初のネット選挙は「肩すかし」 候補者サイト閲覧は1%
グーグル日本法人などがビッグデータ解析
検索大手の米グーグルの日本法人は30日、参院選における有権者の投票行動とネットやテレビの閲覧状況との関連性調査の結果(速報値)を発表した。政党や候補者のホームページを選挙前に訪問した人の比率は、最も高い自民党でも1.18%にとどまり、他の政党では軒並み1%を大きく下回った。初めてのネット選挙に対して「盛り上がりに欠けた」という指摘が相次いでいる。共同で調査にあたった慶応義塾大学の曽根泰教教授は「『空振り』に終わったという解釈も可能だが、初のネット選挙ということで、今後(ネット選挙の仕組みを)改善する契機になれば」と話している。
調査はグーグル日本法人が曽根教授、調査会社のインテージ、ビッグデータ分析会社のブレインパッドと連携し、関東圏の20~69歳男女約2400人を対象に5~7月と選挙後の7月22日にインターネットを通じて実施した。調査対象者のテレビや端末に計測器を取り付け、約3300万件のデータを解析・分析した。
各政党別の公式サイト(候補者含む)の訪問率は、自民党が1.18%だったほか、民主党、日本維新の会、公明党はいずれも0.34%、みんなの党が0.29%、共産党が0.15%だった。インターネット調査のため、母数がネットリテラシーの高い層であるにもかかわらず、ほとんどの政党の訪問率が1%を大きく下回った。ツイッターやフェイスブックを通じて発信されたものは含まれないものの「予想していた以上に少なかった」(曽根教授)という。
政治情報を得るためのネットやテレビの閲覧状況をみると、全体の95%の人がテレビ番組、41%がウェブサイトを利用していた。投票した政党別では、テレビ(報道・ニュース番組)経由で政治情報に接触した回数は、各党の平均値を100とした場合、民主党は133、みんなの党は124と平均値を上回った。
一方、ウェブ(主な新聞社のニュースサイトや主要ポータルサイト)経由での政治情報の接触回数は、自民に投票した人が155、維新の会が148と平均を大きく上回り、共産党も126と高かった。
グーグルなどは今後、さらに詳細な分析結果を発表することを検討している。曽根教授は「ビッグデータ分析を使った機械式の調査方法を活用し、メディア接触と世論調査の相互関係を利用することで、今までできなかったことができるだろう」と述べた。
グーグルのマーケット調査を手がける巳野聡央リサーチマネージャーは「大手企業でもホームページの閲覧率が1%をとるのは大変。今回は速報値だが、メディア接触と投票結果の因果関係などより深く調べ、顧客のマーケティングに役立ててもらえるようにする」としている。
(電子報道部 杉原梓)
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