年金の支給開始年齢引き上げ検討で一致 国民会議
政府の社会保障制度改革国民会議は3日、公的年金の支給開始年齢の引き上げを検討することで大筋で一致した。8月末にまとめる提言に盛り込み、政府に議論を加速するよう求める。会長の清家篤慶応義塾長は記者会見で「67~68歳に引き上げてしかるべきだ」と述べた。
日本の公的年金の支給開始年齢は2013年度から段階的に引き上げ、男性は25年度に65歳となる。米国とドイツは67歳に、英国は68歳に段階的に引き上げる予定だ。日本は先進国の中でも高齢者人口の割合が高い。年金制度の持続可能性を高めるためには、支給開始年齢の引き上げは不可欠との指摘が多い。
支給開始年齢の引き上げは定年延長などの雇用政策と合わせて実施する必要があり、時間がかかる。国民会議の3日の「これまでの議論の整理案」では「早めに議論に着手すべきだ」とした。
物価上昇時に、年金額を抑える仕組み「マクロ経済スライド」は早期に発動すべきだとの認識で一致した。デフレ下でも適用できるように見直しを検討すべきだとの意見もある。
夫が会社員の専業主婦が国民年金の「第3号被保険者」となり、保険料を納めなくても国民年金をもらえる制度を見直すべきだとの意見もでた。主婦が働いて一定以上の収入を得ると、自分で年金保険料を納めなければならなくなるため、女性の就労意欲を抑えているとの指摘がある。
政府・与党は年金の抜本改革は必要ないとの考えを示している。夏の参院選を前に、高齢者の反発がある年金受給の抑制策に政府がどこまで本気で取り組むかは微妙だ。