イラク北部の油田都市、クルド部隊が掌握
帰属争いに影響か
【ドバイ=久門武史】過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国」が支配地域を広げているイラク北部で、油田地帯にある都市キルクークを12日、クルド自治政府の治安部隊が掌握した。過激派の攻勢で中央政府の部隊がキルクークから撤退したのを受け、クルド部隊が防衛を目的として展開した。ロイター通信などが伝えた。
キルクークにはイラク有数の油田がある。これまで中央政府が管理してきたのに対し、クルド側は自治区への編入を主張してきた。戦闘の間隙をつく形でクルド部隊が支配下に置いたことで、長年の帰属争いに影響し、イラク情勢が一段と混迷する可能性もある。
同国北部の豊富な原油を巡ってはクルド自治政府が北隣のトルコに直接向かうパイプラインで輸出を開始。中央政府は直接販売を認めておらず、摩擦をうんできた。
一方、武装勢力は12日も南進を続け、首都バグダッド北方約90キロメートルにある町ドルイヤを新たに制圧した。イラク連邦議会は同日、マリキ首相が要請する非常事態の宣言について協議する予定だった緊急会議を開けず、延期となった。イスラム教シーア派の首相と対立するスンニ派会派の議員らがボイコットし、定足数を満たさなかった。