2026-01-04

Xの絵師AIを嫌う、当然

 もうさんざっぱら言われまくられてることだろうけど、どこかに書き出しておかないといつかXでポロッと言っちゃいそうなのでここに書き散らす

 X(twitterと呼びたい奴は勝手脳内変換かけてくれ)の絵師AI生成の絵を嫌う。蛇蝎の如く嫌う。まじで親の仇かよってくらい嫌う。とにかく僅かでもAI絵の気配を感じるとものすごい剣幕で否定している。少なくとも自分フォローしてる絵師の一部がそうだ。

 学習防止とか言って、一枚一枚律儀にロゴや透かしを入れる。まあこれは転載対策の側面もあるのかもしれないからわからないけれど。ときどき、描いた絵の上から全面に大きく透かしを入れている人すら見かける。こうなると透かしが邪魔で、もはやキャラクターなんか目に入らない。

 一方世間では、もはやAI絵は確実にビジネスの一部分に食い込みつつある。身内の話で恐縮だが、新技術には消極的な私の勤め先ですら社内向けポスターはいかにもchat-gptが生成しましたって感じの黄色がかったイラストが使われていた。自分旅行趣味で、地方の町を歩くことも多いのだが、何度か同じように黄色がかった、時々文字破綻しているポスターを見かけたことがある。多分来年の今頃には社外向け広告にもAI絵を使うのが当たり前になって、営業用の資料も、プレゼン用のパワポにも、そこかしこAI絵が溢れてるんだろう。

 要するに、X絵師AI絵へのヘイトは異常だということだ。どんなに擁護したくとも世間一般常識からはかけ離れている。

 おまけに彼らは、「絵」にだけ異常に執着する。AI執筆小説AI作曲の曲なんかもネットには溢れているが、それらに同じような熱量否定するかというとそうではない。彼らの対応を平均すれば、無関心といったところだ。

 だけれど、それは当たり前のことだと思う。AI絵に対してだけ度を過ぎたヘイトが向けられるのも、当然なんじゃないか

 XでAI絵を嫌っている絵師はどんな人か?まず第一に、プロではない。それで生計を立てているわけじゃないように見える。skebでちょっとした対価をもらうとか、fanboxで小銭を稼ぐ程度か。第二に、二次創作の、いわゆる版権モノの絵を描くことが多い。それも、ある程度知名度のある版権オリジナル知名度のない二次創作は描いても数が少ない。

 すると、彼らは金銭のために絵を描くわけではない。しかし、純粋創作だけのために絵を描いているわけではない。創作けが目的なら、二次創作を描くにしてもそれに傾倒することはない。実際、オリジナル二次創作も同じくらい描くような人も一定数いて、そういう人はAI絵にそこまでヘイトを向けていないように思う。

 では彼らは何のために絵を描くのか。手っ取り早く承認欲求を満たすためである

 もちろん、そこに創作欲は介在し得る。純粋キャラへの愛や、作品への愛もある。だけれど、主目的承認欲求を満たすことなのだ。

 Xは、もうずいぶん前からポスト投稿内容はAIトレーニングに使われることを規約に明記している。設定で回避できるようだが、仮にそれが嘘だったとしても規約違反にはならない。この話題はX上で何度も何度も炎上のような形で議論を呼び、その度にやれ移住先はブルスカがいいだの、みすきーがいいだの言われたけれど、未だに多くの絵師がXに残って活動している。ブルスカは、投稿データAI学習に用いないと公言しているらしい。単に作品を公開するだけなら、AI憎しには良さそうな場所である

 一方、pixivを見ると、毎日のように大量の二次創作AI絵が投稿されている。男性向けだとブルーアーカイブアイマス艦これ東方あたりの、コミケで島を作れる(作れた)ようなジャンル特に質も量も豊富だ。R-18かそうでないかに関わらず、である。その中には一日十枚以上も投稿するような、粗製濫造タイプ投稿者もいるが、数週間おきにこだわりの一枚をアップするようなタイプもいる。但し、後者は相当に数が少ないことも付け加えておくが。

 AI絵は質が低いという思想は、Xにいるアマチュア絵師比較した時、もはや過去のものとなった。クオリティ勝負するAI絵と、人間アマチュアが書く絵とはもはや区別がつかなくなる瀬戸際まで来ている。じきに、どう足掻いても両者を見分けられなくなる日がやってくる。正直、個人的感覚ではもうその日は来ているような気もする。

 もうお分かりかと思うが、彼らは、自分承認欲求を満たす手段としての絵を奪われることを恐れているのだ。しかも、そのための「学習」とやらには自分たちの描いた絵が使われているのだという。自らの絵で、自らの敵を勝手に作られるなど言語道断

