。現在も活動を続けるフクヤマ氏が現在の世界情勢をどのように分析しているかは興味深い所なので氏の比較的最近の著作である「歴史の終わりの後で」(2022年刊中央公論新社)を読みました。

 

I.  グローバリズム学問的論客としての生存

この本は21世紀に入ってからの氏の著作や講演内容を対談の形でテーマ毎に読みやすくまとめたもので、氏の考え方を知るには非常にわかりやすい内容になっています。歴史は終わらず、文明の衝突が続くことは現在の状態から証明されてしまいましたが、その点はフクヤマ氏も認めています。しかし政治体制としては自由民主主義が最終形であろうという点ではフクヤマ氏も論を曲げていません。

経済は資本主義でありながら共産党が独裁する中国や王制のアラブ諸国などは民主主義と言い難いのですが、時間を経て民主主義的な形態に移行するだろうことは予想されます。社会主義が「政治と経済」の在り方を規定する思想であった一方で宗教(文明)であるイスラム教は「宗教(生活)と政治」の在り方を規定する思想であることが現在を複雑にしています。

またハンチントンが「一極(米国)・多極世界」は米国の覇権衰退と共に徐々に「多極世界」に移行するだろう、と予想した事が経済を中心に実現しつつある事については、フクヤマ氏は非常に困惑と否定という反応を示しています。GAFAMなどのメガグローバル企業が国家の枠を超えて人類全体と対峙して尊大で傲慢な存在になり、結果的に貧富の差が開き二極化している現実は「新自由主義の問題点」と捉えているのですが、政治的立場としては「グローバリズムが支配する米国民主党全推し」で、2020年バイデン政権誕生とその政策は大賛成、という事が解りました。

自由・民主主義の自由の部分は自由なグローバル資本主義の一極態勢を是とするもので、多極側に立つトランプや他の欧州政治家などは形が民主主義でも「ポピュリスト(劣る者)」という評価でした。それは民衆が支持しても、支持する民衆が間違っているというグローバリズム・エリート特有の傲慢な自己肯定で押し切っていて「いかに人類の幸福に結びつくか」といった論理は見られません。

文明が衝突している状態も民族の「アイデンティティ」に帰属する政治として好ましくないものと規定しています。この辺になると、米国は古いアイデンティティを否定して建国した精神がありながら、現在が白人だ黒人だというアイデンティティ重視の政治になっているアンチテーゼを提言しているに近く、アメリカの中だけでやってくれ、という気持ちにさせます。ハンチントン氏はそれぞれの文明は衝突しがちであるので、強く干渉することなく相互の尊重する態度を持つことが大きな戦争(フォルトライン戦争)を防ぐ方策になることを提言したのであって、文明への帰属を否定した訳ではありません。

フクヤマ氏も愚かではないので、その辺を全て理解した上で「グローバリズム資本主義に学問的権威を与える論客」として存在すれば重用されるという生き方をしているのでしょう。トランプやハンガリーのビクトル・オルバンについて論ずる内容は「理屈でなく単なる好き嫌い」であり、「アレ?」というほど善悪二元論でしか評論しない幼稚な内容で驚かされます。

 

II.  トランプ体制までにどこまで戦乱を拗らせるか?

 

フクヤマが嫌うトランプは3年続いてウクライナの敗北が決まった戦争を直ぐにも終わらせると宣言してきました。次期トランプ政権の閣僚の多くもウクライナへの無秩序な援助に否定的であり、来年の1月20日の就任以降は「直ぐ停戦」かは別として、今までの様には行かなくなります。バイデン政権を支配するグローバリズム陣営としては直ぐに戦争が終わらない様に戦局を可能な限り拗らせる(拡大させる)作戦に出ました。バイデン本人が外遊している隙に米国は今まで拒否してきたATACMSのロシア領内への使用を許可し、国際的に禁じられている対人地雷も供与すると発表しました。この発表は重大な方針転換であるにも関わらず大統領令による公式な発表ではなく、グローバル陣営専属メディアのNYタイムスの報道という形で行われた所がいかにもクズです。

グローバリストのパペットに成り下がっている死んだ眼をしている英国スターマーも早速ストームシャドウのロシア領内使用を許可しました。これらミサイルの標的設定には、米英の機密情報である衛星情報が必要であり、設定自体ウクライナ兵はできないので米英の現役軍人(に相当する者)がウクライナ現地で行っています。従ってプーチン大統領がかねてから指摘する様に、「米英軍人が米英製作のミサイルでロシア領内を攻撃することは<新たな宣戦布告>であり、ウクライナ戦争ではない」という論は正しいものです。「兵器をどう使うかはウクライナの決定による」というのがNATOの言い分ですが、客観的事実からは弱い。キューバにロシアが供与したミサイルで米国が攻撃されたら米国はロシアを許さないはずです。

この1週間、ガザの停戦について協議が進められていたのですが、また米国は停戦決議案を拒否しました。一体これらの重大な決断は「民主主義に基づいて米国民の総意として決められた」と言えるのでしょうか。フクヤマ氏の見解を聞きたいものです。

参考までに国家情報長官にトゥルシー・ギャバード氏が指名された事についてのStrategic culture foundationの2024年11月15日の評論の一部と前トランプ政権における国防省アドバイザーであったダグラス・マクレガー氏のAmerican conservativeの2024年11月19日付イスラエルのイラン攻撃を米国が拒否するリスクがあるかについての論説の一部を載せます。

 

III.  トゥルシー・ギャバード氏は、トランプ大統領に永続的な和平合意を実現するために必要な助言を与えることができる。

Strategic Culture Foundation
Editorial
November 15, 2024

トゥルシー・ギャバード氏が米国諜報機関の最高責任者に指名されたことで、米国とNATOの体制に衝撃が走った。西側諸国の報道機関は、常にディープステート政策立案者の忠実なエコーチェンバーだ。

この反応は、何か重大なことが起こったことを示す良い兆候だ。ギャバード氏が国家情報長官(DNI)に任命される可能性は、トランプ氏が閣僚を編成する上でこれまでで最も重大な決定となる可能性がある。

ギャバード氏の指名は、世界平和という重要な問題に関して最も建設的である可能性があるからだ。

タイム誌は、ギャバード氏の選出に対する米国諜報機関の反応を「我々は動揺している」とし、ロイター通信は西側諸国の「スパイ界は困惑している」と報じた。一方、体制側の代弁者アトランティック紙は、ギャバード氏を「米国の安全保障に対する脅威」と非難した。これは、国家安全保障のトップに就任する人物に課すには驚くべき非難だ。

CNNのニュースキャスター、ジム・シュート氏は、同僚のリチャード・クエスト氏に懸念を伝え、ギャバード氏の見解は米国の既存の外交政策のすべてと「矛盾している」と述べ取り乱した。「なんてひどいんだ! 何年もの間、私たちが作り出してきた嘘と、高額な給料をもらってきた嘘について、今さら何を言えばいいんだ?」と言っているようだった。

結局のところ、米国の企業メディア、特に民主党、体制、ディープステートの諜報機関と関係のあるチャンネルや新聞にとって、トゥルシー・ギャバードは「ロシアの手先」として中傷されている。

ギャバードが国家情報長官に就任すれば、ディープステートにとって非常に大きな挑戦となるだろう。

トランプ大統領の他の閣僚人事と同様に、指名は上院委員会の承認を得る必要がある。そのため、彼女のポストが承認されるまでにはしばらく時間がかかる。多くのことが変わったり、軌道から外れたりする可能性がある。

トランプ大統領の今週の閣僚人事は、就任後の1月に始まる次期大統領の将来の外交政策を見極めようとする観測者たちの注目を集めている。トランプ大統領が今週、国防長官にピート・ヘグセス、国務長官にマルコ・ルビオという強硬派の人物を早々に指名したことは、ロシア、中国、イランなどに対する好戦主義や敵意からの脱却を望む米国外交政策批判者の一部に失望を招いた。

次にトランプ大統領が選んだのはトゥルシー・ギャバードである。この元下院議員は、中東とウクライナにおける米国の軍国主義に対する率直で周りに左右されない批判で、米国および国際社会で広く尊敬を集めている。しかし、米国の政治体制とメディアは、シリアと中東におけるワシントンの政権転覆戦争を批判する彼女の見解を理由に、彼女を「裏切り者」や「ロシアの手先」と中傷している。2017年、ギャバードはシリアを訪れ、バッシャール・アル・アサド大統領と会談した。彼女は、ダマスカスの政権転覆のためにテロリスト民兵を支援するというワシントンの秘密政策に反対を唱えた。彼女は真実を語ったため、アサドの「弁護者」として中傷された。

最近では、ギャバード氏が米国とNATOによるキエフ政権への武器供与とロシアに対する代理戦争に反対したため、再び「ロシア弁護者」という中傷が彼女に投げつけられた。彼女は、「NATOの威圧的な拡大に対するロシアの安全保障上の懸念が考慮されていれば、ウクライナ紛争は避けられたはずだ」と述べた。その正気と客観性は、なんと爽快なことだろう。

ウクライナ紛争に関する彼女の見解は、確かに米国の体制側とメディアの「ロシアの侵略」に関するプロパガンダと矛盾している。彼女の見解は、隅々まで報道されている「ニュース」プロパガンダが虚偽であることを明白に暴き、NATOの嘘が世界を核戦争に引きずり込んでいるという国民への警告となっている。トゥルシー・ギャバード氏が第2次トランプ政権で果たす役割は、上院の審査を通過すれば、いくら強調してもし過ぎることはない。

(以下略)

ウクライナの国民の民意は即時停戦にある。それでも戦争を続けさせたいですか?

