甲子園球場の銀傘、アルプス席まで拡張 熱中症対策で

阪神電気鉄道は2日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の内野席にかかる屋根「銀傘(ぎんさん)」を一塁側、三塁側ともアルプススタンドまで拡張する計画を発表した。8月の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で深刻になっている猛暑への対応策。施工者は大林組で総工費は約150億円。2024年11月に着工してシーズンオフの冬場だけ工事を進める。完成は28年3月の予定。
大会期間中、熱中症などで救急搬送される観客は各校応援団が陣取るアルプス席からが多いという。1日に開場100周年を迎えた甲子園球場での大会開催を持続可能なものにするため、観客を守る抜本的な暑さ対策に乗り出す。
観客の視界を遮らない観戦環境を維持するため、スタンド内に柱の出ない構造とする。一、三塁側ともアルプス席に隣接する外周に地上6階の建物を建てて支柱を設け、拡張する銀傘を支える。1階部分は日差しを避けられる通路とし、建物内には飲食売店やグッズ店、個室観覧エリアなどを設ける予定。
阪神電鉄の谷本修取締役は「高校野球の歴史と伝統を新たな時代に紡いでいくことが使命だと考えている。環境の変化に柔軟に対応していくことが必要だ」と語る。夏の甲子園を主催する日本高等学校野球連盟の宝馨会長は「球場が次代に向けて新たな歩みを進めることに心より敬意を表したい」と感謝した。