10年物国債の表面利率、17年ぶり1.7%に 入札結果「やや低調」
財務省は2日、10月発行の10年物国債(380回債)で買い手に毎年支払う利息の割合を示す表面利率を1.7%とした。9月までの1.5%から引き上げ、2008年7月(1.7%)以来およそ17年ぶりの高水準となった。日銀の追加利上げ観測などを背景に、国内債券市場で金利が上昇してきたことを反映した。

財務省は原則として3カ月に1度、10年債の利率を見直している。利率が流通市場で取引される10年債の利回りより大幅に低ければ、国債の落札価格が額面を大きく下回りかねない。このため、財務省は市場実勢に近い水準で利率を設定している。7〜9月は1.5%、4〜6月は1.4%だった。
日銀の利上げ観測や財政悪化への懸念などを受けて国内金利は上昇基調にある。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは9月22日に一時、1.665%と08年7月以来およそ17年ぶりの高水準をつけた。
2日午後に公表された入札結果は「やや低調」との受け止めが広がった。最低落札価格は100円36銭と、日経QUICKニュースが締め切り直後にまとめた最多の市場予想(100円47銭)を下回った。小さいほど好調な入札とされる平均落札価格との差(テール)は19銭。前回9月(6銭)から拡大し、3月(21銭)以来の大きさとなった。
応札額を落札額で割った応札倍率も3.34倍と前回9月(3.92倍)を下回った。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「利回り水準自体には投資妙味がある」と指摘。一方で「自民党総裁選や米政府閉鎖など不透明要因が多く、投資家の様子見姿勢が強まったのではないか」と話している。

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