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書評『与謝野晶子の戦争と平和』張競著
日中の近代巡る詩歌と政治
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「君死にたまふことなかれ」で知られる与謝野晶子は平和主義者だったのか? 比較文学研究者である張競の緻密な資料探索によって浮かび上がるのは、日中戦争中の評論において煽情(せんじょう)的なナショナリストであった晶子の思いがけない顔だ。
満州事変では国際協調を主張していた晶子は、上海事変では「軍部の行動は国民を代表する行動である」と語り軍部と同調、国際社会の圧力が増す中で「国民の活力を大に大国に向つて...