諸田玲子「登山大名」(246)
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上屋敷へ帰っても、不安は消えなかった。いったいどういうことだろう。なぜ今になって、らんに疑いの目がむけられるのか。なにかわけがあるはずだ。
左源太を呼び、鎌倉の英勝寺へ行って、詳細を聞きだしてくるよう命じた。だれがなにを探りだそうとしたのか、正確に知りたい。
「余人に知られとうないゆえ、おぬしにたのむのだ。行ってくれるか」
藩主でなければ自ら調べに行きたいところだ。ここが岡なら五人組に命じること...
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