 

IV.  世紀の嵐の中に立つトランプ

The U.S. is sleepwalking into disaster in the Middle East.

ダグラス・マグレガー

2024年11月19日午前12時5分

多くの国の首都では、ドナルド・トランプ大統領のワシントン復帰により、イスラエルがイラン攻撃にさらに自信を持つようになるのではないかと懸念されている。エルサレムのシオン友の会博物館の創設者マイク・エバンズ氏によると、「トランプ大統領がネタニヤフ首相以上に尊敬する世界の指導者はいない」という。 

この福音派指導者はまた、トランプ大統領が就任前にイスラエルの攻撃を支持するだろうと打ち明けたイランの石油生産施設の破壊はイランの経済を壊滅させ、トランプ大統領が就任する前にイランがイスラエルとの戦争を終わらせるだろうという想定からだ。この考えは、イスラエルがイランの核開発施設を攻撃するという決定も排除するものではない。 

トランプ氏が何をするか、しないかは不明だ。テヘランとエルサレムの対立における幻想的な静けさがいつ終わるのかも不明だ。 

一つだけ確かなことは、もしアメリカがイスラエルのイランに対する戦争に加われば、その結果は地政学的な対決となり、私たちが知っている世界を劇的に変えかねないということだ。これは21世紀の嵐であり、今のところ、アメリカという国家はまさにその嵐の中を航海している。

イランとの戦争になった場合の米国にとって望ましい状態とは?それは最も答える事が難しい問題です。

1991年と 2003 年のイラク、1999 年のセルビア、2011 年のリビアとは異なり、イランは孤立していません。イランには同盟国と支援者がいます。1991 年に最終状態を定義できなかったため、アメリカの作戦戦略軍事計画者は戦争の結果に備えていませんでした。その結果得られた平和は、米国の長期的な利益にとって満足のいくものではありませんでした。

ロシア外務省は最近、「ロシアとイランの戦略的安全保障パートナーシップに関する交渉が進行中であり、特に軍事協力に重点が置かれている」と発表しました。中国の習近平国家主席はイランに対し、イランの国家主権と安全保障の防衛に対する中国の支援を確約しています。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)でさえ、イランを攻撃しないよう助言しているほどです。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)も戦略的な金融政策を講じている。サウジアラビアの米国債保有高は大きく変動しており、2023年6月時点で約1081億ドルに落ち込んでおり、2020年初頭から41%以上減少している。イランとの紛争が勃発した場合、サウジアラビアとアラブ首長国連邦は富をアラビア半島に送還し、米国債の「投げ売り」を開始する可能性があり、米国と西側諸国で大恐慌規模の金融危機を引き起こすだろう。 

それほど目立たないが、同様に重要なのが、イスラエルとの関係を断つというトルコの決定である。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はまた、トルコとシリアの安全を脅かす米国とイスラエルが支援するクルド人勢力を壊滅させるため、トルコ軍がシリア北部で作戦を開始する用意があることを示唆しました。トルコ軍がレバノンやエジプトの防衛に投入される可能性は十分にあります。

イスラエルが開始した地域戦争に米国が参加することを拒否した場合、アメリカ国民にとっての戦略的デメリットはあるだろうか? 

2023年10月7日以来、イスラエルの政治的、軍事的目標はイスラエル国土の防衛をはるかに超えています。ネタニヤフ首相は、アメリカの財政援助と軍事支援があれば、イスラエル軍はガザとヨルダン川西岸から数百万人のパレスチナ系アラブ人を排除し、南レバノンからヒズボラを排除できると確信しているようです。しかし、イスラエルの勝利を確実にするためには、シリア、イラク、イエメンにいるイランとその代理勢力も破壊しなければならないとネタニヤフ首相は主張しています。

ネタニヤフ首相の目標は、アメリカ経済の健全性と国際システムの安定にとって何を意味するのか?イスラエルは多数の敵国を攻撃せずに生き残ることができるのか? 

1956年、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、ハンガリーの反共産主義革命をめぐってソ連と戦争するリスクを冒すことを拒否した。同年、アイゼンハワーはスエズ運河を占拠するための英仏イスラエルの介入を支持することを拒否した。1968年、リンドン・ジョンソン大統領は、チェコスロバキアの支配を再び強めるソ連の軍事介入を阻止するためにアメリカの軍事力を使用することを拒否した。これらの決定はいずれもアメリカの国益を損なうものではなかった。何でもイスラエルの決定に従うことが米国の国益ではない以上、無謀な戦争への加担は控えるべきではないだろうか。

(最後の部分はrakitarou意訳)

ー 以上 ー

追記:

V.  欧米が作る歴史の終わり(ヴィクトル・オルバーン)

フクヤマがポピュリストとして嫌うハンガリーのオルバーン首相が2024年11月21日のユーラシア・フォーラムで西欧が世界に押し付けてきた欧米モデルは終わりつつあると現在の世界情勢を象徴して講演しました。ハンガリーは人種的にもアジア系と自任している背景もありそうです。以下が要旨です。

要旨

西側世界は東方からの挑戦を受けている。次の時代はユーラシアの世紀になるだろう。 西洋の文明支配の500年が終わりを迎えた

アジア諸国はより強くなり、「経済的および政治的権力の独立した中心として台頭し、存在し、持続する」能力があることを証明した。彼らは現在、人口統計学的にも技術的にも欧米の同業者よりも優位に立っている。その結果、世界経済の中心は東側に移り、経済は西側の経済の4倍の速さで成長している。「西洋の産業の付加価値は世界の40%を占め、東側の産業の付加価値は50%を占めている。これが新しい現実です。

アジアは世界人口の70%を占め、世界経済に占める割合は70%となり、EUは変化する現実の中で「最大の敗者」として浮上している。西側諸国は、移民、ジェンダー・イデオロギー、民族紛争、ロシア・ウクライナ危機などの課題に直面し、自国の環境で「窒息」している

西洋の指導者たちが、自分たちが慣れ親しんだ優越感、つまり、自分達が最も賢く、最も美しく、最も発展し、最も裕福であるという感覚を放棄するのは難しい。欧米のエリートたちは「古い栄光の現状」を守るために自らを整えており、それが結局は経済的、政治的な閉塞につながるだろう。

ー以上ー

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祝ロバート・F・ケネディJr氏厚生長官選出、バンドワゴニングの危機

2024-11-16 12:56:19 | 社会

トランプ次期大統領はケネディ元大統領の甥であるロバート・F・ケネディJr氏を次期厚生長官に任命する意向を示しました。メディアは「ワクチン懐疑派」などとワクチンは「全く問題ないとする陣営」と「リスクがあると懸念を示す陣営」の二派にわかれる様に報じていますが、全ての医療にはメリットとデメリットがあるのは超常識中の常識、基本中の基本です。全員が懐疑派でなければ安全な医療など受けられません。何故中学生でも理解できる常識を報道しないのか不思議です。

トランプ氏は2020年にWHOに対して、Covid-19への強制的対応は誤りであるとして2021年に米国はWHOから脱退すると宣言していましたが、バイデン政権になって立ち消えになりました。今回改めて各国の主権を無視したパンデミック条約などに対して反対を表明しています。

全ての医療にはリスクがある。疑いを持たずもろ手を挙げて賛成など無知性のド阿呆しかやらない愚行である。ワクチンの小児などへの強制を強く反対するケネディ氏

 

同様に司法長官に指名されたマット・ゲイツ氏はトランプ氏のロシア疑惑がでっち上げであることを解明したため、ありもしない「性的人身売買」の疑惑をFBIにでっち上げられたのですが、いくら調べても証拠が出なかったから起訴されなかった人物。「司法の政治利用を許さない」ための米国の司法改革に震えあがっているのが現在の民主党中心の司法界であることが解ります。

疑いが晴れても人格攻撃を続けるメディアに人権を語る資格などない、恥ずかしくないのだろうか?

