EU当局、AI学習データ巡りGoogle調査 GDPR違反か
【シリコンバレー=清水孝輔】欧州連合(EU)のデータ保護当局であるデータ保護委員会(DPC)は12日、米グーグルの調査を始めたと発表した。人工知能(AI)開発のデータ学習が、一般データ保護規則(GDPR)に違反していないかなどを調べている。AI開発の過程で個人情報への配慮が不十分だった可能性を懸念している。
アイルランドに拠点を置くDPCが、グーグルが開発したAIモデル「PaLM(パーム)2」について調査に乗り出した。パーム2は同社が現在の生成AIの基盤技術として搭載する「Gemini(ジェミニ)」よりも前の世代のモデルとして使っていた。
DPCはAI開発企業に対し、個人データの処理に関するリスクを認識し、GDPRを順守する必要があると指摘してきた。特に技術やデータの処理方法が新しい場合は、開発がプライバシーにもたらす影響を事前に評価するように求めている。
DPCは8月には、米X(旧ツイッター)が生成AI開発を目的とした欧州の投稿データ処理を停止することで合意したと発表した。DPCはXに対し、データ処理がプライバシーを侵害するリスクがあると指摘し法的手続きに乗り出していた。
米メタも欧州ではGDPRに対応するため、SNSの投稿を使ったAIのデータ学習を制限している。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は欧州の規制が「技術革新を阻害している」と批判しており、当局と対立が深まっている。
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