東芝の綱川議長、大株主の取締役候補「提案・推奨する」

東芝取締役会議長の綱川智氏は7日、28日の定時株主総会に諮る取締役候補についての声明を発表した。社外取締役の綿引万里子氏(元名古屋高裁長官、弁護士)が物言う株主(アクティビスト)幹部2人を新たに取締役として受け入れることに反対したことについて、「株主の皆様に対し、他の取締役候補者と等しく、提案・推奨している」とした。
総会では取締役13人の選任を諮る。うち2人が大株主である投資ファンドの幹部で、東芝は招集通知に綿引氏が反対したと注記していた。綱川氏は3月に社長を退任したが、取締役会議長は続投し、今回の人事案をまとめた。
声明で綿引氏の反対について「個人的な見解であり、2人を取締役候補者として支援する当社の立場に影響を与えるものではない」とした。また、2人が取締役会に加わることで「株主と経営陣はより足並みをそろえることができる」とし、招集通知に記載した議案の提案理由を改めて述べた。
綿引氏は東芝には既にアクティビストとの協議を経て受け入れた社外取締役が4人いることなどから2人の受け入れについて、「取締役構成の多様性や公平性でバランスを欠いていると判断せざるを得ない」と反対している。
2人は、米資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネジメントの今井英次郎氏と米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏。2人の受け入れは指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏が主導し、ゼイジ氏もファラロンの出身だ。実際に選任されれば、取締役13人中少なくても6人を大株主の推薦者や幹部が占めることになる。
綱川氏は今回の総会で取締役からも退任する。後任の取締役会議長は新任の社外取締役候補でGCA創業者で現フーリハン・ローキー会長の渡辺章博氏を予定している。