 

I.  ワクチンのリスクが常識となった時にメディアはどう報じる?

 

欧米の主要メディアはまだグローバル支配体制に従っていて「ワクチン安全」「WHO正しい」の現実離れした報道から脱していません。日本のメディアは「米国主要メディアに従っていれば批判されない」と信じている「バンドワゴン派(寄らば大樹の陰)」というヘタレですから仕方がないとは思いますが、一たびパラダイムシフトが起こった時にどのように変容するのかが楽しみです。あれほど「コロナ怖い、怖い」「日本人は全員週に一度はPCRを」などと馬鹿げた報道をしていたメディアは何処に行ったのでしょう?そのうち「十分な安全確認をせずにワクチンを推進した政府の責任は?」などとシレっと報道し出す可能性があります。

 

II.  「文明の衝突と21世紀の日本」に学ぶ

前回紹介した「文明の衝突」を著したハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授がその続編として2000年に刊行した本で、集英社新書では2024年6月に第37刷の重版を繰り返しています。1993年にフクヤマの「歴史の終わり」理論を乗り越えて、「21世紀の世界は、民主主義と資本主義で一つの世界が生まれるのではなく、数多くの文明間の相違による分断された世界になる」と提言して世界に衝撃を与えました。1990年台においてもコソボ紛争などの文明の衝突が起きつつありましたが、その後の世界は911に始まる「テロとの戦争」「米国のイラク・アフガン侵攻」「カラー革命の強要と内紛の激化」グローバリズム対国家資本主義の対立、ブローバリズム対BRICS(グローバルサウス)の対立へと氏が予想した通りの展開になってきていると言えます。

 

III.  一極・多極体制から多極体制へゆるやかに移行する

 

ハンチントン氏は2000年の時点で世界は「強大な米国を中心」とする一極と、中国、ロシア、インド、アラブ諸国、アフリカ諸国といった文明(宗教)の異なる地域による一極・多極体制に分かれていると喝破しています。しかし覇権国の米国にとっては、世界が多極であるとは認めておらず、世界はあたかも「一極」である様に振舞っているため、どこの国を想定するか不明な米国指導者が口にする「国際社会」へのアプローチに各国指導者は不満であり、各国にとって米国は軍事的脅威ではないものの「領土保全」「自治」「繁栄」「行動の自由」を脅かす外的脅威と捉えていると米国の立場を紹介しています。

この一極・多極体制は、米国の覇権が徐々に衰えることで緩やかに「多極体制」に移行してゆくだろう、と氏は予想しており、まさにトランプ大統領の登場と彼が「米国を多極体制の一極に据える」というMAGA思想への米国民の絶大な支持はハンチントン氏の予想が実現していることを表しています。

文明の衝突(2000)のその後をrakitarouがまとめた展開と現状

 

IV.  フォルトライン戦争とコミューン戦争

 

1990年の時点で、ハンチントン氏は世界が8つの文明圏に分かれている事を示しました。つまり「西欧」「ラテンアメリカ」「アフリカ」「イスラム」「中国」「ヒンドゥー」「東方正教会」「日本」であり、5世紀頃から中国王朝とは別れた文化を築いてきた日本は独立した文明として扱われています。冷戦時代、世界は「自由主義圏」、「共産主義圏」、「非同盟国」の3分類であったものが、以降は8つに分かれて共存してゆくと規定したのです。その中で、同じ文明圏内で起こる争い、戦争は「コミューン戦争」と言い、個別的な利害関係によって生ずるものであり、異なる文明間の大規模な戦争に発展することはない、と説明されます。例えばルワンダ紛争やイラン・イラク戦争などで、他国が大きく介入することはありませんでした。一方で異なる文明の境目をフォルトラインと言いますが、フォルトラインを挟んで紛争・戦争が起こるとより大きな文明圏同士の戦争に発展し、長期に渡り、解決困難な状態を呈するだろうと予測しました。

フォルトライン戦争・ウクライナで検索したAIの答え

 

NATO諸国を巻き込んだコソボ紛争、そして現在のウクライナ戦争は正にフォルトライン戦争であり、ハンチントン氏の予測の正しさを証明しています。ウクライナは被害者、プーチンは悪といった小学生の様な理屈でしか説明しない(それを信じている方も阿呆ですが)メディアの無知性を痛感します。

 

V.  バランシングとバンドワゴニング

 

ある国が大きな勢力を作り出してくると、その周囲の国はいくつかの国同士協調して強い国とのバランスを図る「バランシング」か、強い国への依存と従属による「バンドワゴニング」により安定を図るかの選択を迫られます。多くの場合、その両方をどっちつかずでその場その場で選択しながら様子を見てゆく場合が多いと説明されます。大国であってもトルコやサウジアラビアがアラブ側や西欧側にどっちつかずでバランシングを取っていたり、東南アジアの国々が日本を巻き込んで協調しながら中国と対峙しつつも貿易などでは中国と友好を保とうとすることに表れます。

日本は独立した文明であり、他の文明圏のために自国を犠牲にして介入しようという動機を持ちません。維新から大東亜戦争にかけては、西欧列強のアジア諸国への侵略・植民地化に危機感を持って、日本も西欧列強の一端に加わろうとしてアジアへの侵略(結果的に領土的植民地主義から経済的植民地主義へのスイッチとなった)をしましたが、失敗した秀吉の朝鮮侵攻以外では稀有の出来事であったと言えます。日本の国内においては、常に時の権力者に従属すれば安心という「バンドワゴニング」が行動の原動力になってきました。「寄らば大樹の陰」であり、そこには確固とした思想などありません。そして大樹の陰に寄らない「はぐれ者」を厳しく批判します。ポリコレとされる規範への対応、コロナに対する対応、ワクチンへの考え方、全て「バンドワゴニング」であり、理論的支柱などなくメディア含めて「大樹に寄らないはぐれ者」を批判しているだけです。そしてトランプ政権が復活することにより、日本のメディアは今までの「バンドワゴニング」の危機が生じてガタガタ震えながら右往左往しているのが現状なのです。

 

VI.  日本への提言

米軍司令部を首都内に移転する本当の目的は何か?

2000年の時点で、ハンチントン教授は日本と台頭する中国との関係について、日本の取るべき選択(バランシングかバンドワゴニングか)について述べています。この時点では現在の様な米国の衰退と多極化への道が不明であったこともあって、中国圏への条件を示した上での従属か日米同盟強化による新たなバランシングという選択肢をあげています。しかし一極主義の米国がとるべき将来の在り方として、「異文明間の大規模な戦争(フォルトライン戦争)を避けるには、中核国家は他の文明内の衝突に介入するのを慎むべきだ」と明確に述べています。American Conservativeの論説で紹介した様に、米国は日本を中国、ロシアに対する「二重封じ込めの道具」として日米同盟を締結し、基地を置いているに過ぎません。自衛官時代「アメリカが自国の利益にならなければ日本のために血を流す事などない」は少なくとも指揮官クラスの自衛官の常識として認識していました(公には勿論言いませんよ)。しかし現在の動きは米軍による日本支配の強化に動いている様に見えます。強い米軍の再建は頼もしい面もありますが、グローバリズム支配体制からは脱却した米国との「対等な協調関係」による日米同盟は意義がありますが、現在のウクライナの様な「異文明と戦争するための鉄砲玉」としての扱いならば断固拒否するべきです。石破首相の力量が問われます。

噛みつき合ったでなかったようで何より。戦略的互恵はバランシングと言えそう。

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歴史は終焉せず文明は衝突し続ける

2024-11-11 09:11:52 | 社会

I.  歴史は終焉したのか?

「歴史の終わり」は、フランシス・フクヤマが1988年に発表した論文をもとに1992年に書籍化された有名な文明論で、社会主義の終焉とその後の資本主義グローバリズムの基になった論説と言えます。つまり国際社会において民主主義自由経済が最終的に勝利し、それからは社会制度の発展が終結し、社会の平和と自由と安定を無期限に維持するという仮説です(Wikipedia)民主主義と市場経済が共産主義に勝利したことで、これ以上のイデオロギー論争は起こらないとしたことは部分的には正しいことでしたが、その後世界から戦争が亡くならなかった事実は、彼の本意とは別にその解釈に誤りがあった事は明らかだろうと思います。

 

II.  衝突しつづける文明

「文明の衝突」はフクヤマの師ともいえる政治学者のサミュエル・ハンチントンが1996年に著した論文で、冷戦が終わった現代世界においては、文明化と文明化との衝突が対立の主要な軸であると述べた。特に文明と文明が接する断層線(フォルト・ライン)での紛争が激化しやすいと指摘しました(Wikipedia)。世界政治において文化やアイデンティティが重大な影響を果たすようになれば、文明の境界線にしたがって世界政治の枠組みは再構築されることになる。かつてのアメリカとソヴィエトによって形成されたイデオロギーの勢力圏に代って、それぞれの文明の勢力圏が新たな断層線、フォルト・ラインを生み出し、そこで冷戦中にはなかった紛争が頻発するようになっている。1990年代以降に世界的なアイデンティティの危機が出現しており、人々は血縁、宗教、民族、言語、価値観、社会制度などが極めて重要なものと見なすようになり、文化の共通性によって協調や対立が促される、とするもので、この理論の方が現在の状況をかなり反映しているように見えます。

各民族の文明のすみ分けを示した図。日本も独自の文明圏として示されている。

 

III.  多様性の受容という胡乱な理屈

 

歴史は終焉しているのであり、世界はグローバリズムにより統一されると宗教的信念で妄信している者、あるいはその方が「利権的に都合が良い」者にとっては、各民族がアイデンティティとして多用な文化を保持し続けてグローバリズム陣営(主に西側の資本家集団)が「正義」と規定する価値観を受け入れない諸国民は「多様性を受容しない」誤った考えの持ち主と攻撃されます。一方で文化の多様性こそが諸国民のアイデンティティの基であり、グローバリズムが規定する価値観のみを正義とする方が多様性を否定しているという考え方も正しいのです。これは統一した価値観を受け入れず、諸国民独自の生き方を護ろうとする勢力を分断を煽ると責め立て、極右と表現する風潮にも現れています。この対立は、一極主義と多極主義の対立の図式と相似形であり、現在の趨勢としては経済においても多極主義(BRICSやグローバルサウスの台頭)が一極主義に勝っていると結論付けられます。

