官民ファンド出資のブラジル鉄道、破産へ 81億円損失に
インフラの海外展開を支援する官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)は1日、ブラジル・リオデジャネイロ州で進めてきた鉄道事業の現地法人が破産手続きに入ったと発表した。出資した全額にあたる81億円の損失を計上した。
同事業は2016年のリオデジャネイロ五輪を見込んだ旅客増に対応する輸送力強化を支援するため、15年に国土交通相の認可を受けていた。三井物産とJR西日本も出資していた。
一時は1日に60万人ほどを乗せていたが、新型コロナウイルス禍や運営体制の乱れで利用者が半減したという。設備の盗難被害、合弁相手のブラジル建設大手グループの汚職事件も重荷となった。
JOINによると、リオデジャネイロ州政府が当初合意していた営業補償金を23年度に支払わず、事業の継続が難しくなった。これを受けて5月に破産を申請した。州政府との交渉期日としていた6月30日が過ぎたため、申し立てが有効になった。
JOINが6月25日に公表した2024年3月期の事業報告で、累計損失は955億円にのぼっていた。24年3月期決算での純損失はミャンマーや米テキサス州での事業も合わせて799億円だった。ブラジルの鉄道事業の損失も含まれるが、係争中として損失額を明らかにしていなかった。