ニュージーランド首相、突然の辞意表明 「余力ない」
【シドニー=松本史】ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相は19日、記者会見を開き2月7日までに辞任すると表明した。議員の再選も目指さない。後任は未定で、与党・労働党が近く議員総会を開いて首相となる新党首を選ぶ投票を行う。突然の辞意表明にNZや隣国オーストラリアは騒然となった。
アーダーン氏は10月14日に総選挙を実施する方針も示した。会見では時折涙ぐみながら「(首相就任からの)6年間で大きな難題がいくつかあった。政治家も人間だ」などと述べ、職務を続ける余力が残っていないと説明した。
今後について「予定は何も決まっていない。家族と時間を過ごすことを楽しみにしている」と話すにとどめた。同氏は18年、産休をとって女児を出産している。
アーダーン氏は2017年に首相に就任した。新型コロナウイルスの感染が拡大した20年3月以降、厳しい規制を実施した。SNS(交流サイト)を通じて国民に理解と協力を求めて感染を早期に封じ込め、国際的に高く評価された。
20年10月の総選挙でアーダーン氏率いる労働党は、単独過半数を獲得する歴史的な勝利を収めた。ただ足元では物価高などを受け支持率は低迷。NZの調査会社とテレビ局による世論調査「1ニュース・カンターパブリック・ポール」が22年11月に実施した調査では労働党の支持率は33%と野党・国民党(38%)を下回った。
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