「株価乱調」の今こそ読みたい投資の名著 厳選9冊

「株価はどうやって動くのか」を理解する
お金のことならこの人に聞こう!というわけで、まずお薦めしたいのが、メディアやSNSで大人気の後藤達也さんの著書『転換の時代を生き抜く投資の教科書』です。そもそも株価がどのように動くのか、なぜ米国の経済指標が日本の相場に影響を与えるのか、まさに今知りたい疑問に答えてくれる1冊です。
株価の乱高下と足並みをそろえるように、円相場も急激に変動しています。1ドル=140円台は円安なのか、円高なのか。みずほ銀行の人気エコノミスト、唐鎌大輔さんの『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』は、為替相場の目先の動きではなく、その裏にある構造的な変化をとらえることの重要性を教えてくれます。
相場が上がっても下がっても、道は必ずある
長く投資を続けていれば、株価暴落の局面は必ずある。そんなときこそ慌てて動かず、自分の頭で考えよう――こんなメッセージを送るのが日経プレミアシリーズ『あなたが投資で儲からない理由』です。証券会社で多くの顧客の投資相談にのってきた著者が、投資で成功する人・失敗する人の特徴を教えてくれます。
「株式投資にとって悲観は友、陶酔は敵だ」という名言を残している投資の賢人、ウォーレン・バフェット。その銘柄選びの極意を解説したのが『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』です。企業が持つ本質的な価値と比較して割安な銘柄を探す、というバフェット流に従えば、株価の調整局面は、むしろ銘柄選びの良い機会といえるかもしれません。
そんなバフェットが大絶賛するのがハワード・マークス著『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』です。市場環境が良くないときに損失を最小限に抑えるにはどうすればいいのか、絶好の投資機会を見つける逆張りの考え方とは、など、不況下でも高い運用成績を残してきた著者の投資哲学が、余すところなく紹介されています。
投資の名著に学ぼう
変動するマーケットに一喜一憂することなく、じっくりと、長期的に投資計画を見直すべき――こんな投資哲学を教えてくれるのが、チャールズ・エリスの『敗者のゲーム[原著第8版]』とバートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理』です。いずれも20年以上売れ続けている投資の超定番書です。NISA(少額投資非課税制度)を始めてみようと思うけれど大丈夫なんだろうか、といった不安をお持ちの方、この2冊で投資の基本原則に触れてみてください。
エリスとマルキールという2人のカリスマによる共著『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』は、エッセンスだけを5つのシンプルなルールとしてまとめています。手っ取り早く結論を知りたい、という方には、こちらがお薦めです。
株式市場はこれまで何度も暴落に見舞われてきました。そして、そのたびに再評価されている名著が経済学者ガルブレイスの『大暴落1929』です。株価暴落からの世界的大恐慌を実体験した著者が、その様子を詳細に描いています。歴史に学ぶために最適な1冊と言えるでしょう。
冒頭の『転換の時代を生き抜く投資の教科書』でも紹介されているジョン・テンプルトンの相場格言に「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで成長し、楽観のなかで成熟し、陶酔のなかで消えていく」というものがあります。目先の動きにとらわれず、一歩引いた視点を養うためにも、ここでご紹介した投資本を参考にしていただければと思います。

[日経BOOKプラス2024年8月7日付記事を再構成]
「お金のことを本でも学びたいけど、たくさん出ていてどれを読んだらいいか分からない」。初心者の方からよく聞く話です。そこでこのコーナーでは「お金×書籍」をテーマとして、今読むべきお金の新刊本や古典の名著などを紹介し、あわせてお金の本の著者にも読みどころなどをインタビューします。
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