3-6 特集:銭湯巡礼

暗渠沿い銭湯後に一杯

桃園川銭湯巡礼 その7 千代の湯と風月堂

お知らせ。
西荻丼、ってご存知ですか?
坂本屋のカツ丼のことじゃござんせんよ、西荻で配布されているタウンペーパーです。

この最新号(1月24日配布開始)では、松庵川のことが特集されています!
昨年11月に行った西荻暗渠探検がベースとなったものです。2回目のツアーに、記者さんたちが同行してくださったのでした。その関係でわたしが監修ってことになってますが、記事は熱心にガイドを聞き取ってくださった記者さんが、流路とイラストは暗渠画伯さくらいさんが、雰囲気たっぷりに仕上げていらっしゃるのでした。
松庵川の流路だけではなく、地元で収集した細かな情報も自慢です。この情報収集は、自分の力というよりも、西荻案内所さんの顔つなぎや、友人知人による輪の広がり、暗渠脇で偶然に起きた出会いによるところも多く、みなさんに感謝しなければなりません。
西荻丼のスタッフのみなさん、暗渠を取り上げていただいて、改めて、本当にありがとうございました。より多くのかたがたが、西荻丼を手に取ってくださるといいなあ、と思います。

*********お知らせおわり*********

さてさて久しぶりの更新は、これまたちょっとお久しぶりの、桃園川沿いの銭湯でひとっぷろ&一杯の”桃園川銭湯巡礼シリーズ”。気づけば一年に一度の更新になっちゃってるシリーズです。

入浴するのは今回は千代の湯、桃園川本流ではもっとも下流に位置する銭湯でござんす。

お風呂に入る前にまず、いつものように、なくなっちゃった銭湯跡をいくつか見てゆきましょう。
水源から桃園川を下ってきて、既に中野区に入っているわけですが、杉並区内と中野区内では参照している史料が異なります。杉並区は銭湯組合の発行したもの。中野区は、昭和初期の地図を参考にしていました。
そのせいもあって、今回の一軒目は、お初の”名前は不明”の廃銭湯です。

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場所は、ここ。三味線橋のちかく。
信号の左手にある建物のあたりに、お目当ての銭湯はあったようでした。その、中野区の古い地図には「湯」とだけ、書いてあるのでした。

さらに、手前側の建物は現在は食品会社さんですが、ここは昭和8年の地図では「カフェー」となっています。元カフェーだったのか。そして、カフェーのすぐ隣には桃園川が流れていました。

桃園川をちょっと下って、もう一軒、銭湯跡を見にゆきます。

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大久保通り沿いの、このあたり。
今度は名前がわかります。ここには、金剛湯、という銭湯がありました。すぐ後ろには、桃園川の支流も流れていました。

「湯」も金剛湯も、どちらも、今はかっちりとした建物になっていて、そしてコインランドリー等の名残もないので、わかりやすくはありません。中野の風景を巻き戻し、想像しようとしてみます。・・・う~ん、ちょっと、むつかしい。

さてと。次がいよいよ現役さん、千代の湯です。
金剛湯から、また、桃園川を遡っていきます。

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うーん、いい顔。

千代の湯さん、ザ銭湯って感じですね。中もとっても昭和な感じでした。
ザブーンとおおきなお風呂に入って、イヤ~、いいきもち。

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向かいには、こういう建物がありました。現役時はジュースやお菓子を売っていそうな雰囲気。ひとっぷろ浴びたあと、飲み物を飲む場所だったのでしょうか?(近くに住んでいた方によれば、菓子パンや少しのお菓子を売っていたのだそうです。)

では、わたしも、飲み物を飲みにゆこう。黄金色のシュワシュワしたやつをね!

このときちょっと凝っていたことが、”喫茶店飲み”でした。レトロ喫茶店に出逢っては入店していると、意外と多くのところにアルコールが置いてあることがわかってきて、うれしくなっていたのでした。明るいうちから飲めるしね。じゃあ、銭湯巡礼でも喫茶店飲みを組み合わせてみよう、ってもんで。

中野で喫茶店といえば、ココがあります。

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風月堂。
壊れたマロングラッセが好きなので、それがあるかな、と覗くくらいでした。これまでは。
けれど喫茶ブースは気にしたことがなくって。
初めて、気にしてみると、

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ある!
しかも、ビールやワインに合わせてつまめそうな食べものも、ある!

乾ききっていない髪の毛で、喫茶のほうにはいってゆきます。
ワクワクしながらメニューを広げると、残念なことにミックスサンドをはじめとするパンメニューはすべて「売り切れ」でした。でも大丈夫、まだオカズ系はある。

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夕方の風月堂には、飲み物とお菓子で、談笑する女性客ばかりでした。

グラタンとビールください!
ぐびぐびー。

プハー。

ちまちまとつまみながら、目の前の家族連れがここで夕食を採る姿を見ていました。お父さんだけ、後から合流。へ~、ここで夕食、ということもあるのだなあ。

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紙おしぼりのフォントが良かったです。名前も。王子からヨウコソ。

ゆったりと飲み、そして、次に飲む店はどこにしようかな・・・などと、考えながら、銭湯と喫茶店の短い旅を終えました。

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今回の行程です。yahooさんありがとうございます。桃園川だけではなく、支流たちも集まってくる場所でした。

おまけ。

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金剛湯跡の話に戻ります。
今は痕跡もなくわかりにくい銭湯跡ですが、

Kongou

地図上ではいまでもその姿を見ることができます。
東京時層地図(昭和23-35年)には、モクモクと煙を吐く金剛湯が載っているのでした。

それだけではありません。中野に住んでおられた方が、なんと、金剛湯の写真を見せてくださったのです。

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                (谷戸っ子さん提供、昭和51年春の写真)

昭和51年の金剛湯の煙突だそうです。

モクモク、煙が出ていますね。すすけた煙突からは、お風呂の繁盛ぶりがうかがえます。
写真中央のマンション右下に大久保通りがあるのだそうです。ということは、大久保通りから少し入ったところに金剛湯はあった、ということかな・・・?

