生活保護を受給する人は車を持てない? 「最後の安全網」に壁

女性が管理する金融機関の口座には、給与や児童扶養手当などが入金されても、すぐに生活費や各種支払いで引き落とされてしまう。通帳の残高(右の欄)は1000円を切ることも=提供写真(画像の一部を加工しています)
女性が管理する金融機関の口座には、給与や児童扶養手当などが入金されても、すぐに生活費や各種支払いで引き落とされてしまう。通帳の残高(右の欄)は1000円を切ることも=提供写真(画像の一部を加工しています)

 困窮した人が、生活を立て直すために活用できる制度の一つが生活保護だ。ところが、受給を希望する人の「壁」となっているのが車の保有だ。車があることで「最後の安全網」が機能しないケースがあるのはなぜだろうか。

 「車があるため、生活保護を受けられないと言われました」。ある30代の女性はこう語り、肩を落とした。女性はうつ病とパニック障害を抱える。療養をしながら60代の母親、中学生と小学生の子どもと計4人でアパートに暮らす。

 数年前から体調を崩した女性は半日しか働けず、収入が半減。現在の一家の月の収入は母親が9万円、女性が4万円の計13万円。医師からは入院を勧められているが、治療費が捻出できない状況が続く。

 昨年秋、離婚した元夫から月数万円の養育費が振り込まれなくなって以降、特に生活は苦しくなった。今春、中学に入学した子どもの自転車や学校の体操着などの就学準備に10万円以上かかり、わずかな貯蓄もなくなった。猛暑日が続いた6月からはエアコンも稼働させられず、シャワーすら毎日浴びることもできない状態が続いた。

 行き詰まりを打開しようと、7月、世帯主の母親と福祉事務所に生活保護の受給を申請した。女性が住む地域は地方のいわゆる「車社会」。電車やバスの本数も少なく、ほとんどの家庭が車を所有している。女性は公共交通機関を利用するとパニックになり、呼吸が苦しくなることから、手続きで自宅を訪れた福祉事務所の職員に「車での通勤が必要」と訴えた。

 ところが、「車を処分しなければ受給はできないだろう」。福祉事務所の担当者の答えはつれなかった。

 どういうことなのか。

 …

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