安倍氏、2%物価目標「日銀と協定」 経済再生相に甘利氏浮上
自民党の安倍晋三総裁は17日、新内閣発足への準備を進めた。記者会見では内閣発足後ただちに2%の物価上昇率目標を日銀と共有する政策協定(アコード)の検討を関係省庁に指示すると表明した。経済政策の司令塔となる日本経済再生本部の運営を担う経済再生担当相(仮称)を新設する意向を固め、同党の甘利明政調会長を起用する案が浮上している。
安倍氏は選挙期間中、経済対策を最優先課題に挙げた。政権公約に掲げた「大胆な金融緩和」に関して「日銀と政策協定を結んで2%の物価上昇目標を果たしていく」と表明。19、20両日の日銀政策決定会合では「選挙の結果を十分に受け止めて、適切な判断をしていただけるのではないか」と語った。
今年度補正予算案については、来年度予算案の編成・成立が例年より遅れることを踏まえ「暫定予算の期間を十分カバーできるものにしないといけない。大規模なものになる」と指摘した。
安倍氏は衆院選の大勢が判明した16日夜、甘利氏に新内閣の目玉となる経済政策の司令塔機能に関する制度設計を急ぐよう指示した。再生担当相が経済財政諮問会議の運営も担当する。
外交では日米同盟立て直しを最優先し、来年1月下旬から2月に米国を訪れる方向で調整する。17日の記者会見では、1月21日のオバマ米大統領の就任式を踏まえ「首脳同士で話し合いをするためにはある程度、先方の体制が整ってからのほうがよいとの考え方もある」と語った。
沖縄県・尖閣諸島の国有化以来、関係が悪化した中国との関係については「今すぐに首脳会談や訪中ができる状況ではないが、粘り強く対話は続けながら良好な関係に改善していく」と述べた。2006年の第1次安倍内閣と同様、政治的な問題を事実上棚上げして経済分野の共通利益を発展させる「戦略的互恵関係」を志向する考えを表明。首相としての靖国神社参拝は明言を避けた。
自公両党は衆院では法案の再可決ができる3分の2を超える325議席を確保したが、参院では自公でも過半数に届かない「ねじれ」が続く。安倍氏は「参院選に勝つことが与えられた使命だ」と語り、石破茂幹事長の留任を明言した。18日には公明党の山口那津男代表と会談し、連立協議入りを確認する。
憲法改正を巡っては、96条が定める改正案の発議要件(衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成)の緩和について「日本維新の会やみんなの党と一致できるのではないか」との認識を示した。