「今週が最終期限だ」 ギリシャ支援でEU大統領
ユーロ圏首脳会議が終了
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は7日夜(日本時間8日未明)、ブリュッセルで緊急のユーロ圏首脳会議を開き、財政危機に直面するギリシャの金融支援交渉の再開を巡って協議した。ギリシャのチプラス首相が新たな金融支援を求めたのに対し、EU側は9日までに具体的な緊縮策を示すよう要求。12日に開くEU首脳会議で新支援策の最終合意を目指すことで一致した。
会議ではギリシャのチプラス首相が、ユーロ圏の財政危機国を支援する基金「欧州安定メカニズム(ESM)」を活用した新たな金融支援を8日にも正式に要請する考えを表明した。ユーロ圏の首脳らは支援を検討する前提として、9日までに具体的な緊縮策を示すようギリシャに求めた。
会議後に記者会見したEUのトゥスク大統領は金融支援策での最終合意はEU首脳会議を開く12日が「最終期限」だと明言。「合意できなければギリシャが財政破綻し、ギリシャの銀行システムは崩壊する」と警告した。チプラス首相も会議後、記者団に「迅速に作業を進め、遅くとも週末までの合意を目指す」と述べた。
メルケル独首相は会議後、ギリシャの債務を減免したり返済を繰り延べたりする措置は議論にならなかったと語った。一方、ギリシャ側から数カ月間のつなぎ融資の要請があったことを認めた。そのうえで「まずは長期的な支援のための具体的な改革案の提示が先だ」と強調した。
今回の首脳会議はギリシャが5日実施した国民投票で、EU側が求めた緊縮案を拒んだのを受けて緊急に開いた。ギリシャ側は反緊縮の民意を盾にユーロ圏側の譲歩を狙うが、首脳らは金融支援の前提として具体的な緊縮策を求める姿勢を譲らなかった。
ギリシャは20日には欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債35億ユーロ(約4700億円)の償還を控える。返済できなければECBがギリシャの銀行への資金繰り支援を打ち切る可能性があり、早期の金融支援での合意が急務となっている。