いやはや、何度見てもすてきな写真です。この頃、すでに桃園川は暗渠化が済んでいますから、桃園川の水面はここにもありません。だけど、金剛湯はちゃんと写っています!
谷戸っ子さん、本当にどうもありがとうございました。

桃園川銭湯巡礼、本流沿いはこれで最後です。
これからは支流編につづきます。支流も混ぜると、この後何軒のお風呂に出会えるでしょうか。どうかひとつでも、多くの銭湯が残っていてくれますように。

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桃園川銭湯巡礼 その6 高砂湯と復活三好弥

忘れたころにやってくる、桃園川沿いの銭湯でひとっぷろ&一杯の”桃園川銭湯巡礼シリーズ”。前回はいつだったかな、と見てみたら2013年5月でしたアハハ。

ずいぶんノンビリとしたテンポになっちゃってます。「その6」なので、まだ本流6軒目なわけです。そうこうしているうち、都内の銭湯廃業のニュースは相変わらずちらほら来るし。ほんとうは毎日どこかしら入りに行きたいくらいだけど、そうもいかないし。。

さて今回は、中野区部2軒目。
で、お風呂に入る前に、乙女湯跡地を見にいきます。

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中野五差路のやや南、中野通沿いには湯屋が何軒か在ったようで。
そのうち比較的桃園川に近い低地にあるものは、前回の桃園湯(廃業)と、ここにあった乙女湯でした。なぜか、どちらも可愛らしい名前ですね。

乙女湯は、昭和7年の地図で確認したもの。どうも戦前まであった銭湯のようです。わりと早くになくなっているのですねえ・・・

さてそれでは現役銭湯、高砂湯に入りに行きます。

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実はこのブログで紹介するのは2回目だと思うんですが。高砂湯さま。えいはちさんの強い推薦により、1回目は行ったのでした。

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強い推薦理由は、露天風呂!でした。
高砂湯はこの、煙突を見ながら、露天風呂に浸かれるというステキ銭湯なのでした。

駅からも遠くないし、桃園川が近いし。何度行ってもよいです。

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ゆうぐれ。
いつまでも在ってほしいなぁ・・・

ひとっぷろ浴びた後は中野駅近くに繰り出してもいいけれど、折角なので暗渠沿いのお店を紹介したいです。

それは、紆余曲折の中野三好弥。
三好弥、あちこちにある洋食屋さん(サンプルを見るとボリューム多めの傾向にありそうな)ですけれど、中野のそれは、

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桃園橋の隣にありました。
ザ・定食屋さんの佇まいで、とてもすてきでした。

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でもずぅっとそこにあったから、これからもずぅっとそこにあり続ける気がしていたのですね。

なので、まぁそのうち来るだろう、なんて、悠長にかまえてたんですヨ。
そしたら、、

Miyoshiya

ある日突然、すわ!なくなるか!?という状態になってしまい。

隣の桃園橋とともに、不安、心配、喪失感でいっぱいだったのが前回の記事でした。

それが、

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いつのまにか、復活していたのです。なんかだちょっとだけ、シャレオツになってw
桃園橋も残ってて。

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相変わらず桃園川の隣にあって。

あまりにうれしかったので、もう逃すまいと、今回はここでゴハンにします。

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桃園川を見ながら、プハー!(にやりにやり)。

それから、メニューを穴が開くほど眺めて、下した決断はコレ。

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カスタムトルコライス。

カスタムトルコライスはちょっとお高くて1350円でした。
なにがどうカスタムかっていうと、「とんかつ」「ハンバーグ」「チキンソテー」の中からメインを一つ選び、「デミ」「カレー」「トマト」の中からひとつメインのソースを選ぶ。
それとピラフ、ナポリタン、サラダの組み合わせ。

これは夢なんじゃないでしょうか!

ハンバーグ、それとカレーのソースを選びました。ハンバーグカレーと、ピラフとナポが味わえるという寸法。

夢みたいです!!

なんて、わたしはわたしで興奮していたのですが、その脇でおやじさんとその娘さんがずっと喧嘩をしていました。どうも相方の注文の受け取り方が、おやじさんと娘さんで違っていたようで、「あたしはこう言ったわよ(怒)」「聞いてないよ(怒)」という応酬を何サイクルも続けていたのでした・・・喧嘩は喧嘩、なのだけれど、それがなんだか可笑しくて。ほんわかした気持ちで、トルコライスを食べました。

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それと、店内に蚊がいました。・・・手で抹殺しましたが。
さすが川べり。と思った瞬間。

中野の三好弥さんは、こんなふうに、見た目は変わったけれどきっと中身は変わってない。昭和のメニューに、昭和の心意気。桃園川を常に見られる席もあることだし、とっても好きになりました。

Sentou6map

さてさて、乙女湯と高砂湯、三好弥と桃園川の位置関係です。yahooさんありがとうございます。前回の桃園湯跡も、地図内だったので一応。

Otomemap

それから。

なんとなく東京時層地図を見ていたら、昭和戦前期の地図に、このふたつの銭湯が描かれていることに気づきました。

これは、ひとつ前の地図と同じ位置を切り取っています。高砂湯と、乙女湯の煙突が、ほら、ここに。地図上ではあるけれど、乙女湯の煙突からもくもくと煙が出ているではないですか・・・
桃園川もまだ開渠で。きっとこのふたつの銭湯の排湯を、ざぶざぶ流していたのでしょうね。

Gosaro

中野五差路といえば、中野センター(DEEP案内にリンク)が少し前までありました。それがあたり前の風景、と思えていたのはいつまでか。嗚呼、なくなる、なくなる、と思ったら瞬く間になくなり、そしてこんなビルが建ちました。
そんなふうに、なくなって、もう甦らないものもある。たぶん、そういうものはとても多い。

いっぽうで、中野三好弥は、建替えての復活・・・西荻窪キャロットや、四ツ谷政吉そばは、店主が変わっての復活。なくなるものもあれば、ごくまれに、甦るものもあったりなんかして。なくなったことを嘆くばかりではなく、何度でも行ってみると、こういううれしい再会もあるのかもしれません。ごくまれに、だけど。

そんなわけで桃園川銭湯巡礼、本流の現役銭湯は残り1軒となりました。急いで、いかにゃ。

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和泉川湯屋マラソン

本編の前に、

・まずは、御礼。東京てくてくさんでの紅葉川イベント、無事終了しました。
 2回、しかも夜に開催したのですが、ありがたいことに満員御礼でした。雨にもぎりぎり降られず、たのしく歩くことができました。参加してくださったみなさま、スタッフの方々、どうもありがとうございました。また、資料作成に協力してくれたのゆちゃん、そしてスペシャルゲストのおやぢさんも、本当にどうもありがとうございました。記して感謝します。

・つぎに、過去記事追記のおしらせ。千葉シリーズ津田沼編に、谷津遊園の閉園前の写真を数枚追加しました。丁寧にアルバムを作り続けてくれていた、母に感謝です。

                         ***

さて、本編。

やや久しぶりに、暗渠マラソンをしてきました。・・・いつものような、酒ではないヤツで。

ある日、神田で銭湯に入ったんです。
そこはオフィスビルとマンションばかりの場所なので、どんなひとがお風呂に入りに来るのかなあと、興味津々でした。すると、そこには他の銭湯となんら変わらない、近所の方々が入っていて、皆が挨拶を交わしていて・・・ああ、こんなビル街の銭湯も、中身はむかしからのままなんだ。
と、思っていてもそういう空気の中、自分は大抵アウェイです。ところが、その神田の銭湯ではわたしにもお客さんがお風呂を出るときに「おやすみなさい」と言ってくださったんです。・・・あ、姐さん・・・!

