アゼルバイジャン、対アルメニア係争地で「対テロ作戦」

【イスタンブール=木寺もも子】アゼルバイジャン国防省は19日、係争地のナゴルノカラバフ地域で同国軍が「局地的な対テロ作戦」を始めたと発表した。同地域の帰属を巡って対立するアルメニア軍による攻撃への報復だとしている。同地域では2020年にも大規模な紛争が起きており、衝突の拡大が懸念される。
ナゴルノカラバフに平和維持部隊を展開するロシア外務省のザハロワ情報局長は「流血を止め、軍事行動を直ちに停止し、政治的・外交的解決の道に戻るよう促す」と事態の沈静化を求めた。
アゼルバイジャンによると、軍事行動に先立ち、ナゴルノカラバフの2カ所で19日に地雷が爆発。複数の自国民が死亡した。アルメニア側の仕業だとしている。
ロイター通信によると、アルメニア国防省は19日、ナゴルノカラバフ地域に自国軍は存在しないとして、アゼルバイジャンの主張を否定した。
ナゴルノカラバフは国際的にアゼルバイジャン領と認められている。ただ旧ソ連末期からアゼルバイジャン系と、独立やアルメニアへの編入を求めるアルメニア系住民の対立が深刻になった。1991〜94年の軍事紛争を経てアルメニア側が実効支配していた。
2020年9月に再燃した紛争ではトルコの支援を受けたアゼルバイジャンが事実上の勝利を収めた。同年11月、ロシアの仲介によりアルメニア側が実効支配地域の大半を引き渡す内容で停戦合意した。