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ソーシャルの効能

近藤正晃ジェームス・ツイッター日本法人代表

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「ソーシャルネットワーク」という映画で日本でも一気に人気が出たフェイスブックの上場が、世界中で大きな話題になった。国内でもソーシャルゲームと呼ばれている分野の企業など、「ソーシャル」関係の企業が注目を集めている。この数年でよく耳にするようになった「ソーシャル」という言葉。どうして注目が集まるのだろうか。

10年前、インターネットは限られた人たちが使うものだった。今や、オフィスではもちろん、自宅でも移動中でも気軽に使えるようになった。総務省の情報通信白書によると、国内の9400万人がインターネットを使っているそうだ。つまり、世の中のほとんどの人がインターネットの利用者になっているということだ。

東日本大震災の際、電話はつながりにくくなったが、インターネットは機能していた。そこで、インターネットを使った様々な支援が行われた。もちろん、その陰には、回線を死守してくれた通信企業や、被災地までサーバーを持っていったいくつものIT企業の尽力がある。

米グーグルは避難された方々のうち、誰がどの避難所にいるかを探せるしくみをつくった。これにはインターネットを通して国内の数多くのボランティアが関わった。同じ仕組みを利用し、災害でばらばらになってしまったペットも探せるようにした。

ツイッターも、家族、友人、同僚の安否確認に積極的に活用された。また、被災しなかった地域のユーザーが、被災地のユーザーを支援する輪も広がった。全国の産婦人科医が被災地の妊婦が投稿した相談にのったり、避難所で必要な物資が投稿されると全国の有志がそれを送ったりと。電車や道路の運行情報も現地の人々が拡散した。レディ・ガガなど国内外の著名人からの応援メッセージもツイッターを通じて届けられた。

 インターネットの人口が増えたということは、それだけ多くの人達の持つ知恵や情報も得られるようになったということだ。何か疑問があったとき、10年前には身近な人に聞いていたものが、いつの間にかインターネットの上にある情報を調べることが当然となり、そして今やインターネットの向こう側にいる人間の知識も使えるようになった。このインターネットの向こう側にいる人達とのつながりが「ソーシャル」と呼ばれるものである。

世界中の人達がインターネットを使えるようになる日もそう遠い未来ではないだろう。そうなったとき、世界中の人達をつなげることができるサービスを提供できれば、今よりももっと面白い何かが可能になるかもしれない。世界中の人達がインターネットを通してつながりお互いの知識や情報を使えるようになったら、あちらこちらのいさかいも減り、平和な世界にすることができるかもしれない。

「ソーシャル」と考えられる企業に注目が集まるのは、そんな大きな期待や夢があるからではないだろうか。

[日経産業新聞2012年5月31日付]

 この連載は変革期を迎えたデジタル社会の今を知るためのキーパーソンによる寄稿です。ツイッター日本法人代表の近藤正晃ジェームス氏、東芝・研究開発センター所長の斉藤史郎氏、カヤック社長の柳沢大輔氏、トヨタ自動車常務役員の友山茂樹氏らが持ち回りで執筆します。
(週1回程度で随時掲載)

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