イイ・・・、銭湯、イイ・・・(←井ノ頭五郎の声で)

そのことと、もうひとつ、そのとき考えていた「この暗渠沿いで何かしようと思ったけど、銭湯しか入ってないな。」ということが、「銭湯しか入っていない」→「銭湯にしか入らない、というツアーをやってもいいのでは」という思考になって、そのふたつが合さって、”湯屋マラソンやりたい”になったのです。

思いついて、即実行。

・自転車でサクッと行けて、手軽にだいたいを辿れるサイズの暗渠
・銭湯が数軒ある暗渠

この2つの条件を満たす暗渠は何処か・・・桃園川は”銭湯巡礼”でネチネチ行ってる最中なので除外して、と。ココに行くことにしました。

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和泉川、これまたファンの多い暗渠です。
既に多くの人が訪れ、いくつもの暗渠の記事になっていて、ツアーも複数組まれました。暗渠本でも、黒沢さんが気持ちを込めて執筆されてます。そしてえいはちさんが担当者w・・・そんなわけで、わたしは川自体の説明は今回省くことにします。

さあ、ただ何回も銭湯に入るだけのマラソンを開始するとしましょうか。企画の性格上、伴走者は求めず独りで走ることにしました。

                         ***

湯屋をハシゴするわけですから、早めに出ます。タオルや洗髪洗顔関連、銭湯グッズをかばんに詰めて。
多少、和泉川周辺を自転車でウロウロして汗をかいたら気持ちいいだろうなあと、10時に出発。今回の銭湯のチョイスは3軒、上流下流問わず、最も早くオープンするものに最初に入ることにします。

気持ちよく1軒目の銭湯に入るために、朝にシャワーなど浴びないことです。
さらに大事なポイントは、湯屋マラソンの日は、朝起きたら顔を洗わないこと。これが、良いんです。

全体的にデロデロな感じで、和泉川の谷に向かいます。

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清水橋に到着。ここから遡ることにします。

うわぁ、こんなことになっている・・・

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あああ・・・どんどんキレイにされてゆく・・・

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ここも工事する気なんだろうか?

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やっと工事の影はなくなって、のんびり立っている趣ある欄干。

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ここには以前、天龍泉という多機能系銭湯がありました。
行こうかな、今度にしようかな、などと思っているうちに廃業してしまいました。なんの面影もありません。

同様に、流路近くに玉川湯という銭湯もあったそうですが、そこも廃業。そちらは現役時を見ていないので探しにくいこともあり、今回は行きません。

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ココはわりと好きな場所。

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リヤカーも、まだある。良かった。

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もう一本の流れの狭さも好き。

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さて開店時間の12時を過ぎたころ、1軒目の観音湯に到着しました。
今回選んだ3軒のうち、唯一入ったことのある銭湯です。たしか前回も、歩き回ってドロドロになって来たような?

観音湯には微妙に露天っぽくしてあるお風呂があって、そこがぬるめでして、熱いのが苦手な自分にはとても良かったです。

ココで、顔を洗いました。うひゃー、気持ちいいいーwww

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ちなみに1つ前の写真で銭湯の左に細道がありましたが、その先はこう。
水道道路の盛土で阻まれますが、和泉川本流へとつながっていく支谷です。

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盛土の脇にはこういう雨水のみちもあって、これも集まるのかな。

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ちょっと遡ると、支流脇に飲み屋さんが数軒。暗渠飲み屋。

さて、早くもゴハン。昼ですからね。
風呂あがり、こざっぱりとした気持ちで、「俺は今、何腹なんだ・・・?」問いかけてみました。答えは、焼鳥腹でした。ちょうど、夜に焼鳥が食べたかったのに食べられなかった、という思いを引きずっていた日。
地元のちょっと古びたような店で、焼鳥丼・・・とまで都合よくなくても、チキン系の何か、とか出してる店ないかな。朝にカレーを食べてるから、カレーじゃないんだよなあ。

商店街を2往復くらいしました。己に何腹なのか問いかけすぎた結果、迷走。

ふと、目についたのがスパゲティのお店、ハシヤでした。あ、これ長年東高円寺にあったなあ。なんか懐かしいなあ。

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ふらふらと入店。
納豆とアサリのスパゲティにしました。そうそう、あくまで「スパゲティ」なんだよね。

焼鳥腹はどこへいったのか。お腹が懐かしさ込みで満たされたので、さっさか次の銭湯へ参ります。次に開店時間が早いのは、14時のココ。

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武の湯です。実は初訪。
和泉川を通るとき、嫌でも武の湯は目に飛び込んできます。朝風呂にえいはちさんが行ってたよなー、とか、自分もそのうち来たいなー、とか思っていたけど、なかなか入る機会が無かったもので。

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なんと駐車場まである。

入ると、観音湯よりかはクラシックな感じ。一番風呂に入りに来た人たちで、わりと混んでいました。中でも、別料金の”ラドン”は常時数人入っていて近寄りがたい感じでした。そんなに良いのかな・・・ラドン。

ええと、ここは2軒目であります。
さきほど、顔を洗いました。ここでは、体を洗います。ごしごしごしごし・・・

武の湯のやや下流に、さきほどの観音湯脇支流の河口があるのでした。

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ここが本流に合わさって、そしたらそこの下水道の中で、観音湯の排水と武の湯の排水が一緒になるんだよなあ。フフフ。

さて体も洗い終えて爽快なわたしは、あることを企んでいました。
武の湯の斜め向かいに、お肉屋さんがあるのです。そのお肉屋さんの店先に、焼鳥コーナーがあるのです。・・・うまいことできてるもんです。

武の湯の待合室で缶ビール(すぐ赤くなるので抑えるために発泡酒)を買って半分飲み、

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残りを持って焼鳥コーナーに向かう。

・・・と、「焼鳥は4時からです」だって・・・!!

今日の俺は、上滑りしているようだな・・・(←五郎の声で)

にしても、なんて焼鳥に翻弄される日なんだろう。

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やきとりのばかやろー!!