 

IV.  トランプの勝利、ウクライナ敗北、ガザ虐殺

 

トランプ次期大統領が主張する米国第一主義とは、以前から説明するように米国を「グローバリズムの中心」ではなく「多極主義の一極にする」という意味です。だから米国で資本を握るグローバリストが民主党とメディアを金で支配した上で、全力でトランプ復活を阻止していたのです。ウクライナが西欧グローバリズムとロシアを中心としたBRICS多極主義の代理戦争であることは明らかですが、ウクライナの敗北は100%明らかな状況になりました。

イスラエルによるガザの虐殺は「文明の衝突」の反映でありながら、力の原動力がグローバリズムの勝ち組である米国ユダヤ層であることが問題を複雑にしています。「歴史の終焉」信奉者としては「ユダヤ・グローバリスト達が今後落ちぶれることはない」と信じていながら、文明の衝突で虐殺が起こっていることに困惑を隠せない状態なのです。ユダヤ・グローバリストもグローバリズムの終焉とともに落ちぶれる(場合によりイスラエル国家は消滅しえる)のであり、不可避である文明の衝突は諸国民の知恵と協調で調整する工夫が必要なのだという結論に同意すれば、虐殺を止める事も可能になるのです。

 

V.  1980年代までマル経一本だった日本の大学経済学部

 

私が大学生であった1980年代は、日本の経済学部は「マルクス主義経済学」を教える場所、という今から考えるとあり得ない後進国ぶりでした。学園祭などに行くと長髪の経済学部の院生や助教達が肩で風を切りながら「いかに社会主義経済が素晴らしいか」を力説していたものでした。防衛医大では一ツ橋出身の近代経済学を是とする教授(経済学会では反主流)に経済学の講義を受けていたので「マル経は若い人には魅力的だが限界がある」と言う説明に納得していました。その後のソ連の崩壊は、日本の経済学部が世界の時流からは周回遅れであったことが実証されました。

現在の日本のメディアでトランプ現象やウクライナ紛争を「グローバリズム」対「多極主義」の視点から解説したものは皆無です。日本のメディアと有識者とされる連中、メディアしか見ない日本の人達が「世界の流れから周回遅れである」状態に気づくのはいつなのでしょうか?

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祝第47代米国大統領にトランプ氏

2024-11-06 15:54:04 | 政治

この記事は2024年11月6日の夕方挙げようかと思ったのですが、まだ何か仕掛けがあるかもと容易に信じられなかったので一度保留にしたものです。

米国大統領選の結果が日本を含む多くの次の世界情勢に影響を与える事は明らかでしたが、2024年11月6日15:50時点でFoxnewsは、大統領選挙における代議員数270以上をトランプ氏が獲得し、次期大統領にトランプ氏が選出されることが確実と報じました。非常に喜ばしい事だと思います。

選挙の結果を受けて敗北宣言をするハリス候補

〇 ウクライナ戦争で無駄に死んでゆくウクライナとロシアの若者が救われます。

〇 ユダヤを支持すること≠ネタニヤフ支持ではないので、真にイスラエルが将来に渡って中東でアラブ社会と共存できる方策を検討するようになる。(少なくとも虐殺とイランとの戦争は止める)

〇 米国社会に巣食うグローバリズムに基づく金満資本主義と既得権益者集団(ディープステイト)の横暴を抑制する。

の方向に向かう事を切望します。現在と違う米国の方針を伝えすぎることで1月の就任式までにトランプ氏が暗殺されないことを祈ります。

ゆくゆくは、海外駐留している米軍を全て撤収することで、日本の米軍基地も撤収してもらい、日本が自衛隊による国防を充実させて真の独立を勝ち得るきっかけになればと思います。それまで適任である石破氏に頑張って欲しいです。

参考までに、American Conservative11月6日の記事を載せます在米外交評論家の伊藤寛氏へのインタビューです。

日米同盟は普通の同盟ではありません。本当の、本物の、誠実な同盟など一度もありませんでした。敗戦国日本をアメリカの属国として支配し、利用するための「二重封じ込め同盟」です。アメリカは日本を普通の、安全な独立国にする意図は全くありません。1940年代後半から50年代前半にかけて、ジョン・フォスター・ダレスのようなアメリカ人は、この二重封じ込め政策を公然と語りました。「ドイツを抑え、ロシアを追い出す」が彼らのドイツ政策であり、「日本を抑え、ロシア(または中国)を追い出す」が彼らの日本政策でした。アメリカは「封じ込められた日本」を「ソ連封じ込め」政策に利用したかったのです。だから二重封じ込め同盟と呼ばれたのです。アメリカ政府には日本を本当の主権国家にする意図はありませんでした。 (ただし、アイゼンハワー大統領は例外だった。彼は独善的で横柄なアメリカの覇権主義を好まなかった。しかし、彼は傲慢で横暴な軍産複合体の中ではむしろ孤立した人物であり、そのことに警告を発していた。)

冷戦終結後も、米国政府はこの二重封じ込め政策を堅持した。グーグルで「1992年国防計画指針」と検索すると、冷戦後の米国の覇権主義大戦略に関する数十万件のヒットが見つかる。この機密文書(1992年3月に米国メディアにリークされた)には、ソ連崩壊後に日本とドイツが真の独立を取り戻すのを米国が阻止すると明記されていた。それ以来、覇権に執着する米国政府は世界中で逆効果の軍事介入を繰り返し、何百万もの無実の民間人を不必要に死なせてきた。そのため、今日では世界の大多数の国が米国の外交政策を嫌い、不信感を抱いている。

現在、日本を取り囲む中国、北朝鮮、ロシアの三国は、核戦争能力を急速に強化している。しかし、日本に対する利己的な二重封じ込め政策を維持したい米国政府は、東アジアの核戦争危機の際には米国の拡大核抑止力(いわゆる核の傘)が機能しないことを知りながら、日本自身の核抑止力を阻止することに固執している。米国政府は、日本のような従属的で従属的な属国を守るために、ロシア、北朝鮮、中国の三核大国と核戦争を起こすつもりはまったくない。

この不道徳で不公平な対日政策は、終わらせなければなりません。罪のない女性や子供に対してすでに2度の核戦争犯罪(核による大量虐殺)を犯した米国が、日本をロシア、中国、北朝鮮の核の脅威に対して故意に脆弱な状態に保つことが容認できると考えているのは、不公平で邪悪なことです。日本国民を故意に脆弱な状態に保つことで、米国政府は利己的で偽善的で意地悪な覇権主義の供給者としての真の姿を露呈しました。

日本にとって幸運なことに、ドナルド・トランプ氏はこの不道徳な二重封じ込め政策には賛同していない。トランプ氏は、日本は独立国となり、必要であれば独自の核抑止力を持つべきだと繰り返し述べている。(大統領として、トランプ氏は故安倍晋三首相に対し、日本を主権独立国にするよう何度も促した。)偽善的な米国外交政策エスタブリッシュメントとは異なり、トランプ氏は米国の一極覇権主義を維持することに関心がない。大口をたたき、いつも自慢ばかりしているが、実際は好戦的でも帝国主義的でもない。(以下略)

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与党過半数割れは反グローバル化への流れか

2024-10-31 08:40:37 | 政治

石破総裁の自民は、前回2021年10月の衆議院選挙が自民党単独過半数であったものが、メディアの予想通りに自公連立でも過半数を下回る大敗となりました。メディアは自分達の力を示したいから「政治とカネ問題に鉄槌」的な原因論を提示しますが、庶民の肌感覚としては「相次ぐ値上げと相対的給与減(年金減)」が実生活に基づく政権評価だったと思います。

 

I.  立憲民主の支持は増えたのか?

今回の選挙では自民が247議席と単独過半数越えであったのが191議席と58議席減、一方で立憲民主党が98議席から50議席増の148議席、国民民主が7から21議席増の28議席、与党の公明が32議席から8議席減の24議席になったことが目立ちます。私の様なへそ曲がりは小選挙区と比例区で別の党を選びますが、比例区がその党を支持する基盤と考えると、毎日新聞がまとめた比例区の得票数比較では、自民党が500万票減は明らかですが、立憲民主は前回とほぼ同じ票数です。一方で国民民主は400万票明らかに伸びています。立民はしつこく「政治とカネ」を追求したのかも知れませんが、国民はそれに喝采を送った訳ではなく、自民と同じような政策を掲げて自民ではない穏当な国民民主に票が流れたと見るのが正しいのではないでしょうか。公明、維新、共産などの得票減は明らかに支持者減と見て良いでしょう。

 

II.  立候補者数からみたやる気度

今回の衆院選の総立候補者数は1,344名ですが、初めから政権を獲得する過半数に届く立候補者数を立てたのは自民、立民、共産の3党のみでした。共産党は特殊で実力に係わらず毎回各選挙区に候補を立ててくる点で、どこから金が出ているのかと思いますが、実力以上に候補を立てて来たのは維新(164)、参政党(95)、保守党(30)が目立ちます。比例区での得票数を見直すと立民1100万、維新510万で立民の半分、参政党180万、保守110万で維新の1/3程度となり、れいわは380万票得票していて共産を抜いています。国民民主は42人の候補者で28名当選ですからやる気度の割に棚ボタで当選したと言ってよいでしょう。立民は「国民が本気で支持した訳ではない事を肝に銘じて」国会対策をしないと次に大敗する事が確実です。

