ソフト開発「中抜き」、独禁法違反助長の恐れ 公取委
公正取引委員会は29日、ソフトウエア開発を担う下請け企業と発注元との取引に関する調査をまとめた。自社では作業しないにもかかわらず利益を得る「中抜き」の存在を25%の下請けが認識していた。報告書では中抜きをする企業が、下請けが何層にも連なる「多重下請け構造」を悪化させ、独占禁止法違反行為を助長する恐れがあると指摘した。
公取委が親会社と下請け企業の間に介在する企業の実態を調べたところ、下請け企業全体では4社に1社が中抜きをする企業が存在を認識したと回答した。受注後さらなる外注はしない最終下請けの企業では、3社に1社が認識していた。
調査には「業務のやりとりをした企業とは異なる企業が請求時にだけ出現した」「4次請け案件を経験した」との声が寄せられた。
公取委は中間での介在に一概に問題があるとはいえないものの、買いたたきなどのしわ寄せや情報伝達の混乱を生じやすくさせるとして「独禁法・下請法違反行為を誘因・助長する恐れがある」と指摘した。契約内容の明確化やサプライチェーン(供給網)のスリム化を呼びかけたほか、今後は摘発強化に乗り出すとも説明した。
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