と思いながら、自転車で和泉川を駆け抜けます。

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お、良い橋。

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和泉川、下流部の工事で欄干が綺麗になっちゃったり、親柱が姿を消したりと変化が続きますが、この支流暗渠はなんとかギリギリ、留まっていました。両岸の風景は変わっても、蓋は健在。

さあ、次の湯屋は開店が15時なので、すぐに向かっても大丈夫です。次も、初訪問のところ。

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栄湯。今回の3軒のうち、最もキレイなビル銭湯でした。温泉らしいし。
和泉川マラソンだけど、ここは谷底じゃなくて台地上なのでした。本当は支流脇にあるっぽい第二かねき湯が候補だったのですが、かねき湯は開店が16時と遅めだったので、今回は割愛。

さきほど武の湯で体を洗ったので、タオルが濡れています。いちおう、自転車に乗りながら、首にタオルを巻いて乾かそうとしてみたのですが、たいして時間もなかったので乾きませんでした。・・・お風呂に入る前からタオルが濡れている客って、怪しくないかしら。なんて思ったけれど、別に全然気になりません(&気にされません)でしたw

満を持して洗髪。ああ、やっと洗髪。

こうやって、洗う部分を小刻みに変えていけば、数軒の銭湯に目的を持って入ることができます。

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今回の湯屋たち。
天龍泉と玉川湯にも、入ってみたかったなあ。

それにしても。
今回は「3」が丁度いい気がしたので、3軒設定して回りました。が、実は家に帰ったらここ数年で最も強い疲労を感じました。プールですごく頑張った後、みたいな疲労。4軒にした場合、次はどこを洗えばいいんだ、という疑問も出てくるでしょうが、それ以前に湯屋マラソンであまり沢山回るのはおススメしません。

風呂って、1回でイイんですよね・・・。酒マラソンみたいに「次の店!」ってあんまり積極的になれないのが、湯屋マラソンでした。とくに、2軒目から3軒目に行くときは、もう近いんだから服着なくてもいいんじゃね?みたいな投げやりな気持ちになったことをよく覚えています。
しかし、温泉旅館に行くと、「昨日と今日で7回もお風呂入っちゃったー!」なんて人もいますよね。そういうアレだと思えば、湯屋マラソンもアリ、という気もしてきます。

ナシと言えばナシで、アリと言えばアリ。という、何も言っていないおススメの仕方となりましたが、暗渠湯屋マラソン、わたしはとうぶん、やらないでしょう・・・

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桃園川銭湯巡礼 その5 昭和浴場とお好み村 と、桃園川速報

お風呂に入っても湯冷めしない時期、どころか、外を歩けば汗ばむので銭湯に寄りたくなる時期、に、いつのまにか変わっていました。
こんな時期にこそ、あちこちの銭湯&一杯をやりにいきたいもの。

そんなわけで、桃園川沿いの銭湯でひとっぷろ&一杯の”桃園川銭湯巡礼シリーズ”を久しぶりに。ゆるゆると本流を下ってきた銭湯巡礼も、ようやっと中野区部に入ります。
今回もさっそくひとっぷろ・・・

の、まえに、近隣の桃園川本流沿い廃銭湯をご紹介しましょう。

1つめ、その名も”桃園湯”跡。
こんな、桃園川好きにはたまらない名前の銭湯があったんですねぇ。もうひとつ、すぐ近くの台地上に桃園浴場という露天風呂つきの銭湯もあったようなのですが、どちらも自分が知る前に廃業しており、出会えませんでした。

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桃園湯は、昭和初期の地図で見ると中野五差路のあたりにありました。このクリーニング屋さんの左隣の新しいビルがたぶんそう。少し前までは、古びた男性専用サウナだったので、きっとそれが桃園湯の名残だったのでしょう。
サウナがなくなってしまい、今や銭湯的な情緒は薄いけれど、お隣にクリーニング屋さんがあるので、なんとなく残り香がまだあるようなないような・・・

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ちょっと気になったので2階を拡大。

2つめは、藤乃湯跡です。

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以前の記事でも登場したことがあります。
いまも、コインランドリーが残っていて、佇まいもすっごく廃銭湯ぽいです。建物自体はきっと建て直してあるのだろうに、「ぽさ」が残るのってなんなのだろう。

この2軒が、今回のエリアで本流および旧本流近くにあるものたち。

お次は、昭和浴場

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現役さんです。
昭和浴場の位置って、桃園川緑道から見ると少し遠いように見えるかもしれないけれど、旧本流からみるととても近いです。

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お風呂の種類が豊富です。
サービスも色々。
金曜日に深夜までやってくれるのもうれしいし、平日だって1時半と遅めです。

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えんとつに「マジック温泉」と書いてあるように、ここは銭湯界では有名なのではあるまいか。経営者にマジシャン(=タジマジック)がいて、銭湯でもときどきマジックがみられるようなんです。

つっても、わたし以前この近くに住んでいたのでよく来てたんですが、マジックは見たことがありません・・・タジマジックをスーパーで見たことなら、ありますけどもw

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昭和浴場の横には桃園川の支流暗渠が流れていて(西町天神支流(仮))、

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すぐ上流側ではコンクリ蓋を見ることができ、このコンクリ蓋の隣は飲み屋さんでもあります・・・この日はやっていなかった(最近やっていないような気がする)けれど。

それから、昭和浴場は猫のいる銭湯でもあります。
飼い猫(もともとはお隣の猫だったのが、銭湯が暖かいのでしょっちゅう来ていて居ついたらしい)のチョビがたいてい居ます。かわいらしい名前だけど、とってもとっても体の大きいサバ猫。人懐こくてみんなに愛されている猫です。
チョビのことは、女湯の脱衣所でよく見かけます。・・・なので、男性にとっては”運が良くないと”会えない貴重猫かもしれません。

お風呂から上がって、待合でビールを飲むこともできます。ある程度の量の漫画もあります。入浴時に30円ぶんのチケットをくれるので、それで駄菓子(番台においてある)を買っておつまみにするのもヨシ。
でもきょうは、おつまみは我慢してゴハンを食べにゆきます。

昭和浴場は区境にあり、いろんなものからちょっとずつ遠いので、ゴハンにはちょいと迷います。以前紹介した伊賀もいいけど、今回は東高円寺方面に歩いて、

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お好み村にします。以前はニコニコロード上にあったのが、建物の老朽化により大久保通り沿いに移転してきたお店。

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漂うカープ感。
移転前のほうが、もっと蓄積されたカープ感があって良かったな。ふるいテレビで広島戦を流していたりもして。いまは居酒屋さんの居抜きなので、これからカープ臭が蓄積されていくのでしょうか。

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広島風お好み焼き。
粉もののときは、レモンサワー率が高いかも。

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ハフハフ・・・。ゴクゴク・・・ぷはぁ。
この日は食べなかったけど、わたしはここのキムチ焼きそばが好きです。お姉さんが丁寧に作ってくれる、いい塩梅の焼きそば。

                     

さてさて今回の行程です。

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前回(稲荷橋付近)と今回、本流に接している銭湯(或いは廃銭湯)はありませんでした。そういえば藤乃湯という名前は、桃園川本流上で2軒目ですね(1軒目の記事)。

中野区に入ったということは、本流沿いの残る銭湯は、あそこと、あそこ。そろそろ河口が近付いて来てますね。

                      

                        ***

ところで、最近桃園川をパトロールしていたら、びっくりな場所がありました。
ちょうど中野五差路の先なので、あわせてご紹介しておきます。

その場所とは・・・

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いまも立派な欄干の残る、桃園橋のところです。おとなりの、三好弥(ビルの1階でした)が無くなっている・・・!最近まであったはずで、閉店の知らせさえ気づかなくて、・・・「暗渠めし」シリーズで訪れる予定にしていたというのに。悶々。
解体されて道路になるのでしょうか?