 ……というのが、彼らの思うところなのだしかしこれが正しいとすると、自分承認欲求のため絵を描いているという事実を認めなくてはならない。

 一次・二次わず創作界隈では、キャラクターへの愛や創作から作られる作品こそが純粋で尊く、それ以外は汚れている、という考え方がある。これに則ると、承認欲求からまれた絵は、その作者のキャラへの愛・作品への愛を疑ってよい、ということになるのだ。よく分からいかもしれないが、そういうルールなのだ

 認知的不協和、という心理学用語がある。ざっくりいうと、「考え・信念」と「行動」が相反する時、それを受け入れるため、脳は勝手理由付けして都合よく物事解釈する、というものであるタバコは良くない、という「考え」と、欲求に負けて喫煙してしまう「行動」は矛盾するが、脳はこれに「喫煙者でも、長寿の人はいる」とか、「リラックスすることはなによりも重要」だとか理由付けして、この矛盾を解消する。

 単に創作がしたいだけならば、絵を描いて公開せずにいれば良い。だいたいインターネット上に絵をアップロードしておきながら、その絵を勝手に無断で利用されたくない、というのはインターネットリテラシーが低すぎる。ネット上の悪意を甘く見過ぎであるそもそも未だ二次創作許可しているコンテンツの方が少数派な中、勝手二次創作を描いておいて自分の絵は護られたいだなんて厚顔無恥も甚だしいとは思わないのか。いや、描くだけならいい、描いてそれを公開しなければ完全に合法である。あろうことがそれをインターネットに公開し、さらには差分自身のfanboxに誘導し毎月投げ銭させているような人が、skebで数千数万のお金をもらって絵を描いているような人が、自分の絵にはAI学習されない権利がある、などとのたまうのは一体全体どういう了見なのだろうか。お前は原作者が「私の作品には人間学習されない権利がある」と言い出したらどうするのか。「私達は機械じゃない!人間なんだ……!」とでも言うつもりか。残念ながら現行法はこの真逆である

 話が逸れた。そんなことは二次創作に勤しむ諸兄姉なら承知承知だろう。この、「元来二次創作権利侵害である」という「決まり」と、「多くの二次創作が公開されている」という「事実」が衝突した結果、「キャラ愛・作品への愛が高じたものであって、それ以外の邪な動機はない(から許されるべきだ)」という理由けがなされているのだ。だから自身承認欲求(だけではないにしろ)の為に絵を描いているということは、薄々勘付いてはいても触れてはいけない、タブー話題となっている。

 さてしかし、現に絵による承認欲求の充足はAIに脅かされている。粗製濫造かもしれないが、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。もし自分の描いた絵にいいねを押す代わりに他人AI絵にいいねが押されれば、自分欲求満足のための絵としては価値が下がったことになる。

 ここに、彼らがAI絵を恐れ、憎む理由ができる。しかAIは、電力の供給がなされる限り、24時間365日絵を描き続けられる。人間太刀打ちできる相手ではない。おまけに、そのAIの精度の向上にはまさしく彼らの絵が使われているのだという。怒りは増幅され、AI憎しはますます盛り上がる。

 この怒りを、他人が切って捨てるのは簡単だ。しかし、私は、そうであって欲しくないな、と思う。なぜなら私も、二次創作を愛する一人だから

 しか現実AI絵は社会に普及していくし、人間二次創作をしているのにAIにそれを禁止させるのは難しい。AIあくまで道具であり、ペンタブクリスタや雲形定規と本質的には変わらない。ただ、その制作に多くの絵が必要となっているだけの、ただの道具である

 Xでは、こういう絵師の抱える矛盾批判するポストが伸びているのが事実である。私も思うところはあるが(だからこんなのをわざわざ書いている)、批判すれば良いと言う問題でもない。彼らの承認欲求を充足させているのは私たちいいねなのだから

 余談:実際のところ、AI絵はしばらくはプロ絵描き仕事を奪えないだろう。AI絵のクオリティも日夜上がってはいるが、絵は2次元なので縦横の長さを2倍にするとピクセル数は4倍に増え、必要計算は4倍どころかもっと増える。投入できる計算リソース限界がある限り、AI絵もある一定クオリティ頭打ちになる。尤も、社会の方が求めるクオリティを下げてくる可能性は大いにあるが。

  • 長い上に的外れ過ぎる 承認欲求とかより努力も無しにパクられるのが嫌って感情だと思うぞ 絵柄に著作権はないとか努力と成果は関係ないとかそういう理屈じゃないの 努力して手を動...

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