ボーイング最終赤字9400億円 7〜9月、ストライキ打撃
【ヒューストン=花房良祐】航空機大手の米ボーイングが23日公表した2024年7〜9月期決算は最終損益が61億7400万ドル(約9400億円)の赤字だった。前年同期(16億3800万ドルの赤字)から大幅に悪化した。16年ぶりのストライキの発生で工場の稼働が停止したほか、新型機開発も遅れて民間機と防衛宇宙の両部門で大型損失を計上した。
ボーイングは製造品質問題が響き、22年7〜9月から赤字が続く。赤字幅としては新型コロナウイルス禍が直撃した20年10〜12月以来の大きさだった。ケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は23日、「文化を根本的に変革して事業を安定させ、将来への礎を築く」とコメントした。
同社は労働組合との賃上げ交渉がこじれて24年9月中旬からストが発生した。このほか1月には飛行中の小型機の胴体に穴が開く事故が発生し、工場の品質改善に取り組んでいた。
売上高は前年同期比1%減の178億4000万ドルだった。営業キャッシュフロー(現金収支)は13億4500万ドルの赤字(前年同期は2200万ドルの黒字)だった。9月末の手元資金(現金・現金同等物と短期債の合計)は105億ドルで、3カ月前に比べて約17%減った。
民間機部門は40億2100万ドルの赤字だった。ストで工場が停止したほか、次期大型機「777X」の納期が1年遅れたため損失を計上した。防衛宇宙部門は23億8400万ドルの赤字となった。軍用練習機や空中給油機、新型宇宙船などの開発・生産が遅れたため。
ストを巡りボーイングは新たな賃上げ案を提示しており、労組は23日に組合投票で諾否を決める。
ボーイングは数カ月内に全世界の従業員の10%を削減してコストを減らす。今後3年で新株と社債の発行で最大250億ドルを資金調達して財務体質の改善も急ぐ。
米航空機大手ボーイングが苦境に陥っています。品質問題と労働組合のストライキで小型・大型機の生産ができず、2024年7〜9月期決算は巨額の最終赤字を計上しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。