 

III.  西側諸国は与党過半数割れが趨勢

ドイツの州議会議員選挙とEU議会選挙の結果はショルツ首相の政策への明らかなノーが突きつけられた

2024年は多くの国で選挙が行われ、今までの結果を見ると、日本を含めて与党が過半数を取れなかった国が多いのが実情です。9月のドイツ州議会選挙では多くの州でショルツ首相が率いる中道左派、社会民主党(SPD)が右派ドイツのための選択肢(AfD)と接戦となり、野党保守派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)にも支持率で負ける情勢となっています。6月のEU議会選挙はCDU/CSUが第一党で、AfDが第二党です。

7月に選挙があったフランスはルペン氏が率いる国民連合が88議席から143議席に急進、左派が連合を組んでやはり149議席から182議席に増えてマクロン率いる中道連合は250から168議席に減らしたものの中道連合は左派と組んだ事で政権を保持したという結果でした。結果マクロンの好き勝手がしにくいコアビタシオン(共存)状態となっています。

昨年2023年7月に行われたスペイン総選挙も与党であった社会労働党は122議席で右派の国民党136議席に敗れましたがどちらも過半数の176議席には届かない状況で他党との連立を余儀なくされました。

今年6月のインドの総選挙は、モディ首相率いるインド人民党(BJP)は過半数272議席に達せず、240議席であり、第二党の国民民主同盟(NDA)などと連立を組む結果になっています。他にもオーストリアなど与党が過半数に達しなかった諸国が多くなったのが2024年の世界情勢であり、コロナとそれ以降に取って来た政策(要はグレートリセット政策)に国民がノーを突きつけているのが現実です。

 

IV.  労働党大勝の英国はグローバリズムを牽引する結果に

 

英国は7月に総選挙でスターマー氏率いる労働党が下院650議席のうち400議席を超える大勝を収めました。これは保守党のコロナとそれ以降の国内外政策に国民が明確なノーを突きつけた結果ですが、結果として選ばれた労働党スターマー氏はダボス会議からもヤンググローバルリーダーに認定されている列記としたグローバリストです。彼が初めに首相として行った事は、米国を訪問してバイデン政権にウクライナへNATOが供与する長距離ミサイルをロシア領内に使用する許可を与えるよう説得することでした。幸いにも世界大戦への「火に油を注ぐ」軽率な行為に流石のバイデン氏も首を縦に振らなかった事が印象的でした。

所詮グローバリストの手先でしかないことが明白なスターマー首相

 

V.  米国は過半数割れの石破政権をコントロールしにくい

 

自民が単独過半数を制した岸田政権においては、米国は「ワクチンを打ち続けよ」「円の利上げは待て」「ロシアに経済制裁を続けよ」「防衛費増額」「ウクライナに資金援助しろ」といった命令を実行させやすい環境だったと言えるでしょう。内閣の閣議で決定したことがそのまま政策として実行される事態も多く見られました。今後は野党との「部分連合」といった形態をとる事は、元々自民党内に「反石破勢力」が多かった事に比べると石破氏得意の「謙虚に説得を続ける」事で真に日本国に有益な事は通りやすくなる可能性もあり、面倒な安倍チルドレンを一掃したことはむしろ「石破流」をやりやすくなった可能性もあります。今後連立がどのような展開になるか現在不明で、来年の参院選時に過半数を持つ野党側から内閣不信任案を突きつけられて再度総選挙の可能性もありますが、種々米国大統領選の結果がそれらに影響する事は間違いないと思います。私としては米国とは一線を画した石破流政策運営を見せて欲しい所です。

11/2の状況では立民の方が苦労していて石破総理の方が余裕の笑顔(思惑通り?)という報道が・・

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あからさまなmisinforming narrative (誤った物語を広める)

2024-10-25 15:55:52 | 社会

米国大統領選がある年の10月は選挙前に結果に影響しそうな大事件が起きる事を称してOctober surprise があると言われています。現在米国が関与する世界的な事象としてはイスラエルが周り中の国と戦争を始めていよいよ大国イランとの戦争が始まる気配があることと、ウクライナがロシアに敗戦に至る事が考えられます。

 

I.  米軍機密漏洩事件

日本では報じられていませんが、1週間ほど前にMiddle East Spectator紙にイスラエルが10月中旬にイランの長距離レーダーと防空システムを攻撃する予定であるという米軍の機密情報がリークされました。内容から本物の書類と考えられていて、No FORN(同盟国five eyes含めて漏洩禁止)とされる内容でした。核開発施設や製油施設への攻撃が予想されていましたが、漏洩によって奇襲性がなくなり、計画は頓挫しました。漏洩された目的はこの時期に中東の戦争が拡大することを防ぐ(ことが米国の国益になると考えた愛国者がいた)ためと考えられます。

 

II.  北朝鮮軍ウクライナ参戦

わざとらしいウクライナからのしつこい情報リークとシベリアで撮影されたロシアと北朝鮮の旗

やはり1週間ほど前から不明確なのにしつこく報道されているのが北朝鮮軍がロシア軍に参戦する、三千名とか1万名とかクルスクに向かうとか東部戦線とか、ほぼ推測でしかないヨタ記事がウクライナ情報筋(英国MI6とCIA)の情報として出てきます。韓国情報院(これもCIA)からもダメ押しの様に情報が出されているのでよほど大事件にしたいのだろうという意図を感じます。ダグラス・マクレガー退役大佐によると、北朝鮮とロシアは定期的に共同訓練をしており、発表される衛星写真や北朝鮮の国旗が立てられた写真などは共同訓練時のものである、と言います。ロシアが圧倒的有利に戦線を拡大、前進しており、ロシア軍の予備部隊も十分控えている現在、異国軍である北朝鮮軍をロシア軍に加える必要性は皆無です。シベリア方面のアジア出身者からなる部隊はロシアの軍服を着た北朝鮮軍と人種的に区別が付きません。Putinは記者会見で面白がってあえて否定しませんでしたが、CIAが何故偽情報を故意に広めようとしているのか、今の所不明です。北は詳細不明ながら臨戦態勢に入っていると言われますが、10月24日の在韓米軍のサイトには通常の訓練風景が発表されているのみで、退役大佐ダニエル・デービス氏のyou tubeにても在米韓国駐在武官に新たな動きはないと述べていて、米国Defconに相当する韓国WATCHCONの動きもなさそうです。しかし南北朝鮮に新たな軍事衝突を起こそうとしている画策があるなら迷惑な話です。

在韓米軍のサイトは通常の訓練が報じられている  NHKまでも誰に命令されたか「しつこく報道する意図」は何であろうか?

 

III.  カザン(10/23-24)のBRICS首脳会議の要旨

 

日本では軽くしか報じられませんが、ロシアのカザンで開催されたBRICS首脳会議は、世界が多極化に向かう事を確証させる重要な会議であり、G7首脳会議以上の意義を持つものです。特に13か国のパートナー国を追加、30か国が経済体制に関心があると言われており、BRICS内の実体経済の拡大、グローバル経済体制とは別の貿易プラットフォーム構築についての具体的枠組みが合意された事は非常に重要と考えます。以下に今回の会議の主要な決定事項を記します。

 

〇 BRICS諸国は中東における核不拡散体制と非核地帯の強化を求めた。

〇 すべての当事者によるイラン核合意の再開の必要性を強調した。

〇 開発途上国の世界経済への貢献を増やすことでブレトンウッズ機関の改革を求めた。

〇 BRICSは、加盟国間の複合輸送を確保するために単一の輸送プラットフォームの構築を検討。

〇 中東情勢の激化を懸念し、イスラエルによるイラン大使館への攻撃とレバノンのポケベルの破壊を非難。

〇 新開発銀行のインフラを活用した新たな投資プラットフォームの創設を検討。

〇 シリアの主権と領土保全の保護に対する無条件の尊重を主張した。

〇 将来的に他の農業部門も対象とする穀物取引所を設立するというロシア連邦の取り組みを支持する。

〇 1967年の国境内でのパレスチナ国家の国連での採択を支持した。

〇 新開発銀行を新興市場国向けの多国間開発銀行に転換することに合意。

 

IV.  今更コロナ病名の死亡者が増加していると煽る日本メディア

2024年10月から5種類の新型コロナワクチンを揃えて有料定期接種が始まりましたが、一部高齢者以外は積極的に受けようと言う国民はいません。高齢者からも「子供たちから受けない方が良いと言われた。」という声も良く聞きます。コロナワクチンが感染予防に訳立たないという実経験がこれだけ積みあがればいかにテレビを妄信している情報に疎い老人も「もういいか?」と思うようになるのは当然でしょう。そこで考えられたmisinformationが「コロナ死亡がインフルの15倍だ」というもの。