中野三好弥の喪失も哀しいですが、三好弥が消されるんならこれって桃園橋だって消される位置なんです。でも、桃園橋といったら、そのむかし鷹狩りに来た将軍が渡ったとされるお成り橋。現在桃園川流域に残る古い石橋なんて、3つしかないはずだし、まさか消されないよね・・・

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・・・なんて思っているひとは、ごくごく一握りなのかもしれない。和泉川、清水橋の立派な親柱がゴミみたいに放置されていたり、橋跡が突然失われる例はあるわけで。。
中野区のサイトで見てみると、2019年までに”五差路交差点事業”というものが完了するようです。事業の詳細はわからないけれど、ここにもなんだか魔の手が迫っている感じはします。
既に今年、南側が大きな変貌を遂げた中野区。実は北側も東側も少しずつ変わっていくようです。桃園川流域では、この五差路付近と天神川上流部が影響を受けそうなので、定期的にパトロールしに行こうと思います。

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桃園川銭湯巡礼 その4 香藤湯と酔処三輪

谷田川を下っている最中でしたが、箸休め。桃園川本流沿いの銭湯を紹介するシリーズを挟みたいと思います。前回、高円寺駅近辺まで来て、今回はそろそろ中野区に入ろうという位置まで来ています。

杉並区高円寺エリアの本流沿い、残す廃銭湯はあと1つ。
稲荷湯といいます。

Inari

ここが、稲荷湯のあった場所です。ニコニコロード沿い。
いま、白いフェンスのようなものがあるところが、たぶん入口で、奥に向かって敷地が広がっています。一昔前は、ここにお客さんの自転車がざぁっと並んでいたかもしれませんね。

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稲荷湯の名の由来はおそらく、田中稲荷からきていると思われます。田中稲荷については、この記事で詳述しました(ラーメンが食べたくなっちゃうので閲覧注意!w)。この道は実は、堀の内新道でもあり、中野のほうに歩いていくと田中稲荷や稲荷橋を通ることになります。

稲荷橋をこえ、もっとずんずん中野へ向かっていくと、こんどは現役銭湯に出会います。

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香藤湯
「北欧サウナ」ってなんだろう?、と以前から気になっていた銭湯です。

ビル銭湯なのですが、入ってみると、とってもクラシック。富士山をながめながら、気泡・超音波・座・寝・水の各種風呂に入れます。サウナは別料金。
木の桶がカコーン・・・。
親子連れが、男湯と女湯の壁越しに会話をしていたり。・・・広くはないけど、そんな、レトロ感が満載でした。

外は寒くなってきてはいるけど、十分あったまったので、湯冷めしないうちに飲み屋さんへっと・・・堀の内新道をさらに中野方面へ歩いていきます。すぐに中華屋さんやバーや焼鳥屋さんがぽつぽつ在るエリアにさしかかるのですが、この日はなぜか閉まっている店が多く、

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数少ない中からここ、「三輪」を選びました(あれ、検索には引っかからない・・・)。

たしか、ここ以前は違う飲み屋さんだったと思うのです。が、何だか思い出せませぬ。ともかく、何の情報もなく、外からはチラッとメニューが見えるだけなので、賭けるような気持ちで入店。

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ところが・・・突き出しがこれでございます。「肉じゃがか、ブリ大根どっちがいいですか?」と聞かれたので、「一つずつ!(二人なので)」と即答。

肉じゃがの白滝の美しい結ばれよう、ブリ大根の大根の美しい面取られよう・・・。
そして、おいしい・・・。

デキルな、おぬし!しかも、このコースターを赤と青で出してくるかわいさw

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気を良くして、いろいろ頼みました。アサリの酒蒸しは上品なスープと、ざくざくした長葱が良い感じ。

シーフードマカロニグラタンも気になったなあ・・・。炭水化物系も充実。

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揚げ物メニューが充実していたので、何か頼みたくなり、メゴチの天ぷらを。揚げたて、あつあつ、むっちり!

これぁ良い店だな。でも常連さん率が高いかもしれなくて、一人で入るのには勇気が要りそうだな(自分は)。常連さんはカウンターでワイワイしてらして、「カレーのご飯抜きちょうだい!」とか「カレーにコレ入れて」とか、自由に楽しんでらっしゃいました。

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ふと壁を見ると、カエルグッズと猫グッズが多めなのも好印象でした。

Kotomap


位置関係は、こんな感じです。
香藤湯の前に描いた流れは、杉並区史跡散歩地図に暗渠マークが載っていたので。やや北の崖で、清水が湧いていたといわれます。
稲荷湯は桃園川本流からは遠い気がするかもしれませんが、実は、旧流路(後日検証予定)のすぐ近くです。

ところで、先日、杉並郷土史会の方と少しだけお話しする機会がありました。そこで、ちょっと聞きたいなと思っていたことを、うかがうことができました。
それは、かつて銭湯排水を側溝や開渠に流していた時代、寒い日には水路から湯気が上がっていなかったか、ということ。もともとは、団子坂の坂上にあった銭湯の話を読んだ時に、杉並でもそういう景色があったのではと、気になっていたことです。

その方のお返事によれば、YES、でした。
銭湯の排水が流されていた側溝は、残念ながら蓋がされてはいたものの、寒い日は隙間の穴から湯気がもうもうと上り、「まるで温泉街のようだった」とのことでした。

 

Kotof


たとえばココでも、こんな景色があったかもしれません(絵が下手過ぎてゴメンナサイw)。

                             ***

『かつて桃園川沿いには今の何倍もの銭湯があった。廃湯が落とされていた桃園川やその支流では、冬には湯気が上がったりしていたのだろうか。』(東京「暗渠」散歩 pp70.)

・・・きっと、温泉街のような景色が、桃園川沿いのあちこちにもあったはず。これからの季節、銭湯や銭湯跡の前を通るさい、そんなことを想像してみてはいかがでしょうか。

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桃園川銭湯巡礼 その3 さよなら2つの宮下湯

桃園川という廃川と、それから川沿いにあった廃銭湯を愛で、現役銭湯に浸かり飲み屋に行く。というこのシリーズ。1、2回では桃園川本流を、荻窪から阿佐ヶ谷へと下ってまいりました。

阿佐ヶ谷の玉の湯を過ぎると、本流沿いには銭湯は暫くありません。

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次に登場するのは、極狭支流(※)のところで見かけた、第三宮下湯。以前の記事では第二宮下湯、って書いてましたけどねハッハーw
その第三宮下湯、極狭支流沿いなのだけど、本流にもわりかし近いのです。入ったことないので、入ってみようかな~、と。

※この支流に関する過去記事は、「北側支流(仮)、極狭支流(仮)」、「極狭支流(仮)には続きがあった」の2つです。「暗渠週間のまとめ」の途中でも、上流部の写真が少し出てきます。・・・そう、この極狭支流(仮)に関しては、まだ全貌をしっかりとは書いていないのでした。書きたいんだけども。。

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相変わらず狭くて、バイクがとまってる。

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極狭支流(仮)をあえて通って、第三宮下湯前に出ます。すると・・・あれ。あれ?

