歴代の中華王朝には、文部科学省や厚生労働省、国土交通省や海上保安庁的な省庁は存在していたのでしょうか？

はい、歴代の中華王朝には現代の省庁に相当する行政機構が存在していました。 秦・漢代には「九卿制度」があり、太常（礼儀・祭祀）、廷尉（司法）、宗正（皇族管理）、衛尉（宮廷警備）、太僕（交通・馬政）、廷中（宮中事務）、大鴻臚（外交）、少府（皇室財政）、大司農（国家財政）などの役職がありました。 隋・唐代には「三省六部制」が確立され、以下のような組織がありました： ・中書省：政策立案（内閣的機能） ・門下省：政策審査（法制局的機能） ・尚書省：政策執行（実務官庁） 尚書省の下に六部が設置されました： ・吏部：人事行政（人事院的） ・戸部：財政（財務省的） ・礼部：教育・文化・外交（文部科学省・外務省的） ・兵部：軍事（防衛省的） ・刑部：司法（法務省的） ・工部：公共事業（国土交通省的） 明・清代には「六部」が中心となり、さらに都察院（監察機関）や大理寺（最高裁判所的）などの機関も整備されました。 水利に関しては「都水監」「河道総督」など、教育に関しては「国子監」「翰林院」など、時代によって様々な専門機関が設けられていました。現代の海上保安庁に相当する組織としては、明代の「市舶司」が海上貿易管理と沿岸警備を担当していました。 このように、現代の省庁と完全に一致するわけではありませんが、行政機能ごとに専門の官庁が設置され、時代とともに洗練されていきました。