以前から指摘している様に「コロナ陽性」で隔離された状態で入院死亡した場合は死因が明らかに進行癌などの他の原因でなければ、例えば誤嚥性肺炎で亡くなっても死因は「新型コロナ肺炎」になります。コロナ肺炎で亡くなったとされる高齢者のCTなどで確実にコロナ肺炎の所見があるのは4-5名に一人程度です。他にも老衰に近い施設入所者がコロナ陽性になって死亡するとコロナ死として診断書に記載されます。死亡診断書に何を書くか医師が考える時間はせいぜい5分です。現在はコロナ死亡でも遺体搬送に特別な処置は不要であり、「働き方改革」などで夜間時間外死亡は研修医などが書類記載をすることが多く、役所などでの事務処理に問題がなければ死因は「不明」や「心不全」よりは直近で「コロナ陽性」があれば新型コロナ感染症と記すのは当たり前です。インフルエンザはコロナほど流行しなかったので高齢者も罹っていません。「5類移行後インフルの15倍死亡」の理由はこれですが統計には反映されない事情です。あえて強調するのはワクチンを打たせたいという思惑からでしょう。

 

追記 2024年10月26日

イスラエルがイラン、シリアなどにミサイル攻撃を開始

予想はされていたと思いますが、いよいよイスラエルはイラン本土に軍事攻撃を開始しました。目標の座標などは米国からの情報でしょうから米国にも通知済み(承諾した?)と思われます。大統領選前に開戦の既成事実を作ることがシオニスト・ネオコン側の思惑と考えますが、イラン首脳も出席したBRICS首脳会議終了直後に攻撃を始めたタイミングにもロシアがどう出るかを計る意図があるでしょう。

元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏によると、攻撃はイラン領外の航空機から発射された巡航ミサイルによるもので、殆どロシアが供給した防空システムで破壊され、実際の被害は少ないだろうということです。いずれにしても戦火の拡大は世界に望ましくありません。政治能力皆無のハリスが大統領になることだけは避けたい。自民が過半数割れして野合の弱い日本政府などができることも避けたいです。

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Junkers Ju88A-4 Hasegawa 1/72

2024-10-21 18:19:18 | プラモデル

第二次大戦におけるドイツ空軍の代表的爆撃機ユンカースJu88を作りました。ドイツ空軍省は1935年の再軍備宣言後に爆弾1tを搭載して時速500kmで2,000kmの航続力を持つ高速爆撃機の試作を各メーカーに発注します。これに応じたのがBf162,ヘンシェルHs127、Ju85、88と言った機体でした。高速で、戦闘機が追随できないため武装は軽くて良いとされました。類似したコンセプトは英国のモスキート爆撃機、ソ連のペトリヤコフPe-2などに見られます。ドイツ空軍は爆撃機としての能力が最も高かったJu88を採用しますが、Ju87の急降下爆撃機としての電撃戦での活躍などから88にも急降下爆撃の機能を要求して重量が増加し、速度などのメリットをなくす結果になります。それでもJu88は各型総合して9,000機を製造する代表的爆撃機になります。その中でもA-4型は完成型に近く、1944年夏まで生産されました。重量8.5t、丸いエンジンナセルは一見空冷星形エンジンの様に見えますが、これは冷却器をエンジン前部に円形に配置した結果で、エンジンは伝統的な水冷倒立V型12気筒1,350馬力のJumo211エンジンを2機搭載していました。最大速度は473km、航続距離は2,730km、爆弾搭載量は最大2tに達し、魚雷2発を搭載する事も可能でした。武装は7.92mm機銃5問です。急降下爆撃のためのパイロットからの下方視界が良く確保されています。ドイツ軍の爆撃機全てに当てはまりますが、優れた性能ながら、戦略爆撃的な任務は困難であり、陸軍と協力した任務が主体で、戦争全体の趨勢を変えるまでの活躍をすることはできませんでした。

Junkers Ju88A-4実機  消炎排気カバーが装着されている。

モデルは安定のハセガワ製ですが、2006年製造でやや古めで、2007年に購入してから放置してあったものなので転写マークなどはかなり劣化していて苦労しました。第30爆撃航空団1941年ノルウェーで艦船攻撃に使用された機体を作りました。尾翼には多くの目立つ撃沈マークが書き加えられているのに国籍マークをあえて黒く汚して見えにくくしています。塗装は伝統的なダークグリーン(RLM71)とブラックグリーン(RLM70)、ライトブルー(RLM65)で、初めにダークグリーンをスプレーしてから図の様にマスキングテープとキッチンペーパーで覆ってブラックグリーンをスプレーしました。同じく大戦初期に活躍したハインケルHe111と並べてみました。ハインケルの流麗な円形翼とユンカースのやや無骨なデザインが対称的です。

500kg2発250kg2発の通常爆弾(Splitterbombe Cylindrisch)を搭載

直線的迷彩塗装はテープとキッチンペーパーが便利です。曲線には100円ショップの油粘土を使います。 He111との比較

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無条件降伏、無条件の支援≠主権の放棄?

2024-10-19 14:56:43 | 政治

1945年8月14日に日本政府は同年7月26日に公表されたポツダム宣言を受諾する決定を行い、同年9月2日に降伏文書に署名して太平洋戦争が終結しました。ポツダム宣言では、「日本軍」の無条件降伏が明記されてはいましたが、日本国民が無条件に連合国の全ての命令に従うことまでは書いてありません。しかし現実的にはポツダム宣言で明記された「日本に新秩序が確立され、戦争遂行能力が破砕された確証があるまで連合国(米国)が占領する。」とされた占領軍の命令は絶対であって、全国民が従うことになり、「無条件降伏とは国民がアメリカに無条件に従うこと」とほぼ同義に解釈されたまま現在に至ります。アメリカに盾突かず過ごす事で、一時はGDP世界2位の大国まで復活した成功体験から、日本には現在でも、特にエリート層には「アメリカに逆らわなければ良い目を見られる」と信じている人が沢山います。

 

I.  日本独立後の継続支配

1952年4月28日サンフランシスコ平和条約が発効して日本が独立すると、日米安全保障条約も同時に発効して米軍の日本駐留が継続されます。終戦以降、米国は日本の政財界、メディア、教育界に反米機運が生ずることの無いよう、情報部OSS後のCIAを配置してコントロールします。この日本社会のSocial engineeringは戦後70年以上経過した現在も続いています。1980年代の資料になりますが「秘密のファイル~CIAの対日工作」春名幹男著によると、CIA東京支局には100名を超える課員がいて、それぞれが5-6名の工作員を抱えていると言います。日本の国力が劣化した現在ここまでの勢力はないでしょうが、政界やメディアをコントロールする勢力は間違いなくいるでしょう。フジの報道番組で親グローバルぶりを発揮するP君やTBSのデーブ君などは有名ですが、東大名誉教授で戦争中に何故かウクライナに出張できるロバート・キャンベル氏なども局員ではなくエージェントの一人でしょう。ソ連崩壊前はKGBも朝日、読売、産経などの記者にコードネームを付けて買収工作を行っていた(ミトロヒン文書)とされ、東京にも30-40名のスパイを常駐させていました。中国に至っては、民間人とスパイの区別がつかないため、数は解らないといわれています。

政界への支配はほぼ完全に続いており、CIAは統一教会を通じて自民党代議士の秘書や後援会に浸透して議員の活動をコントロールしていたことは安倍氏暗殺事件でも明らかになりました。岸田総理は退任を決意してから公表する前にまず渡米して国務省経由で米国支配層に報告し、許可を得ています。副島隆彦氏によると米国は各議員に1億配るから後任は小泉進次郎にするよう手配した様ですが、余りに人望がなく、英国ロスチャイルド系は麻生副総理を通じて表面的に右派を演ずる松下政経塾出身で力のある人なら右左かまわず従う高市氏を推していましたが、最終的には独自の考えを持ち日本の国益を優先する米英的には扱いにくく望ましくない石破氏が総裁になりました。今衆院選で根拠なく「自民過半数割れか」とメディアは騒いでいますが、米工作員としては石破総理の下で自民党が圧勝してしまう事は都合が悪いから自民が負けると宣伝しているのです。

 

II.  米のイスラエルへの無条件の支援(Unconditional support)

米国が国益と無関係にイスラエルを支援する様はunconditional supportだと表現

イスラエルが現在どの様な一方的な暴虐、虐殺行為を行っても、米国は支援を続けると宣言しています。国際法に違反し続けるイスラエルを支援することは米国の国益に反する上、双方が望まないイランとの軍事衝突につながる畏れがある行為は、米国の中東におけるプレゼンスを失う事にもつながります。シカゴ大学のミアシャイマー教授は、共和党、民主党誰が政権をとってもイスラエルを制御できず、支援をつづけさせられる状態を「無条件の支援(Unconditional support)」と表現しました。日本の無条件降伏(Unconditional surrender)は誰も支配者に逆らえないという点で主権の放棄に近いものでしたが、本来は異なっていたはずです。主権国の国民が支援をコントロールできないUnconditional supportも主権の放棄に近い状態と言えます。何故世界最強の覇権を持つ米国が主権を放棄する状態になったのか、これを研究すればロシアや中国(日本も?)も戦わずして米国を征服することができると言えます。

以前から指摘している様に、州議会地方議会に至るまでイスラエルロビー(AIPAC)が各議員を取り込んでいる事が、米国政界がイスラエル・シオニストのコントロール下におかれている理由です。それは日本の政界が統一教会を通じてCIAに取り込まれていたのと同じ構図です。大半の米国民がイスラエルの虐殺を支援することは良くないと考えても、「シオニズムを批判することは反ユダヤ(人種差別)として取り締まりの対象になる」という法律を短期間に成立させて批判を封じ込めるほど強力なイスラエルによる米国社会支配が成立してしまっていることに唖然とします。