なんと・・・廃業?

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まさかの廃業でした。
エトアール通りにはしょっちゅう来ていたのに、この銭湯がなくなるということに、わたしはひとつも気づいていませんでした。

閉められてから少し時間が経っているのでしょう、取り壊し寸前といった感じ・・・

なんともいえない気持ちを胸に、ひとまず別の銭湯を目指します。極狭支流(仮)を遡りつつ。

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この日はたくさん歩いていて(後で確認したら、田柄川の一部→谷戸前川を上流端から河口まで歩いた日でしたw)、かいた汗をどうしても流したくて、もう本流沿いでなくていいからどこか入ろう、と思って。

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なみの湯に行ったら定休日でした。土曜日を定休にするなみの湯って、けっこう強気だなあと思う。

ええい、もう暗渠沿いとか関係なくていいから入ろう、と思って小杉湯に移動。
ちょうど、”ペアで銭湯”なるキャンペーンをやっていたので、アイスクリーム券を貰ったりしました。

それにしても、第三宮下湯は残念でした。実は”宮下湯”という銭湯もわりと近年までありました。むしろわたしは、第三宮下湯よりもはるかに、宮下湯の前を歩いていたのでした。

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ここが宮下湯跡地です。
わたしが覚えているのは、ビル銭湯で「サウナ」とでかでか書かれていたものです。でも、ここも一度も入らないうちになくなってしまいました。

・・・いまもこのようにあまり変わり映えのしないビルなので、なくなったことが暫くわからないほどでした。
もし、今でも宮下湯があったなら、きっとペアで紹介する飲み屋さんは「七面鳥」になるんじゃないかな・・・w

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名残として、コイン・ランドリーの看板があります。ただ、このコイン・ランドリーの入り口がどう見てもインド料理屋さんの入り口なので、コインランドリー自体も実在するのかどうかわかりません。乾燥器、って漢字ちがくない・・・?

これ書いてて思うんですが、「第二宮下湯」も、あったりしたのでしょうか?ちょっと、情報が得られていません。

ほかにも、高円寺駅付近(の桃園川本流近辺)にはかつて、何軒も銭湯がありました。

Koenjiyu

ここにあったのは高円寺湯。高円寺浴場と書かれている場合もあります。緑道のごく近く。
2000年まであったようで、ネット上に感想が残っていたりします。2000年、というと、わたしも前を通ったことがあるはずなんですが・・・記憶にない。

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お向かいに堀萬米穀という、ふるくていい感じのお米屋さんがありました。いまも看板があります。残念なことに、今年廃業されてしまいました。

営業時に堀萬米穀の方に、むかし水車を使っていなかったか聞いてみましたが、そういう話は聞いていないそうです。けれど、桃園川の洪水の話はしてくださいました。桃園川の水は溢れるとこのお米屋さんのところまでも来たので、入口に段差を付けたのだそうです。このビルの前の段差は、たんに標高が少し高くなっているからかと思っていたのですが、実は水害対策だったのでした。

Tiyonoyu

もう一軒。環七の近くに千代の湯という銭湯があったそうです。銭湯名簿には載っていましたが、手持ちの住宅地図にも、ネット上にも高円寺の千代の湯の話は見かけません(なお、今回紹介した銭湯の情報は他はすべてネット上で見られます)。

むかしの住宅地図では、この写真の付近に”千代○”と名のつくアパートがあったので、そこが跡地かしらんと思って現地に行ってみましたが、いまやそのアパートさえもありませんでした。
・・・手がかり、なし。個人的にかなりマボロシ度が高いと思っている千代の湯。じつは、千代の湯にまつわる、とても興味深い情報もあるので、それはまたいずれ書こうと思います。

さて。廃業、定休、と、結局暗渠沿い銭湯には入れませんでしたが、第三宮下湯の帰りに行こうと思っていたお店を紹介します。

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センプレピッツァ
突然高円寺に現れた激安本格ピザ屋さん。TVや雑誌にも出でいるので、もはや有名店か?暗渠好きさんでも一部の人がリピーターになっている様子で、支店情報まであります。

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ピザがほんとに安くてうまいんです・・・最初チラシで見かけて、1枚280円からという値段設定におどろき、多少ダメダメでも怒らないからと思って食べてみたら、しっかりきっちり美味しい本格ピザでもっとおどろき。秘密はチーズ屋さんがやっているからとかなんとか・・・。
それまでのピザコスパ界ナンバー1だと思っていた赤坂見附のポポラート(500円でおいしい)をあっさり抜き去りました・・・。

上の写真で背後に酩酊状態の若いもんが写っているように、アルコールも置いてます。ビールやワイン。手前と奥に席があります。それが開放的で、またいい。

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季節限定のペペロンチーノ味ピザをたのみ、店先でビールぐびぐび。
・・・の前に、連れからコミカルにビールをこぼされてしまいました。割と派手に鞄にかかったりしたんですが、その少し前にも、別なひとからビールをこぼされ、それがまた同じ鞄だったので、「この鞄が悪いのだ」という話に落ち着きました。

まあそれはどうでもいいんですが、この美味しいワンコインピザ、サクッと飲んで帰るのにもいいと思うんですよね。春だったら、くるりと巻いてテイクアウトし、近所の公園で食べるのも素敵です。

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本日ご紹介したスポットはこちら。最近まで頑張ってくれていた第三宮下湯さんと、数年前まで頑張ってくれた宮下湯さん。高円寺湯さんに、千代の湯さん。おつかれさまでした、そしてありがとうございました。

桃園川銭湯巡礼シリーズ、3回の記事のうち、なんと1回しか予定した銭湯に入っていません。そうこうするうち、湯冷めする季節が近づいてまいりましたが、さてさてどうなることやら。

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桃園川銭湯巡礼 その2 玉の湯と川名

右サイドバーの「おすすめ本」リンクに、久住昌之「昼のセント酒」を追加いたしました。そりゃあ、暗渠と直接関係あるかといったら、ない本ですが。。。この本との出会いについては、その1の記事の冒頭に書いているように、ちょっと運命的なのでした。

久住氏が、三鷹の銭湯に行く章があります。そこでは、風呂(千代の湯。充実した露天風呂があるし、生ビールやおつまみまで提供している、すんばらしい銭湯!)あがりに、すぐ近くにある古い飲食店のうち、「万平」と「ゴング」を見ています。しかし、久住氏はそこで「万平」を選ぶのです・・・いやいやいや、そこは「ゴング」だろう!!というのが、この本に対する唯一の不満です。わたしは「ゴング」の方に入り、美味いとか不味いとかではなく、「やっぱゴングだよなぁ!」と思ったのでした(ふんいき)。

