収支報告書のオンライン公表義務化 データ化なお議論
改正政治資金規正法のポイント
改正政治資金規正法は国会議員が関係する政治団体の収支報告書のオンライン提出と、総務省などによるインターネットでの公表を義務付けた。2027年1月からはこれまで窓口での公開にしか対応していなかった県も対応を迫られる。
政治家の資金管理団体などの政治団体は1年間のすべての収入や支出を国や都道府県に報告する必要がある。
国会議員関係の政治団体は基本的に5月末までに、それ以外は3月末までに届け出る。報告書が原則11月末に3年間の期限つきで公表される点は法改正前と同じだ。
オンライン提出とネット上での公表を義務付けた一方で、野党が求めた報告書提出から公開までの期間短縮や公表期間の延長は盛り込まれなかった。公開情報のデータベース化の議論も先送りにした。
例えば米国は連邦選挙委員会(FEC)が大統領や上下両院議員の収支の情報をホームページ上で公開する。一定の金額以上の寄付をした個人や企業の名前で検索することができる。提出後24時間以内にホームページで公開される。
日本の現行制度は紙の収支報告書をPDFファイルとして公開しているのみで、寄付者の氏名などで検索することはできない。公開方法も都道府県によって異なる。
自民党の法案提出者は参院政治改革特別委員会で、検索機能について「各党で議論し、予算措置や技術的課題の整理などを行う必要がある」と答えるにとどめた。
改正法は行政の負担を減らす目的で収支報告書の要旨の公表を不要とした。要旨は官報や都道府県の公報で公表され、寄付者の氏名や寄付額を記載する。
収支報告書の公表期間は3年だが、要旨は過去分も国立国会図書館などで閲覧できたことから、野党は「透明性の向上どころか後退ではないか」と批判する。
自民党の派閥を舞台にした裏金疑惑は「政治とカネ」の問題の根深さを白日の下にさらしました。政治資金規正法の制定から75年を経ても不祥事が繰り返し起きています。民主主義の根幹である政治への信頼を回復するために必要な視座を追いました。
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