ギリシャ、9日までに具体的財政緊縮策 改革一部前倒し
【ブリュッセル=森本学】財政危機に直面するギリシャ政府は8日、欧州連合(EU)に対し、新たな金融支援を求めた。ユーロ圏が財政危機に陥った加盟国を支援する基金を活用した3年間の融資を申請した。融資を受ける見返りに、9日までに具体的な財政緊縮策をまとめるとともに、来週にも年金改革と税制改革の一部を前倒しで実行する方針も表明した。
欧州メディアによるとギリシャ政府は金融支援を要請した文書で、支援と引き換えに、財政の健全化や金融安定を実現するための包括的な改革を約束。そのうえで債務負担の軽減策の協議にも期待をにじませた。融資に加えて、債務の繰り延べや金利減免も今後の金融支援の検討課題となる可能性がある。
ギリシャのチプラス首相は8日、仏ストラスブールの欧州議会で演説し、EUなどが主導した過去のギリシャの緊縮策は「失敗だった」と批判。そのうえでギリシャ危機は「ギリシャだけでなく欧州の問題であり、欧州による解決が必要だ」と述べ金融支援への理解を求めた。
ユーロ圏は7日の首脳会議で、金融支援の前提となる具体的な緊縮案を9日までに提示するようギリシャ政府に要求。12日に開くEU首脳会議での金融支援の最終合意を目指す方針を掲げた。チプラス首相は演説で9日までに新しい緊縮策を示すと約束し、12日に開くEU首脳会議までに「合意できると確信している」とも語った。