イスラム過激派、フランス連続テロ
フランスで週刊紙編集部などを銃撃するテロ事件が発生した。容疑者は移民出身のイスラム過激派で、国際テロ組織アルカイダ系や過激派「イスラム国」との関連が疑われている。一方、「反テロ」の動きも広がっている。事件の経緯と背景などをまとめた。
週刊紙編集部など襲撃
7日昼前、パリ市内の週刊紙「シャルリエブド」本社に覆面姿の何者かが押し入り、銃を乱射した。
同紙はイスラム教の預言者ムハンマドを題材にした風刺画などを掲載したことがある。
実行犯は重火器で武装し「預言者(ムハンマド)のかたきを討った」と叫びながら銃を乱射したという。
仏紙襲撃で12人死亡 銃乱射、大統領「テロ」非難(1月7日)「暴発テロ」の可能性
ただ組織の具体的な統率下にあった跡は乏しく、容疑者が組織の利益と判断してテロに及んだ可能性がある。
欧州からシリア内戦や中東の過激派組織に身を投じ、母国に戻った戦闘経験者は数千人とみられている。治安当局が自国社会に溶け込む「テロリスト予備軍」の動向をすべてつかむのは難しい。
暴発テロ、制御困難 統率なく組織末端で共闘か(1月12日)イスラム系移民多く
一部のイスラム系の若者が過激派に走るのは、経済格差とともに、欧州社会から疎外されているとの受け止めが底流にある。反移民感情の火ダネを完全に消すためには、移民が職を得るチャンスを高めること。幼年期からの教育を充実させ、採用段階での差別をなくし、相互理解を促すことも必要だ。
欧州、反移民の火種 極右、イスラム批判(1月11日)反テロの波
11日にパリなど各地に広がった「反テロ行進」の参加者数は仏内務省の集計でフランス史上最大の規模に上った。オランド仏大統領やメルケル独首相ら各国首脳・閣僚らも加わったパリでは120万~160万人、マルセイユやリヨンなど地方都市を合わせると仏全土で370万人に達した。
仏全土で反テロ行進、370万人参加 史上最大規模に(1月12日)各国政府、対策急ぐ
米ホワイトハウスは11日、イスラム過激派などによるテロ対策を話し合う国際会議を2月18日にワシントンで開くと発表した。
同会議では「内なるテロ」阻止のために過激派「イスラム国」への参加者や過激派思想に染まったテロ予備軍の情報交換や監視態勢を話し合う。各国がそれぞれ国内外の過激派対策を紹介し、地域や宗教界の指導者、企業の役割を議論する。過激思想や過激派組織への参加阻止策が焦点になる。
2月18日に対テロ首脳級会議 米発表、同盟国と情報交換(1月12日)フランスでの週刊紙銃撃事件に端を発したテロ事件を受け、欧米主要国の内務相らは11日、パリで閣僚級会議を開催し、欧州域外との国境管理を強化していくことで一致した。欧州各国で航空機の搭乗者の情報を共有することやインターネット企業を通じたテロ情報の収集強化も検討する。欧州ではテロ多発の懸念が強まっており、封じ込めに向けた早急な対策の実行が求められている。
欧州、国境管理を強化 対テロ、閣僚級会議で一致(1月12日)