NYダウ、反落し248ドル安 高値後の利益確定売りで
【ニューヨーク=佐藤璃子】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比248ドル33セント(0.6%)安の4万4765ドル71セントで終えた。6日に米連邦準備理事会(FRB)の利下げシナリオを左右する米雇用統計の発表を控え、様子見姿勢から積極的な買いは手控えられた。前日の最高値更新で利益確定売りも出やすかった。
ダウ平均の構成銘柄では、4日に幹部の銃殺事件が起きた米医療保険最大手ユナイテッドヘルス・グループが5%安となった。4日に決算を好感した買いが膨らんだセールスフォースもこの日は売りが先行し、2%安で引けた。
6日に11月の米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも強かった。年内最後となる17〜18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、金融政策の判断材料として注目される。
ダウ・ジョーンズ通信がまとめる市場予想は、非農業部門の雇用者数が前月比21万4000人増加すると見込む。10月(速報値)は大型ハリケーンの被害や大規模なストライキといった一時的な要因で1万2000人増にとどまったが、11月は一定の回復が見込まれる。米S&Pグローバル・レーティングのサティヤム・パンデイ氏は「労働市場には緩やかな減速の兆しが見られるものの、堅調な需要が雇用を支えている」と見る。
米労働省が5日発表した失業保険統計によると、米企業の解雇動向を映す週間の新規失業保険申請件数は22万4000件と前週の改定値、市場予想ともに上回った。
ダウ平均は4日、長期金利の低下を受けて主要ハイテク株に買いが広がり、初の4万5000ドル台に乗せた。高値警戒感も強く、5日は利益確定売りが優勢となった。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数、機関投資家が運用で参照するS&P500種株価指数はともに0.2%安で引けた。
トランプ次期米大統領の業界振興策への期待から代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格が初めて10万ドルの大台に乗せたことが、仮想通貨関連銘柄の追い風となる場面もあった。
5日の米株市場では仮想通貨への積極投資で知られるソフトウエアのマイクロストラテジーが一時、前日比10%高、仮想通貨交換業のコインベース・グローバルは同6%高になった。ただ買いの勢いは続かず、終値はそれぞれ5%安と3%安だった。