防衛増税の時期明記見送り 与党税制改正大綱、午後決定
自民、公明両党は14日午後、2024年度の与党税制改正大綱を決める。大綱案では、防衛力強化のための増税を始める時期は明示を見送った。「適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる」ことを24年の通常国会に提出する税制改正関連法案の付則に記す。
自公両党の与党政策責任者会議で決定する。
焦点となっていた防衛増税の開始時期は定まらないままとなる。去年の大綱では「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施する」とし、開始は「24年以降の適切な時期」としていた。増税の開始は26年以降になる見通しだ。
今回の大綱に盛り込む税制改正は、企業向けは賃上げや投資の促進、個人向けは子育て世帯への支援が柱となる。
来春の労使交渉で今年を上回る賃上げを促すため、従業員の給与を前年度から一定以上増やした企業の法人税を軽くする賃上げ促進税制を改正する。
大企業は給与総額を前年度から7%以上増やした場合は給与の増加分の25%を法人税から除く。女性活躍や子育て支援に積極的な企業や、教育訓練費を増やした企業には控除を上乗せして最大で35%とする。これまでは4%以上増やした企業向けの30%が最大だった。
都道府県が資本金1億円超の企業に課す外形標準課税は「資本金と資本剰余金の合計額が10億円超」の企業も新たに対象とする。過去に減資した企業を含む中小企業には適用しない。新基準は25年度から適用する。
企業の交際費については、経費処理で非課税にできる上限額を現行の1人あたり5000円から1万円に引き上げる。物価の上昇に対応する。
個人向けでは、児童手当の支給対象を24年10月に高校生まで拡大するのにあわせ、16〜18歳の子どもがいる親を対象にした扶養控除は縮小する。
課税対象の所得から差し引く控除額を所得税は年38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円にする。所得税は26年以降、住民税は27年度以降に適用する。
控除は縮小しても児童手当によりすべての所得層で恩恵が得られるようにする。制度詳細を詰め、24年末に最終決定する。
生命保険料控除は子育て世帯向けで拡充する。課税対象となる所得から、支払った保険料に応じて一定の金額を除外する。現状では12年以降の契約の場合、所得税で最大4万円を控除しており、最大6万円に引き上げる。