東北大学、ムール貝まねて水中接着剤 低温で簡単剝離
海中で岩にへばり付いて離れないムール貝をヒントに、東北大のチームが水中でも使える接着剤を開発した。体温ぐらいの温度では強くくっつき、下回ると簡単にはがせるため、貼る場所を傷つけずに使うことができる。止血や体への医療機器取り付けに活用できそうだ。
ムール貝は「足糸」と呼ばれる糸状のタンパク質で岩に体を固定しているが、外部からの刺激を察知すると素早く離れる。チームは、足糸と同じ化学構造を持つ接着剤を、温度によって硬さが変化するゲルで作った。
水分のある環境でもくっつく接着剤は医療現場で求められる一方で、取り外す際に生体組織を傷つける恐れがある。
開発したゲルは温度によって性質が変化し、約35度以上では水分を出して硬くなり、水中で1平方センチ当たり1キロ以上の力に耐えられる。約35度を下回ると水分を含んで軟らかくなり接着強度が千分の1まで弱まり、簡単にはがすことができる。
生き物の特性をもの作りに応用するバイオミメティクス(生物模倣)という手法で、開発した阿部博弥准教授(工学)は「医療現場の声を聞き、使いやすく改良していきたい」と話した。〔共同〕