宮藤官九郎、二人芝居に出演 「客席沸く瞬間」大事に
コミカルな物語で人気を博す脚本家が、松尾スズキ作・演出の二人芝居「命、ギガ長スW」で俳優として舞台に挑む。50代の子どもの生活を80代の親が支える「8050問題」の悲喜こもごもを、皮肉の効いた笑いで描く。「俳優として演出を受けるのは久々の感覚で楽しい。ギリギリまで稽古を楽しみたい」と話す。
2019年の初演では、松尾が自ら演出・出演した。認知症気味の母親とニートでアルコール依存症の息子。8050問題を絵に描いたような2人に密着して撮影するドキュメンタリー作家志望の大学生の女性は、教授からある問題を指摘される――。「喜々として演じる松尾さんの様子は、客席で見ているこちらも楽しくなった」と初演を振り返る。Wキャストでの再演となる今回は、安藤玉恵とともに、それぞれ2役を演じる。
松尾が主宰する劇団「大人計画」の演出助手としてキャリアをスタートした。「"役者"になろうと思ったことはないが、劇団に所属している以上は、自らも演じた方が楽しい。脚本家専業でやるという発想はなかった」。松尾から学んだことの一つが「ウケる」ことを大事にする姿勢だ。「ギャグによる笑いだけではなく、客席が沸く瞬間を意識している。『ウケる』とは伝わるということ」
俳優としての経験は「生理的に言いづらいセリフを避けられるなど、脚本を書くときにも生きる」という。「現場で人と会い話せる役者の仕事をすることで、健康でいられる」。Wキャストのもう一組は三宅弘城とともさかりえが出演。東京公演(ザ・スズナリ)は4月3日までで、3月16日の公演をライブ配信する。大阪・北九州・松本に巡演。
(くどう・かんくろう=脚本家)
(北村光)