さて。桃園川銭湯巡礼、その1は水源から天沼までの間の、廃銭湯および現役銭湯について書きました。その2は、ちょっと川を下って、阿佐ヶ谷が舞台です。

Tama1

阿佐ヶ谷駅北口を出て、目的地に向かいます。今日は、桃園川本流(上の写真)はスルー。

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さらに北にある、桃園川北側支流(仮)が今日のスタート地点です。北側支流(仮)と書いていましたが、ここはおそらく桃園川本流の旧流路のひとつでしょう。そう思うと、支流呼ばわりもなんだかな、というのが最近の心境です。(今年のうちに、旧流路についてはまとめたいと思っていますが、もうしばらくお待ちを・・・)

金太郎が居るし、本流の緑道よりこちらのほうが好きだったりします。この日はベンチに小鳥が居ました。一羽は、「・・・ぐぇ。・・・ぐぇ。」と(あんなのは初めて聞いた)、まるで蛙のような鳴き声だったので、わたしもたまらず蛙の真似をしながら、しばし小鳥と会話。

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その、桃園川北側支流(仮)の続きがこれ。そして、この流路沿いに富士見湯という銭湯がかつてあったようです。おそらく、右手手前のマンションかなーと。ここから富士山が見えたとは思えませんが・・・もう少し崖上からは見えたのでしょうか?

もう少し先に、K師匠曰くかつて水が湧いた場所というのがあるようなのですが、うろうろしてみても「湧きそう」感があまりわからず・・・

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もっと下ります。好きな場所のひとつ。

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この北側の流路は特に、コンクリ蓋職人さんの腕が冴えます。
直角、ゆるいカーブ、いずれもきっちりぴったりと蓋の間の処理が施されています。

さあ、もうすぐ玉の湯です。今日の目的地!

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このコンクリ蓋暗渠は、玉の湯に向かう参道なんじゃないでしょうか。

気持ちが昂ぶります。

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玉の湯
マッサージ風呂や薬湯風呂もあり、サウナもあって、なかなか広い。待合にソファもあるけど、アルコールは置いてないようでした。でも、今日はそのほうがいいのさ。風呂から上がったら、何も飲まないで次の目的地に行くのだから。

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・・・なぜ「コイン」が小さいのか。

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今来た暗渠みちを戻ります。縫い針車止め・・・ふふふ。

タオルを手に持って、ひらひらさせながら歩けばちょっとだけ乾くし、いい感じ。

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到着したのが川名です。まず、「焼鳥割烹」って謳っているのがいいです。割烹といっといてこの外観なのがさらにいいです。もう少ししたら、店先でもうもうと肉が焼かれることでしょう。

この、まだまだ明るいうちにってのがまた、いいです!

川名と言えば・・・、

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食べものの印象より、壁に並んだこのオヤジギャグの印象しかありません。・・・下ネタ多いな。

むしろ、もっともっとたくさん貼られていたと思っていたんですけど、記憶が変化しちゃったのかなあ。でも、前は貼ってあったギャグが無くなっているような気もするし。来るたびに増えてたり、張り替えてあったりしたらまた面白いんですけどねwそんなことはないようです。

さー、ビールを飲もう。

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なぜか、つきだしはフルーツ。オレンジがきたけど、向かいのテーブルにはぶどうも置いてありました。

ビール、ごくごくー!うめぇー!

焼鳥を待つ間、とりあえずと頼んだ煮込みが妙においしかったです。ごぼう、にんじん、大根、こんにゃく、ほかにもさまざまな野菜が入っていて、深~い味。

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で、焼鳥盛り合わせ。ん~、うまい。うまいうまい。
たしかメニューの中で高いのはお茶漬けやゴーヤチャンプルーなどの5~600円台のもので、基本的に100円~300円台で、コスパもなかなか良いと思います。

まだ18時にもならないうちに、席がほぼ埋まって、愛されてる感じがしました。   

今回の行程は以下。川名も玉の湯もばっちり暗渠沿いです。

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阿佐ヶ谷の地図って、ぐねぐね道がひときわ多くって、ほ~んと見惚れちゃう・・・。

銭湯排水が河川に流されていたその昔。いま歩いてきた川には、蔦の湯の、藤乃湯の、庚申湯の、富士見湯の、そして玉の湯の、排水がどぶどぶ流れていたのかもしれない・・・。冬には湯気が立っていたかもしれない。5軒分の銭湯のお湯。それっていったい、どれだけの人が使ったことになるんだろ?・・・上流から、銭湯のことばかり考えながら下ってくると、そんな排水まみれの想像もしてしまう。そしてビールの泡となる。そんな銭湯と、お酒の旅でした。

つぎは、さらに桃園川を下って、高円寺にまいります。

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桃園川銭湯巡礼 その1 藤乃湯とやきや

蓋コレクションに追加するのを忘れていた蓋が19枚あったので、さらに追加しました。→蓋コレクション館

どうやら撮影順に並ぶようなので、新しく追加したものが下の方にある場合もあります。今回追加したものは、日野、益子、松本、大田区、川崎あたりの蓋たちです。また、写真をクリックすると場所や蓋の説明(?)が出てくるので、ぜひ1蓋1蓋ご覧いただければと思います。

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さてさて。

待望(←自分にとって)の新シリーズの開始でございます。
その名も、桃園川銭湯巡礼
桃園川沿いを本流支流と歩きつつ、かつて川べりにあった廃銭湯、そしていまも活躍している銭湯をひとつひとつ楽しんでゆく。に、とどまらず、「風呂あがりに一杯」を楽しめるお店も、あわせてご紹介しようってな企画です。

ちょうど、この企画を思いつき、第一弾を実行しようとしていたまさにその日(タオルと風呂グッズを持参して出勤)。友人がわたしに「好きそうだと思って。」と、贈ってくれたのが”昼のセント酒(久住昌之著)”。それが、ちょうど手元に届いたのです。そのような本が出版されていたとはつゆ知らず・・・いやいやいや、好きなの好きじゃないのって、まさに今晩、タオル持って銭湯行って一杯ひっかけようとしてるから!うおー!!なにこのシンクロニシティ!!