前ブログ911やケネディ暗殺もイスラエル・モサドが関与しているという説が有力視されていることを紹介しましたが、トランプ政権時にケネディ秘密文書の公開が期待されていたのに中途半端に終わった結果も実はイスラエルが絡んでいたからかも知れません。

 

III.  ハリス・ゼレンスキー(存在の耐えられない軽さ)

至上最多の得票数で大統領に当選したバイデン大統領とそのバイデン大統領のメンタル問題を始めに気づいたのはいつか?を聞かれるハリス氏

存在の耐えられない軽さとはチェコの社会主義時代を描いた恋愛小説ですが、民主党のカマラ・ハリス候補や、ウクライナの前大統領ゼレンスキー氏を見ていると、本来の置かれた立場の重さに比して、その軽薄さで良く存在している、と感心してしまいます。バイデン大統領は2020年の選挙で2008年のオバマ大統領の得票数6900万票を大きく上回る8100万票という米国史上最多の得票数で大統領に当選したことになっています。この絶大な支持で当選した大統領を強引に引きずりおろして自分が大統領になると宣言した重みは計り知れない物です。先日のFoxの番組に生出演したハリス候補は、司会者が「79%の国民が現在の米国政治が誤った方向に向かっていると考えているが現政権担当者としてどう思うか?」の問いに「トランプが立候補しているのです。」と答えています。(日本語訳があるので是非見てください)「バイデンが米大統領としての任に堪えられないメンタル問題があると気付いたのはいつですか?」の問いに「ジョー・バイデンは候補者ではありません。」と言う答え。

勝利計画を自信満々に発表するゼレンスキー氏とさえない表情で呆れて聞く閣僚たち

10月16日ゼレンスキー氏はウクライナ議会で、ロシアとの戦争を終結させる「勝利計画」を公表したのですが、5項目全てが既に欧米やNATOから拒否されているものばかりで閣僚たちも呆れて物が言えない状態だった様です。

  1. ウクライナを直ちにNATOに招待する。
  2. 防衛、自国の生産量を増やし、西側諸国からの援助を増やす必要。
  3. ウクライナは、ロシアからのあらゆる軍事的脅威からウクライナを守るのに十分で包括的な非核戦略抑止パッケージを自国領土に配備する。
  4. 経済「平和は経済力の強化とロシアへの圧力、特に石油価格と輸出の制限。
  5. 人材「戦争が終われば、我々は最も経験豊富な軍隊の一つを擁することになる。軍事経験、国際兵器の経験を持つ人材だ。これはヨーロッパの安全を保証するものだ。これは我々の英雄たちにとって価値ある任務だ」。

「勝利計画は、クレムリンの狂人が戦争を続ける能力を失うことを保証するものだ。ロシアはウクライナに対する支配力を永久に失わなければならない」

題目を並べる事は戦略ではありません。毎日多くのウクライナの若者、国民が戦場で命を失っている時に事態の重大さを全くわきまえない「軽さ」だけで勝負する人達が舞台の中央にいることが現在の世界情勢の異常さと言えるでしょう。

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イスラエルの重症新型コロナ的対応とイランの飽和攻撃

2024-10-13 13:59:55 | 社会

良く参考にするアンズ・レビューというサイトのロン・アンズ編集長が、2024年の10月7日の論考でイスラエルのハマスによる2023年10月7日のアル・アクサ攻撃は、攻撃された主体が過剰すぎる反応を起こして自滅しそうになっているという点で、重症新型コロナ感染症に類似していると指摘しました。新型コロナ感染症が重症化するメカニズムはウイルスが増殖した肺実質への自己の免疫過剰反応によるサイトカインストームで肺組織が破壊され、呼吸不全に陥ることであることは以前のブログでも度々説明してきました。

コロナ肺炎の重症化とは自己を護ろうとする免疫の過剰反応(サイトカインストーム)が原因

10月7日に約1,200人のイスラエル人がハマスの攻撃で亡くなったとされますが、実際には襲撃したハマスに殺されたイスラエル民間人は少なく、慌てて飛び立ったイスラエル国防軍のアパッチヘリコプターに、「動く物全てを攻撃せよ、一人も生きてガザに返すな」という命令が下されていた結果であることはその後の取材で明確になっています。イスラエル政府が、自国民の犠牲を厭わない(ハンニバル指令)対応をせず、ガザに連行された200人余りの人質の釈放とイスラエルがテロリストとして裁判もせず捕えたままでいるガザ・ヨルダン川西岸地区のアラブ系住民数千人のうち、証拠不十分な者全ての釈放を渋々でも受け入れていれば、イスラエルの国家としての被害はこれほど悲惨なものにはならなかった事は間違いありません。

イスラエルの自滅的行動はアラブ世界の絆を強める結果になっている

アンズ氏が指摘する様に、当時のイスラエルはサウジアラビアとの国交正常化を控えており(逆転した現在、10月2日イラン大統領はサウジ外相と会談し関係改善した)、世界におけるITや先端産業をリードする国でもあり、トランプ氏が大統領になれば一層米国におけるイスラエルの地位が揺るぎないものになっていたはずでした。しかし事件から1年経過した現在、イスラエルは無抵抗のガザの市民4万人を虐殺した言語を絶する戦争犯罪国家であり、戦争の目的であったハマス撃退は達成しておらず、人質も交渉で帰還された人以外ほとんど戻っていません。イスラエルから国外脱出した住民は既に数十万人とも言われ、経済は停滞、既に米国以外で見方になる国はなく、米国内でもネオコン・シオニストの有力者以外は反イスラエルです。おまけに現在レバノンへの侵攻、ヒズボラへの攻撃を開始し、イランとも全面戦争に向かおうとしています。イスラエルはアメリカからの軍事支援でやっと戦争を継続している、病態で言えば重症化した肺炎のために集中治療室でECMOにつながれてやっと呼吸と循環が維持されている状態であるのに、更なる免疫反応で宿主破壊を進めようとしている状態と言えます。

 

イランが今までに行った限定的攻撃の軍事的意味

 

イランはシリアのダマスカスにあるイラン大使館がイスラエルにより攻撃した報復に2024年4月13日、ヒズボラに対する軍事攻撃への報復として同10月1日にミサイル攻撃を行いました。これらの攻撃の軍事的意味合いについて、つまりイランとイスラエルが本格的衝突に至った場合にどうつながるか日本で解説したメディアがないので以下に示したいと思います。

 

イスラエルの重層防空体制

1985年以降イスラエルは米国と共同で狭いイスラエル国土(約2万平方キロ)をハリネズミの様に護る防衛システムの開発に着手し、現在図の様な重層的ミサイル防空システムが完成しています。上図の如く、低層のアイアンドーム(最近はレーザー兵器も使用)、ダビデの投石と言われる中層ミサイル、日本にもあるパトリオット、その高層はアロー2,大気圏外を対象としたアロー3も実用化されています。これらは軍艦の防空システムの様な長距離から近距離へ重層的な防護を統一した指揮系統で可能にしたシステム統合的な内容です。この一見水も漏らさぬ完璧な防護態勢の唯一の弱点は一度に対応できる標的の数が限られている、つまり飽和点がある事です。逆に飽和点が解れば金がかかった割には極めて脆弱なシステムと言えます。

 

イランのミサイル飽和攻撃

イランは4月13日の夕方、イスラエルに対して神風ドローン170機、巡航ミサイル30発以上、弾道ミサイル120発以上の集中攻撃を開始し、攻撃は5時間続きました。イスラエルはそれらの99%は多層防空システムと同盟国の迎撃で撃墜したと発表しましたが、弾道ミサイル10発程度は目標に到達したことが確認されています。イランは安価で速度が遅いドローンと中等度の速度で到達する巡航ミサイル、そして超音速で飛翔する弾道ミサイルを同時期にイスラエルに到達する様に時間差で発射しました。ドローンと巡航ミサイルは低空から数千メートルの高度を飛翔し、弾道ミサイルは一度大気圏ギリギリか外まで上昇してから目標に到達するので、イスラエル側の統合的レーダーシステムがどこまで対応できるか試した内容でもあります。弾道ミサイルが目標に到達したという事は、ここに防空システムの飽和点(弾道ミサイル100発)があるとイランは確信しました。

イランによる10月1日の約180発ミサイル攻撃は、防空システムの飽和点が既に解っていたため、それに対応する形で行われました。前回程度の数の自爆ドローンや巡航ミサイルは迎撃可能と解ったため使用せず、今回は弾道ミサイルのみで行われました。イランは、精度があまり高くなくコストも安い、低レベルの旧式ミサイルを大量に空域に発射して飽和させ、その飽和した「雲」に乗って目標に到達する、誘導能力に優れた、より先進的な極超音速ミサイルを少数発射する方式を採用しました。しかも多弾頭化やロシアのミサイルにも付いているデコイを発射して目標を複数化するなど、飽和に早期に達する方法を使用したと思われ、目標の3-4か所の空軍基地とモサドの司令部などの各目標に30発以上の命中(到達)があったと見られます。イスラエルは1か所を除いて目標とされる基地の衛星写真を撮らせないようにしていますが、目に見える結果は、広いフィールドにランダムに命中した多数のミサイルと、数発の格納庫などへの正確な命中弾が含まれます。180発のうち、多弾頭化やデコイで300発位に目標数が増やされると、飽和数の100発は撃ち落とされてもミサイルとして有効な150発位が目標に達したと考えられ、計算が合います。正確なミサイルとは主兵器 (エマドやファッタ 2 など) によるものと考えられました。これは同様の方法でその気になればイランは主要なイスラエル内の目標を正確に攻撃できるというメッセージに他なりません。

ネバティム空軍基地に多数着弾したミサイル跡(他にも重要目標の格納庫に着弾)

 

瀕死のイスラエルは健康体のイランと全面戦争をするか?

