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ときめく 謎めき(5) 岸田劉生「壺の上に林檎が載って在る」
横浜美術館館長 蔵屋美香
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娘、麗子を描いた作品で知られる岸田劉生。静物画もまたなかなか謎に満ちている。
特にこの作品には私も長年頭を悩ませてきた。なぜ壺(つぼ)の口にリンゴを載せる必要があるのか。
壺は劉生の友人、バーナード・リーチの作。持ち手は割れてなくなっている。絵付けされた草花のタッチから推測すると、高さは20〜30センチぐらいだろうか。
だとすると、どうもリンゴが小さいのだ。育つ途中か、そういう品種か、110年前...