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拘置所医療巡る遺族の請求棄却 起訴取り消し事件で地裁

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生物兵器製造に転用できる装置を無許可で輸出したとして起訴され、その後取り消された「大川原化工機」(横浜市)の事件で、勾留中に判明したがんで死亡した元顧問(当時72)の遺族が拘置所の対応が不適切だったとして、国に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。男沢聡子裁判長は遺族側の請求を棄却した。

元顧問の相嶋静夫さんは2020年3月、液体を粉に加工する「噴霧乾燥機」を不正輸出したとする外為法違反容疑で、同社の大川原正明社長(74)らとともに警視庁公安部に逮捕された。東京地検に起訴された後、別の不正輸出の疑いでも再逮捕、追起訴された。

訴状によると、相嶋さんは勾留中の20年9月、東京拘置所で貧血を発症した。同10月に検査で胃に悪性腫瘍が見つかった。保釈は認められず、約8時間の勾留の執行停止中に外部の病院で「進行胃がん」との診断を受けた。

同11月に再び15日間の執行停止決定となり、別の病院で治療を開始。執行停止を延長しながら治療を続けたものの、21年2月に被告の立場のまま亡くなった。地検は5カ月後の同7月、大川原社長らの起訴を取り消した。

訴訟では、拘置所の対応に義務違反が認められるかどうかなどが争われた。

男沢裁判長は判決理由で、貧血などの症状に対して必要な検査や輸血処置などを実施した上で、6日後に外部病院への転院の調整を始めた拘置所側の対応には「医学的合理性がある」と認めた。

遺族側は貧血の症状などが確認された時点で、診療が可能な医療機関に移す義務があったと訴えたが、判決は「原因を精査する段階であり、直ちに外部に入院させる緊急性は認められない」と指摘。拘置所の措置に義務違反はないと結論付けた。

判決後、相嶋さんの長男は記者会見で「父が受けた苦しみを十分に理解してもらえなかった。無念を晴らせるように活動していきたい」と述べた。

大川原化工機の事件を巡っては23年12月、東京地裁が「違法捜査」と認定し、国と都に計約1億6千万円の賠償を命じた。公安部捜査員による取り調べの一部も違法と認め、双方が控訴した。

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