10月9日ネタニヤフはバイデン大統領と電話で会談し、イラン石油精製施設と核施設への攻撃の許可を求めたと言われます。しかしバイデン大統領は拒否したと伝えられています。トランプ前大統領は、イランの核施設攻撃(石油ではなく)には賛成しており、本音では米国が関与しない形でイランの核施設が破壊されれば良いと考えているでしょう。表面的にイスラエルに反対しているカマラ・ハリスが大統領になった場合、イスラエル得意の偽旗作戦(1946年のアラブ人に扮したシオニストによるエルサレムキングデビッドホテル爆破とか1954年アラブ団体によるテロをみせかけたイスラエルによるラボン事件、1967年USSリバティ号へのイスラエルによる攻撃イスラエルの核保有を妨害したケネディ暗殺(疑惑)やイラク侵攻を決定づけた911もモサドの関与が疑われている)で、イランを悪者にした米国内のテロ事件(大統領暗殺とか)を起こして、瞬間湯沸かし器の米国人を直接イランへの戦争に駆り立てる計画を考えているでしょう。陰謀好きでイスラエル人でもある駐日米大使ラーム・エマニュエル氏がハリス氏の補佐役に就くために帰国する位ですから。

私は表面的にイスラエル支援のトランプが大統領になって、イスラエルはイランと戦争させて見殺しにし、歴史の舞台から消えてもらうのが世界のためだろうと思っています。

(補足)

モサドが関与したかもという911の直後、アルカイダの犯人たちの母国サウジアラビアでなく、関係ないイラクへの侵攻が決定された理由について、エクソンモービルのイラク担当責任者からペンタゴンに移籍し、イラクに6年以上駐在したゲイリー・フォーグラー氏の著作「イラク石油戦争の勝者イスラエル」が話題になっています。2003年から2011年の間に、4,489人が戦死し、32,223人が負傷し、2兆ドル以上が米国によりイラクに投下されたにもかかわらず、米国は2024年現在何の利益も得ていない。米国のイラク侵攻はイスラエルの石油確保がその目的であったと解説しています。米国政治がイスラエルによりコントロールされている実態が現在の矛盾に満ちた米国政府の対応から次々に明らかになってきています。

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裏金批判で政権交代目指す野党、「政治とカネ」が争点?

2024-10-10 13:48:53 | 政治

2024年10月9日、石破首相は記者会見で今回の衆院解散を「日本創生解散」と命名、「地方創生の再起動、大改革を思い切って実行する」と強調しました。それに対して野党はこの半年、国民の生活と直結しない裏金問題の追及をこれからも行う事を争点にして「政権交代」まで目指すとか。呆れて物が言えません。円安にともなう物価上昇が街頭インタビューでも国民の関心事であることは明らかなのですから、具体的な目標「1ドル120円を目指す」とか「物価上昇を1%以内にして賃金上昇を2%以上にする。」と言った解りやすい目標を掲げた上でその具体的な実現方法を演説で示す位の気合がなければ国民は振り向いてもくれないでしょう。地方創生の具体的政策は石破本を読んでみようと思いますが、円安解消などについては必死で勉強して政策立案をしないと解決策は出てこない難物です。しかし野党はこれをやらねば存在意義がありません。

野党は国民生活と関係ない問題では選挙に勝てない位の知能は持て!

 

I.  円安の原因は「新時代の貿易赤字」(弱い円の正体 唐鎌大輔 著)

 

燃料や穀物などの輸入品が値上がりして、日本の物価は上昇を続けています。年度単位では日本の貿易経常収支は2023年+21兆3810億円の黒字であり、前年の2022年における世界黒字国比較ではスイスを抜いて9位(845億ドル)で、一位の中国4019億ドル、2位ロシア2380億ドルには遠く及ばないものの、決して大幅な円安局面に落ちる必要性はない様に見えます。購買力平価(purchasing power parity)からみたドル/円相場は、特に消費者物価ベースで2023年は30%以上円安に振れていて、実際の円相場は120円台で良いはずです。みずほ銀行勤務で経済関係の著作が豊富な唐鎌大輔氏の近著「弱い円の正体・仮面の黒字国 日本」(2024年7月刊 日経BP)は、分かりやすく国際通貨の強弱を解説した良書でお勧めです。この本によると円安の原因は日常生活に深く浸透したIT関係の莫大なサービス収支赤字が原因であり、経常収支の黒字は過去に行った投資の「あがり」である一次所得収支の大きな黒字が反映した結果に過ぎず、一次所得の黒字は毎年円に買い戻される事がなく、ドル円取引に影響されないから莫大なサービス赤字を支払うためにドルが買われて円安になっていると説明されます。

日本の経常収支推移、    購買力平価(PPP)とドル円相場の乖離(1973年起点)この2-3年(赤まる)の日本の相対的物価安感が良く分かる(弱い円の正体から引用)

日常生活におけるIT決済を始めとする全てのやり取りのコンピューター化で、それらのソフトウエアはほぼ外国製であり、ドル建て使用料を必要とします。企業もグローバル化、集約化して本社が外国にあり、日本における取引の多くがライセンス料などで外国へドル建て送金されます。GDPの10%を占める医療介護製品も、労賃以外はメガファーマなどの高額薬剤・商品を使用していて多くはドル建て輸入に頼っています。これらサービス収支の変遷は、2014年円が1ドル100-120円で推移していた時代に3兆円の赤字であったものが、2023年には7兆円に倍増しています。2023年は外国人の旅行が増加してインバウンド景気が期待されましたが、それを大きく上回る赤字増大です。日本は対外的な特許など知的財産権の使用量増加が僅かであるのに、外国に払う使用量は増加し続けています。日本の企業が円安のためにドル建てで売り上げを伸ばした黒字は、円に換える事無くドルのまま海外で貯蓄されます。貿易収支で円を買う必要性(キャッシュフロー)が増えなければ、円が安くなるのは当然と言えます。

サービス収支から旅行などの収支を抜いた「その他のサービス収支」推移 「弱い円の正体」から引用

 

II.  円キャリートレードの影響より大切なもの

 

借りるほど、返す金は少なくて済むマイナス金利の円で、金利の高いFRBからドルを買う事で円が益々安くなる状態が続き、FRBが金利を引き下げ、日銀が金利を上げた事で一機に円高に振れた事がありました。しかし上記の様に金利差のみが円安の原因ではないので、影響は一時的なものでした。政策金利が国内の設備投資やインフレに影響し、景気を変化させる一つの因子になることは確かです。しかし大きな産業構造の基本設計、ITを生かして人口の少ない地方を活性化するとか、食料自給率を50%に引き上げる農業政策を推進するとか、実益に偏らない基礎研究を行う教育研究機関に国家規模で資金を出すといった10年先を見据えた政策こそが、現在膨らみ続けている新時代の赤字、サービス収支の黒字化につながるものと思います。また現在のグローバリズム一辺倒の政策は結局日本人の労働成果を外資に吸収され続ける結果を産むものであり、BRICS諸国がグローバリズム経済から独立した経済圏を作り、多極化を進めている中で、日本がどちらともうまく付き合う「良い所取り」をしてゆくしたたかさを身に着ける必要があります。日本国のユーラシア大陸の東端という地勢は西端の英国が欧州と米国を手玉に取る様に、中ロと米国両方とうまく付き合う必要性があり、その機会(チャンス)を生かす事が日本を今までの二千年と同様、今後千年自立した文化と繁栄を持つ独立国であり続ける原動力になると確信します。

貿易収支が2013年以降顕著に赤字に転じてから円の価値が下がっている。(弱い円の正体から引用)

上図の様に経常収支は黒字を続けても、モノの移動、サービスの移動では日本は赤字続きであり、日本の国力自体が衰えてきている事が明白です。80年代に日本が米国経済を席捲した時から、米国は日本の官僚、政治家に年次要望書を突きつけ、規制を排して米国を中心とするグローバル経済に飲み込まれる様策謀。日本は先進国だと思い込んで油断している間に、20年かけて日本の国力は着実に低下してきました。グローバル化から多極化への大きな波を利用して日本の国力を復活させる野望を今の30-40歳台の若者が持たなければ日本の将来はありません。米中ロが戦争経済に現(うつつ)を抜かす現在が実は日本のチャンスなのです。一緒に戦争に加わるとか、米英の鉄砲玉になって中朝と戦争するなど阿呆の極致、今こそ真の賢さを日本は持たなければいけません。

野党はこれくらいの大きな視野で政権奪取に挑まなければ、石破氏の地方創生案に対抗する事は不可能だと思います。

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