死ぬまでにあと何度クリスマスを迎えられるか分かりませんが、なるべく早いうちにこのアルバムに出会えると、きっと幸せになれます!1978年発表、
カーペンターズによるクリスマス・アルバムです。「サンタが街にやってきた」「What Child Is This」「サイレント・ナイト」「ジングル・ベル」「ホワイト・クリスマス」など、有名なクリスマス・ソングがこれでもかとズラリ。でも
これを「ポップスのグループがクリスマス・ソングをカバーして歌っただけのアルバム」なんて思ってはいけません。その完成度たるや… フォー・リズムに弦と合唱をつけたのが大まかな編成で(他にハープやオーボエなどが聞こえる所もあり)、ディズニー・ランドで聴く事のできるファンタジックなウィズ・ストリングスなポピュラー。悪い言い方をすれば、ロマンチックというより子どもっぽくも感じました。ところがそんな事を言う気になれないほどの
見事な構成とアレンジでした。ビビるほど凄いです。アルバムの構成能力と卓越した管弦のポップス・アレンジを聴くためだけでも、このアルバムは聴く価値ありですよ、奥さん。というわけで、このアルバムの本当の主役って、メドレーを含めてこのアルバムの構成を考えた人と、アレンジャーではないでしょうか。
アレンジャーは3人で、リチャード・カーペンターが2曲、ビリー・メイが5曲、ピーター・ナイトが8曲。
ピーター・ナイトは8曲のうち2曲が組曲で、しかもその組曲の完成度がヤバすぎる状態なので、実際の主役はピーター・ナイトで決定です。ちなみにピーター・ナイトはイギリス出身の産業音楽のプロ・アレンジャーで、映画やテレビ関連のスコアや管弦アレンジをとんでもない数作ってきた人だそうです。ポップスやロック関連の仕事で言うと、スコット・ウォーカー、ムーディー・ブルース、あとはビートルズの『
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』にも関わっているんだそうで(ジョージ・ハリソン「Within You, Without You」)。カーペンターズとの関わりは、
リチャード・カーペンターが「ピーター・ナイトという天才をアメリカに呼んでくれ」のひとことで決まったんだそうな。まさにプロの間でだけ知られた隠れた実力者ですが、決して表に出てこない天才を目ざとく拾ってくるリチャード・カーペンターも、才能を理解できる高いレベルにあった人なんでしょうね。トウシロな日本のレコード会社のディレクターなんて、音楽の才能があろうがなかろうが、売れた人ばかりをブッキングしますからね。。
そして、カレン・カーペンターのヴォーカル…やっぱりこの人も持ってます。彼女の声が聴こえた瞬間に「うわぁ~これはいいわ…」とため息が出てしまいました。。カレンさん、なぜ早逝してしまったんだよ…。
内容が若干ディズニーランド的で子供っぽいんですが、音楽を仕上げる技術は、アレンジャーもプレーヤーもシンガーもプロ中のプロ。ロック隆盛後の英米ポップスの世界では無数のクリスマス・アルバムが作られてきましたが、これを超える作品はちょっとないんじゃないかと。まあ、リチャード・カーペンターとピーター・ナイトが手を組んで、フロントがカレン・カーペンターでは、これに勝てという方が難しいですよね。。
そうそう、このアルバムはCD時代になってスペシャル・エディションなるものが出ましたが、個人的にはこれはナシ。こういうのは全体の構成も大事で、1曲目に無伴奏男声独唱の「O Come, O Come Immanuel」(久しく待ちにし)がある事に大きな意味があると思っちゃうんですよね。1曲目に「It Came Upon A Midnight Clear」となっているバージョンのアルバムは、僕的には駄目、いっぱい入れればいいってもんじゃないんだな、みたいな。
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子供たちが小さかった時は、このアルバムの1曲目、讃美歌114番がかかると我が家のクリスマスが始まりました。(クリスチャンではありません(笑)。)
と書いていて気が付いた。僕が持っていたのはCDバージョンでした。
アレンジャーの3人の分担、LP版には載っているのですか?
CD版はその記述がないので、てっきり全体がリチャード・カーペンターのアレンジかと思っていました。
マイブログにも、今日中にクリスマスプレゼントをあげる予定です。