と、かなり興奮しまくったんですが、生憎その日は猛烈に寒い冬日となってしまったのでした。だからね、初回は銭湯、入ってないんです・・・呑んだだけ。

ゴホンゴホン・・・でも記事は決行します。まずは、桃園川本流を上流から河口まで行ってみたいと思います。
となると、降り立つは荻窪の駅。

桃園川を、千川上水の分水の分流地点からたどります。
教会通りとの交差を経てまもなく。

かつて、この水路沿いに「蔦の湯」という銭湯があったと言われます。

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このタイル張りの道が追分用水ともいわれる桃園川の最上流部のひとつにあたる暗渠みちで、道路右側に蔦の湯がありました。

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下流側から見ます(今度は左側が跡地)。銭湯跡っぽさがあまりわからない場所です。残念。
これが、桃園川の最上流部にある銭湯跡となるわけです。

蔦の湯は、井伏鱒二が利用していたといい、没後まもなく廃業してしまったとも聞きます。じっさい、荻窪風土記には、蔦の湯に朝湯に行くという描写が出てきます。
写真右手の一角に、昭和の風情が少しだけ残っていました。荻窪の裏道(暗渠でもないところ)を歩いていると、ときどきそういう場所があります。

つぎ、桃園川をゆるゆる下り、藤乃湯をめざします。
今度は、現役銭湯です。お、煙突がみえてきましたよ。

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・・・って、あれ?こんなカタチしてたっけ?違和感ありまくり。

過去の記事を見返してみたら、2009年には煙突はまだこんな感じ。最近あたらしくしたみたいですね。なんだか、ロケットみたい。

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表に回れば、以前と変わらぬ姿がそこにありました。

・・・閉まってます。ええ、昼に来たんで閉まってますね。
ええ、夜には行ってないんで中の様子は報告できません(涙)。後日行ったらここに書き足します!

ちなみに今回初めて気づいたんですが、藤乃湯にはお客様用駐車場のスペースもありました。秀の湯で初めてそういうのを見て、随分笑ったのですが。なんだ、頻繁に通っていた道にも同じようなのがあったのか・・・。

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もう少し下流の銭湯跡まで見に行きましょう。
支流も元気かなっとパトロールして。結構好きな、天沼二丁目支流です。はい、二丁目さん、お変わりありませんね~。
撫でさせてくれるうえ、ゴロンゴロンしてくれる人懐こい暗渠猫も居ました。ね、こっち向いてる。・・・そんで、もう一匹ソックリなコ写真の右手でちっちゃくこっち向いてるw

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このあたりに、かつて「庚申湯」という銭湯があったと言われます。以前地元の方からコメントをいただき、跡地が魚屋さん(写真右)の向かい(写真手前側)であると教えていただきました。このときいただいたコメント、いま見返してもワクワク。
庚申湯は、杉並区の銭湯組合の記録には載っていますが、30年前のゼンリンには載っていません。探してみると、天沼熊野神社社報に庚申湯の煙突が写っている写真が載っていました。天沼には建物がまだまばらで、銭湯の排水が桃園川になみなみと流れていたであろう風景。なんと、昭和8年の写真です。蔦の湯よりももっと前になくなってしまったようです。

この跡地のすぐ南(写真手前側)に、庚申塔があります。ただしこの庚申塔は、もう少し南にあったものを移動したらしいのですが、でもきっとこの庚申湯の名の由来なんだと思います。

さあ、これで廃銭湯と銭湯あるきは終わり。

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風呂は入っていないんだけれども、飲み屋に行こう。今回行こうとしているお店は、「やきや」。
なかなかよさげな立ち飲み屋さんです。といっても、わたしは「立って飲むと早く酔ってしまう」という思い込みがあって、立ち飲み屋さんには普段ほとんど行きません。雰囲気は大好きなのですが。

したがって、天沼に住んでいた時代、やきやの看板はほぼ毎日のように見ていたんですが、素敵だなーと思いつつも、素通りしていたのでした。

その看板が指していた店の場所がここらへんのはず。青梅街道と線路の間にあるあの空間。あれー、なんか空き地がとても増えている。その空き地から見える、この風景。

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店は見つかりません。
ないぞないぞ、と言いながらも、このあらわになった建物をバシャバシャ。

よくわかっていないけど、ここも再開発されてしまうのでしょうか?駅前にあった頃のとても良い感じの鳥もと。移転した鳥もとに、ようやく慣れてきたのに。2度も追われてしまうなんてことは、あってほしくないなぁ。

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えっと、探しているのは「やきや」でした。駅前をウロウロ。
あ、井戸です。以前、満洲会をやったとき、みつけてはしゃいだ駅前の井戸。

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ウロウロしまくっていたら、また井戸を見つけました!

いやー、全然気付かなかったなあ今まで。なんて思ってたけど、良く見るとこれとても新しいですね。防災用に新たに掘ったのかな?

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おおお、もういっこありました!

この井戸もなんか新しいですね。それにしても、こんな狭いエリアに3つも。しかも実に堂々と井戸があります。うれしくなります。
新しいものだとしても、この界隈の雰囲気にちゃんと合っていて、ずっとそこに居たかのよう。

・・・で、「やきや」が南口に移転していたことが判明しました。北口のこの場所にあることで、なんとか藤乃湯帰りに一杯が成立すると思うんですが、南口に行ったら湯ざめするんじゃないかなぁ・・・ま、いっか。今日は風呂入ってないからw

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いざ、やきやです。
どう見ても「パブ ヴァニラ」に負けてます。

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新しい看板に店内。でも、暗くて狭くて良い感じ~~。

なんと、ここ、イカ料理専門なのです。それだけでも嬉しいのに、値段がすごい。そのほとんどが170円なんです(号泣)。
これ、ゲソ焼きに、イカさし。おいしいです。熱燗呑みます。マヨネーズつけて、七味振ります。なにこれ幸せすぎる!
入口寄りのカウンターでやってましたが、奥にはとっくに幸せになってる真っ赤な人たちがいっぱいおりました。混んでます。

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とくに、このイカのみみが美味かった!ヅケにしてあったのが焼かれて、えもいわれぬ旨さ~~!おやじ、酒おかわり~~!

ほか、売りきれちゃってたけど、イカ大根だって食べたかったし、ゲソ揚げだって美味いに違いないよ。珍味系は苦手なわたしですが、わたあえとか塩辛とかも人気なんでしょうな。・・・すごいコスパです。なぜ、毎日素通りしていたのか、天沼時代のわたしの馬鹿。すごい満足感で店を出ました。

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なお、藤乃湯のとなりにも、ごらんのとおり飲み屋さんがあります。
ひとっぷろあびたら、此処でいっぺえ、でも、いいかもしれませんね。

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今回の行程はこちら。水色の点線が桃園川です。
あえて桃園川沿いの銭湯しかご紹介していませんが、もっと駅前に、かつて寿湯という銭湯もありました。一応書いとくと、現役でやきやに一番近いお風呂屋さんは湯~とぴあ荻窪です。銭湯料金ではないけれど、湯~とぴあも露天風呂で中央線の音がいっぱい聞けるので、そういう意味では好きだったりします。

次回は、本流下りの続きなので、阿佐ヶ谷周辺を予定しています。おたのしみに~。

・・・しかし、シリーズ開始一回目にして、銭湯特集なのに銭湯に入っていないというこのグダグダ感。・・・だって寒いんだもん!

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